「赤い靴」のあらすじ|内容は怖いがハッピーエンド? 作者が伝えたかったことは【教養としての童話】

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アンデルセン童話の『赤い靴』は、ちょっと怖いお話ですが、実は最後はハッピーエンド。作者からの隠されたメッセージとは? 深いテーマが隠されているのでご紹介します。

『赤い靴』ってどんなお話?

『赤い靴』はアンデルセンの童話の一つです。物語だけを読むと怖いお話のように感じますが、そこには深いテーマが隠されているのです。

アンデルセン童話『赤い靴』とは

『赤い靴』は、デンマークの有名な童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって書かれた童話の一つです。この童話は、1845年に最初に発表されました。

原題:”De røde Sko(デンマーク語)、英題表記”The Red Shoes”
国:デンマーク
発表年:1845年

作者のアンデルセンってどんな人?

ハンス・クリスチャン・アンデルセン(Hans Christian Andersen、1805年 – 1875年)は、デンマーク語読みではアンナセンといい、フュン島のオーゼンセで貧しい靴屋の子として生まれました。

アンデルセンの肖像 Photo by Thora Hallager, Wikimedia Commons(PD)

彼は19世紀初頭のヨーロッパで活躍し、代表作には「人魚姫」「みにくいアヒルの子」「裸の王様」「親指姫」「雪の女王」などがあります。これらは、子どもだけではなく、大人にも愛される心温まる物語や寓話で、アンデルセンの独創的な想像力と感受性が反映されています。

アンデルセンは詩や旅行記も執筆し、デンマーク文学の発展に貢献しました。彼の作品は、当時の社会や人間の心の葛藤を描写しており、文学的な価値も高く評価されています。

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あらすじ・内容

それでは、あらすじを見ていきたいと思います。

※以下では、物語の核心にも触れています。ネタバレを避けたい方はご注意ください。

詳しいあらすじ

少女カーレンが美しい赤い靴を見つけるところから物語は始まります。

彼女はその靴を履いて教会の堅信礼を受けに行きますが、里親の奥様からは、教会には黒い靴で行くべきで、赤い靴を履いて行ったことを咎められます。しかし、翌週の聖餐式でもカーレンはまた赤い靴を履いて教会へ行ってしまいます。

すると、赤い靴はどうしたことか、カーレンの意志とは関係なく動き出し、カーレンは踊りだしてしまいます。周囲の人々がなんとかカーレンを押さえつけて靴を脱がせ、奥様は赤い靴を戸棚にしまいこんでしまいます。

踊り狂うカーレン

その後、奥様は病に伏してしまいますが、カーレンは「もうどうせ助かる見込みもないし」と奥様を看病せず、赤い靴を履いて町の舞踏会へ行ってしまいます。

やはり、また赤い靴は勝手に動き出し、カーレンは踊り続けないといけなくなってしまいます。

町を越え、野原を越え、山を越え、昼も夜も踊り続けます。どんなに靴を脱ごうとしても脱ぐことが出来ず、カーレンはただひたすら踊るしかありません。

ある時、墓地へ舞い込むと、そこには白い天使が鋭い剣を持って立っていました。天使はカーレンの無礼で傲慢な態度を叱責し、死ぬまで踊るがよい、と言い捨てると去ってしまいます。

カーレンは自分がこんな辛い目に遭うのは、自分の勝手さゆえだということに気づき、罪を償うことを誓います。それでも靴は踊り続けるため、カーレンは罪人の首を切る役人のもとへ自ら駆け込み、足を切って欲しいとお願いします。

神との和解

その後、つぎ足を貰い、松葉づえで歩けるようになるカーレンですが、その後は教会で祈りを捧げ、自分の過ちをざんげする日々を送ります。

ある日、カーレンは教会であの天使を見かけます。天使は今度は剣ではなく、赤いバラの花束を持っており、優しくカーレンを包むと光とともにカーレンの魂を持って天国へ連れて行きます。

あらすじを簡単にまとめると…

素敵な赤い靴を手に入れたカーレンは、周囲の助言を聞かずに、厳粛な教会儀式などにも赤い靴を履き続けます。すると、自分勝手な態度を取り続けた結果から、赤い靴を履くと踊り出して止まらなくなる、という罰を受けることに。

カーレンは、とうとう両足切断を余儀なくされます。その後は自分の過ちに気づき、神への誠実な信仰心を持つことで罪を償っていきます。

結末はハッピーエンド?

赤い靴を履いたカーレンは、踊り続けなければならず、最後、自分の足を切って欲しいと懇願することになります。

少女は足を切られてしまう

両足を切断すると、赤い靴は足と一緒に踊りながらどこかへ行ってしまいます。役人はカーレンのために、つぎ足と松葉づえを作ってあげます。そして罪人がいつも歌う讃美歌を教え、罪を償うように言います。

最後は天に召される

最終的に、カーレンは天使とともに天国へと導かれる様子が書かれています。カーレンが、神への誠実な祈りをささげたことで、罪が許されたことを表しているのです。

物語から得られる教訓

この物語から得られる教訓をまとめます。

欲望や誘惑に負けないこと

不適切な場所へ赤い靴を履いていく、重病な里親の看病をせずに舞踏会へ出かける、というカーレンの行動を通して、欲望や誘惑、虚栄心から生じる行いを戒めています。

誠実な悔い改め

過ちを犯した場合、誠実な悔い改めが大切というメッセージもあります。

主な登場人物

『赤い靴』の登場人物をまとめました。

少女カーレン

物語の主人公で、美しい赤い靴を見つけるとすっかり魅了されてしまいます。彼女は赤い靴を履いたことで自己コントロールを失い、自分の欲望、誘惑に負けてしまいます。

奥様

カーレンの里親の奥様。カーレンは早くに実の親を亡くしたことで、かわいそうに思った裕福な老婦人。重病で途中で亡くなります。

聖職者

カーレンが教会で祈りを捧げるシーンで登場する聖職者。彼は助言をしますがカーレンは聞き入れません。

天使

物語で大事な役割を担う天使。カーレンがどうして踊り続けることになったのかを気づかせてくれます。また、カーレンが反省すると迎えに来てくれます。

『赤い靴』を読むなら

それでは『赤い靴』の本をページ数、漢字、ルビ有り無し、などで易しい順にご紹介します。

あかいくつ (はじめての世界名作えほん)ポプラ社

林 一哉 門野 真理子 中脇 初枝 (著) 

小学校低学年から。易しい漢字あり、ルビあり。Kindle版もあり。

赤いくつ よい子とママのアニメ絵本(ブティック社)

アンデルセン (著), 平田 昭吾 (著) Kindle版

Kindle Unlimited 対象本。小学校低学年から。易しい漢字あり、ルビあり。

赤いくつ

アンデルセンハンス・クリスチャン (著), 楠山 正雄 (翻訳)  Kindle版 

Kindle Unlimited対象本。小学3,4年生から。漢字あり、ルビなし。

欲望や誘惑に負けてはいけない

一見恐ろしい物語のような印象も受けますが、カトリック教義を知ると物語が分かりやすくなります。足を切ったり、死ぬまで踊り続けるというのは、あくまでも子どもたちに分かりやすく、またインパクトを持たせるための表現であり、根底は信仰心の大切さ、自己抑制の重要性を、子どもに分かりやすく説くためのお話だと捉えるとよいのではないでしょうか。

欲望や誘惑に惑わされず、しかるべき行いを全うする、というのは大人でも簡単ではありません。思った以上に深いテーマが隠されているお話だったのではないでしょうか。

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文/加藤敬子 構成/Hugkum 編集部

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