アフターコロナの海外旅行「オーストラリアの新名所」を現地の観光業者に聞きまくってみた

新型コロナウイルス感染症の騒ぎも落ち着き、いよいよこの夏、久々の(初めての)海外旅行に家族で出かける人も少なくないと思います。
そこで今回は、日本人にも大人気の旅行先、オーストラリアで必見のスポットや体験を、5月に開催された国際会議(ATE)に参加して、現地の観光関係者たちに聞きまくってきました。

「50歳」のオペラハウスを橋の上から一望

写真:Tourism Australia提供

オーストラリアと言えば、大陸南東部のニュー・サウス・ウェールズ州にあるシドニーを真っ先に思い浮かべる人も少なくないと思います。シドニーと言えば、オペラハウスのイメージが最初に来るはず。

まさに、そのオペラハウスは今年、50周年を迎えます。

オペラハウスのPR担当者に50年の歴史を聞くと、デンマーク人建築家の設計案が国際的なコンペで1959年(昭和34年)に採用され、1973年(昭和48年)に完成、2007年(平成19年)に世界文化遺産に登録され、現在に至るそうです。

上述の担当者いわく「オペラハウスを訪れるなら朝が最高」みたいですが、せっかくなら、22階建てのビルに相当する巨大なオペラハウスを、地上からだけではなく眼下に見下ろすハーバーブリッジ散歩もプラスして体験してみてはどうでしょうか。

「ブリッジ・クライム・シドニー」で登る橋。写真:Tourism Australia提供

シドニーの中心部と対岸を結ぶハーバーブリッジでは「ブリッジ・クライム・シドニー」という観光ツアーが開催されています。

「ブリッジ・クライム・シドニー」のPR担当者であるブロック・グッドヒルさんによれば、高さ134メートルもあるシングルアーチ型の橋のアーチ上を、命綱を付けながら徒歩で渡る体験が大変な人気との話。

1998年(平成10年)の開始以来、140カ国から400万人が訪れた実績もあるのだとか。

オペラハウスをアイキャッチに、時間と共に変化するシドニーの港全体を橋の上から一望できます。家族連れで行く場合、身長が120センチメートル以上ある8歳以上のお子さんであれば参加できるとの話。ぜひ、体験してみてくださいね。

写真:Tourism Australia提供

エアーズロックを背景に空中イルミネーションショー

写真:Tourism Australia提供

オーストラリアと言えば、オペラハウスだけでなく、世界自然遺産に認定されるエアーズロックを連想する人も少なくないと思います。

オーストラリア北部のノーザンテリトリー準州の砂漠にあるエアーズロック(ウルル)と言えば、その岩肌を登る観光客の姿をテレビなどで昔、見た覚えがあると思います。

しかし、2019年(令和1年)から、エアーズロックは登れなくなりました。この地域を伝統的に所有してきた先住民族の聖地であるため控えるようになったのですね。

そのエアーズロックで今年の5月から、新しい楽しみ「ウィンジリ・ウィル(Wintjiri Wiru)」が始まっています。

写真:Voyages Indigenous Tourism Australia提供

ライトを搭載した1000台以上のドローンを飛ばし、一糸乱れぬ動きを遠隔で操作して、エアーズロックを背景に、光と音楽のショーを楽しませてくれる体験プログラムです。

「ウィンジリ・ウィル(Wintjiri Wiru)」の鑑賞ツアーを提供するAyers Rock Resortの担当者によると、エアーズロックのあるウルルに根差した先住民族の物語をテーマにしたショーを、サンセットディナーと共に楽しめるとのこと。

小さいお子さん向けの短い体験コースもあるそうなのでぜひ、体験してみてください。

コアラやクオッカとセルフィ―

野生のワラビー。撮影:坂本正敬

オーストラリアと言えば、カンガルーやコアラなど固有の動物を思い浮かべる人も多いはずです。

ちょっと郊外に行けば野生のワラビーなど、さまざまな動物を間近に見られます(ある旅行関係者いわく、郊外のゴルフ場には野生のカンガルーもいるらしい)。

しかし、現地の人でもさすがに、野生のコアラはなかなか見られないと言います。

そこで、コアラを見たい、抱っこしたい、一緒に写真を撮りたいと思えば、オーストラリア北東部のクイーンズランド州の州都ブリズベンにあるローンパイン・コアラ・サンクチュアリに足を運んでみてはいかがでしょうか。

ローンパイン・コアラ・サンクチュアリのコアラ。撮影:坂本正敬

この動物園は、ギネス世界記録にも登録されていて、世界最古の歴史を誇る上に、世界最大の数のコアラが飼育されている場所でもあります。

追加の料金を支払えばコアラの抱っこも可能です。コアラの独特の肌触りやにおいにはちょっと驚かされるはず。

ロットネスト島。写真:Tourism Australia提供

他にも例えば、西オーストラリア州の州都パースからフェリーで行くロットネスト島も、特別な動物との出会いを楽しませてくれます。

「世界一幸せな動物」だとか「世界一インスタ映えする動物」だとか言われるクオッカがロットネスト島には暮らしていて、口角の上がった、幸せそうに見える小動物との出会いが島では待っています。

クオッカ。写真:Tourism Australia提供

ロットネスト島へのクルーズを含め、各種の体験プログラムを提供するジャーニービヨンド社のジゼル・ホワイトカーさんによれば、ロットネスト島には約1万匹のクオッカが生息していて、かなりの確率で遭遇が期待できるそう。

葉っぱを食べている瞬間などを狙って、適度な距離を取りつつ静かに撮影するといいと、オーストラリア政府観光局のホームページにも記載されています。涼しくなる夕方、クオッカが活動的になる午後4時~5時くらいが狙い目みたいですよ。

アボリジナルピープル(先住民族)の物語に触れる

アボリジナルピープルの踊り。撮影:坂本正敬

最後に、少しデリケートな話題になりますが、オーストラリアへ行ったら、先住民族たちの物語に触れる機会もお子さんに用意してあげてはいかがでしょうか。

オーストラリアではかつて、アボリジナルピープル(先住民族)に対する差別や虐待が存在しました。しかし、2008年(平成20年)に公式の謝罪が発表され、アボリジナルピープル(先住民族)に対する姿勢を国家として一変させたそうです。

その背景には、多文化主義への理解と意識に対する、戦後からの長い時間をかけた醸成があったそう。

現在、オーストラリアではアボリジナルピープル(先住民族)の血を引く方々の話を聞く機会が、いろいろな場所で用意されています。そうした方々との触れ合いを通じて、お子さんたちが、自分の国の歴史(アイヌ民族や琉球民族の歴史)に関心を持つきっかけをつくれるかもしれません。

以上、オーストラリアで開催された国際会議(ATE)に参加し、観光業界の人たちに対して、オーストラリアの見どころやプログラムを聞いた結果を厳選して紹介しました。いかがでしたか。

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

取材ブースを周って話を聞いた実際の会場の様子。撮影:坂本正敬

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取材・文/坂本正敬

【取材協力】
オーストラリア政府観光局
クイーンズランド州政府観光局

【参考】
Oldest koala sanctuary – Guinness World Records
AUSTRALIAN TOURISM EXCHANGE (ATE23)
国民的理解の構築はいかに可能か? ─オーストラリアの事例から─
「世界一幸せな動物」クオッカに会いに西オーストラリア・パースへ行こう!

 

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