【人気落語家・桂宮治さん】スゴ腕の化粧品営業マンから30歳で転身!3人の子育ては「三者三様で面白い!」

PR

化粧品のトップセールスマンを経て、30 歳を過ぎてから落語家に転身した桂宮治師匠。落語会だけでなく「笑点」レギュラーとしても大活躍。「令和の爆笑王」という異名をとる師匠も、高座を降りれば愛妻家で子煩悩のパパの顔に戻ります。ご自身の子育てについて、そして落語を親子で楽しむポイントについて伺いました。

子どもは3人。同じように育てているのに、こんなにも違いがある。子育てって、おもしろいですよね

ハワイに家族旅行したときのショット。家族がいるから頑張れるんです!
ハワイに家族旅行したときのショット。家族がいるから頑張れるんです!

中学一年生の長女、小学5年生の次女、そして小学2年生の長男。3人の子どもがいます。

長女はしっかり者で、自分のやりたいことを明確に持っているタイプ。僕にはまったく似ていません(笑)。自分が中学生だったときは、やりたいことなど何もなく、ただその日その日をダラダラと、なるべく人に会わないように過ごしていただけですから(苦笑)。

次女は、少し天邪鬼。僕のことを嫌いなふりして通りすがりに叩いたりするけれど、二人きりになると学校の話などをうれしそうにしてくれます。先日も、長男を連れてドラえもんの映画を見に行ったんですよ。次女も誘ったら、最初は「えー別に行きたくない」とか言っちゃって。でも、結局一緒に行って、彼女がいちばんキャッキャと喜んでいました。かわいいですね。

長男はね、親友みたいな存在。上の二人が本当に可愛くて!三姉妹に憧れていて、3人目をがんばって産んだら、男の子だった。でも、育てているうちに、かわいくて、かわいくて(笑)。女の子はどんどん大人になっていっちゃうけど、男の子は永遠に子どもなのか? ってくらい幼いけど、男の子がいて本当によかった。

結局のところ、姉妹弟の3人の子どもを授かって良かったと思っています。三者三様それぞれ個性があって、同じ環境で同じように愛情を注いで、同じように育てているのに、こんなにも違いがある。子育てって、おもしろいですよね。

あいさつと感謝の気持ちは口に出して言う、が家族のルール

家族の中ではウソは厳禁。あいさつと感謝の気持ちは口に出して言うこと。それだけは厳しくしますが、基本的には家族といるときは楽しく、ご機嫌でいることを大切にしています。

過剰なほどに「かわいい、かわいい」「パパとママが後ろについている。絶対的な味方だ」と、愛情を注いで育てているので(笑)、子どもたちは怖いもの知らずかもしれません。世の中の人はみんな優しくていい人だと思っている節があるから、「そんな人ばかりじゃない」ってことも、これから教えないといけないんですかね。

結婚式で会社を辞めると宣言。30歳を過ぎて落語家の道へ

グァムで結婚式を挙げたときのショット。幸せの絶頂!でも、このあと無職に!
グァムで結婚式を挙げたときのショット。幸せの絶頂!でも、このあと無職に…

僕は結婚式で会社を辞める宣言をして、そこから落語家の修業に入りました。そのときすでに30歳を超していましたし、僕が4人姉弟、カミさんも3人姉弟の家庭で育ったので、子どもがいる家庭が自然かなと考えて、結果として3人の子宝に恵まれました。

実際、お金もなければ時間もないという夫婦揃ってバタバタしている時期に一人目が産まれたので、文字通り必死になって子育てしました。当番制とかにするのではなく、お互いに気づいた人ができることをやるというスタイルの共同作業です。

初めての子どもは、ガラス細工を扱うような心持ちで、ちょっと熱が出れば死んじゃうんじゃないのかと心配したりしてね。2人目、3人目になれば、まあ、その辺に転がしていましたけれど(笑)。

東日本大震災で思い知った「子育ての大変さ」

長女が生まれて間もなくして、東日本大震災が起きました。僕もカミさんも仕事があったので、少しの間だけ実家の母親に子どもを預けていたそのとき、地震が起きました。

僕はなんとかして子どもを迎えに行って家に戻りましたが、カミさんは出先から帰れなくなってしまって……。初めてのワンオペです。薬局に駆け込んで離乳食やオムツを買い込み、もう必死。電話はなかなか通じないし、本当に怖かったです。あの体験があったからこそ、ちゃんとカミさんや子どもと向き合って、日頃からカミさんの動きを見習って、どこに何があるのかなどを把握しておかなければいけないと、肝に銘じました。子育ての大変さを思い知った一件です。

ひょんなことから子どもの小学校で「学校寄席」をやることに

僕は、仕事と家庭をきっちりと分けたい性分なので、自分の落語会に子どもやカミさんを呼ぶことは少ないです。真打になったときの襲名披露の高座にも呼びませんでした。さすがに披露目のパーティにはカミさんと子どもには来てもらいましたけれど。

なので、子どもが通っている学校から「落語をやってください」と頼まれても、断っていたんですよ。父親が落語家だということが知られちゃうと、なんかいじめられたりするのも嫌だなと思って。

そしたら、某有名演芸番組のプロデューサーさんから「俺の同期の子どもが宮治くんの子どもと同じ学校に通っていて、その同期はPTA会長をやっているんだよ。今度さ、学校行って落語やってくれないか?」って言われたんです。もちろん、二つ返事で「やります!」と(笑)。

それで、全校生徒の前で落語を披露しました。子どもたちが、キャーキャー喜んでくれまして、うちの子どもも、僕の落語をちゃんと観たのは初めてだったんじゃないかな。

帰ってから、周りの友達から「パパおもしろかったね」「楽しかった」って言われたよと嬉しそうに報告をしてくれたので、ほっと胸を撫で下ろしました。

今は方々の学校に呼んでいただいています。学校寄席だからと言って、特に気を遣うことはないですね。目に前にいるお客様が、大人であろうと子どもであろうと、喜んでいただきたいという思いは変わりません。もちろん、子どもたちに対しては、噺に入る前に落語とはどんなものなのかという説明をします。落語のことをあまり知らない大人たちも、その説明を聞いて楽しんでくれているようです。

落語と読書は同じ。イマジネーションが無限に広がる世界です

落語は、大人も子どもも年齢に関係なく、わかりやすくて単純におもしろい大衆芸能。ものすごくハードルが低いんですよ。

それを、もっと多くの人に知ってもらいたいし、子どもの頃に「なんか落語っておもしろかったな」という記憶があれば、大人になってから落語に興味を持ってくれやすくなるのではと思い、学校寄席や親子落語会の高座にもできるだけ上がるようにしています。

落語は昔の言葉を使うから、子どもには難しいのでは? なんて思う必要もありません。たとえば、厠(かわや)とかね。僕は、みんながわかる言葉に置き換えて、「お便所」と言い換えます。令和の時代に生きている人に伝わらなかったら、何にもなりません。その上で、勝手にイメージを膨らませていけばいいんです。

落語って、読書と同じだと思っていて、本は文字だけで、主人公の顔や体型や風景や匂いまでもを想像しますよね。100人いれば100通りの想像の世界が繰り広げられます。落語も同じで、同じ噺を聞いていても、みな思い描いている風景が違ってくる。そこがおもしろいところ。

目の前にいないはずのご隠居や熊さん(落語の噺に出てくる登場人物)が立ち現れてきて、みんなそれぞれ違うご隠居や熊さんを想像しているのに、同じ空間を共有して、同じところで笑い合えるわけです。素晴らしい世界だと思いませんか?

5月5日こどもの日に親子落語会を開催!~予習などせず、まっさらな気持ちで、ぜひ落語を聴きにきてください

僕自身、30歳過ぎてからYouTubeで初めて落語を観て、人生が変わりました。できるだけ早い時期に、落語を楽しんでもらえたらうれしいので、余計な情報を入れずに、予習などせず、まっさらな気持ちで、ぜひ落語を聴きにきてください。

桂宮治と有楽町でアイマショウ

人気演芸番組『笑点』レギュラーでのお馴染みの、桂宮治師匠が55日の子どもの日に、東京・有楽町マリオン別館のホール「アイマショウ」で、親子落語会を開催。大人も子どもも一緒に楽しめる演目を、分かりやすい解説を入れながら口演します。

■開催日:2023年5月5日(金・祝)開演13:30

■場所:東京・有楽町マリオン別館のホール「アイマショウ」

■チケット代金:大人2500円、子ども(3歳〜15歳)1000円

*3歳未満のお子様は膝上に限り入場無料

■大手プレイガイドにて発売中。

お問い合わせ:産経新聞社落語事務局 03−3243−8343(平日11:0017:00

妻と家族へのラブレターともいえる新刊『噺家 人嫌い』が発売中!

「光のあるところには影があるでしょ。世の中ぜんぶそうですよ」「他人と関わるのがイヤ」「信頼できるのはカミさんだけ」など、笑顔の裏にある素顔を赤裸々に綴った初の自叙伝。不登校だった子ども時代のこと、両親の離婚、元カノとの別れ、最愛の妻との出会い、落語家への道、家族について……。人が嫌いなのに、人を喜ばせることが好きだという、その捩れ具合と生き様には、世知辛い現代で生きづらさを感じている人へのエールが潜んでいる。師匠と妻と家族への公開ラブレターともいえる話題作。

『噺家 人嫌い』桂 宮治 扶桑社 1760

 

桂宮治さん|落語家

1976年、東京都生まれ。落語家。化粧品販売のトップセールスマンを経て、桂伸治に弟子入り。2008年に楽屋入り、12年二ツ目昇進、「NHK新人演芸大賞」を受賞。21年、真打昇進。寄席やホール落語、学校寄席のほか、テレビやラジオなどのメディアでも活躍。『笑点』(日本テレビ)、『桂宮治のザブトン5』(文化放送)などにレギュラー出演中。421日に初の著書『噺家 人嫌い』(扶桑社)を上梓。

取材・構成/神﨑典子 写真/五十嵐美弥 *家族写真は、桂宮治さん提供

編集部おすすめ

関連記事