『秘密の花園』ってどんな話? あらすじをネタバレ有・無バージョンでご紹介【5分で名作文学】

PR

『秘密の花園』は、孤独な少女メアリーがひっそりと隠された庭園での時間を通して成長していく物語。1911年にフランシス・ホジソン・バーネットが発表しました。そんな『秘密の花園』は、どんな背景で作られたストーリーなのでしょうか。主な登場人物・あらすじなどを確認しながら、世界中で愛される名作の魅力をご紹介します。

『秘密の花園』とは?

孤独だった主人公メアリーが、秘密の花園にひきつけられ、それを再生することで明るく変わっていく物語『秘密の花園』。イギリスの女性作家が発表した小説です。そんな『秘密の花園』は、いつ、どんな風に作られた作品なのでしょうか?

イギリスの女流作家の作品

『秘密の花園』を書いたのは、イギリスの女流作家、フランシス・ホジソン・バーネット。1911年に『秘密の花園』を発表しましたが、当時はあまり反響は大きくなかったと言われています。

原題:The Secret Garden
作者:フランシス・ホジソン・バーネット
国: イギリス→アメリカ
発表年:1911年
おすすめの年齢:小学校中学年以上

フランシス・ホジソン・バーネットってどんな人?

Frances Burnett
フランシス・ホジソン・バーネット Herbert Rose Barraud (1845-1896), Wikimedia Commons(PD)

フランシス・ホジソン・バーネットは、1849年にイギリスで生まれました。幼い頃に父を亡くしたため、16歳のときに家族と共にアメリカに移住。74歳で亡くなるまで、アメリカで過ごしていました。1886年には『小公子』を、1905年には『小公女』を発表したことで、人気を博した人物でもあります。

いつの時代の話?

『秘密の花園』が発表されたのは、1911年。日本は明治44年のことです。

イギリス南東部のケント州、シティ・オブ・カンタベリーの旧市街
イギリス南東部のケント州、シティ・オブ・カンタベリーの旧市街

『秘密の花園』のモデルとなったと言われるのが、イギリスのケント州のグレイト・メイサム・ホールの庭園。200年近く前に建てられた庭園ですが、火災によって消失され荒廃していたのだとか。それを再生させるために、フランシス・ホジソン・バーネットはこの庭園で多くの時間を過ごしていたそうです。『秘密の花園』はそんな当時のイギリスを舞台にしたストーリーです。

物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介

1911年版の表紙
1911年版の表紙 Wikimedia Commons(PD)

『秘密の花園』はどんなストーリーなのでしょうか?  詳しく解説したバージョンと、簡単に解説した2つのバージョンで、あらすじをご紹介します。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

主人公は、イギリスで暮らす10歳の少女メアリ―。両親がコレラにかかり、2人とも亡くなってしまいました。両親の愛を受けず、わがままに育ったメアリーは、イギリスの大きな屋敷に暮らす叔父クレイヴンに引き取られ、そこで暮らすようになります。

あるとき、屋敷の女中マーサから、「秘密の庭」の存在を聞いたメアリー。開かずの扉の先には、隠された庭園があるというのです。そんな庭に興味を持ったメアリーは、一人でこっそりとその庭を探し始めます。仲良くなったコマドリに導かれ、庭の鍵を見つけたメアリーは、その中に足を踏み入れるのです。

そんななか、メアリーはマーサの弟であるディコンと出会い、親しくなります。またあるとき、屋敷の中から泣き声が聞こえるので、その声のもとをたどり、メアリーのいとこであるコリンとも出会います。コリンもメアリーと同様に、親からの愛情を受けずに育ち、病弱でありながら癇癪持ちという性格でした。そんな3人が親しくなり、一緒に秘密の庭をきれいにしようと決めるのです。

荒れ果てた庭を少しずつきれいにしていくメアリーとディコンとコリン。荒廃していた庭が美しい花々や植物できれいに覆われるようになると、不思議なことが次々と起こるようになるのですまず、車椅子生活で立ち上がることができなかったコリンが、ついに自分の足で立てるようになったのです。しかもコリンの父クレイヴンは、妻の死によって自宅には住みつかず各地を旅していたのですが、屋敷に戻ってきました。そしてコリンが自分の足で歩いてかけよってくる様を見て、子どもたちの明るい心に救われるのです。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

親から相手にされず、孤独な気持ちを抱えたまま育った10歳の少女メアリ―。あるとき、両親がコレラにかかり亡くなってしまいました。一人ぼっちになったメアリーは、叔父クレイヴンに引き取られ、大きな屋敷で暮らすことになります。女中のマーサから、その屋敷には「秘密の庭」があると聞いたメアリーは、その庭をひとりで散策することに。コマドリに導かれるように、庭の鍵を見つけたメアリーは、そこに足を踏み入れるのです。

また同時期、マーサの弟のディコンや、屋敷に暮らすいとこのコリンとも出会うメアリー。3人は自然と親しくなり、共同で秘密の庭をきれいにすることを決めるのです。そして、荒れ果てた庭がきれいになっていくと、3人には不思議なできごとが起こるのです……。

『秘密の花園』の主な登場人物

『秘密の花園』の主な登場人物をご紹介しましょう。

メアリー・レノックス

『秘密の花園』の主人公は、10歳のメアリー・レノックス。イギリスで暮らしています。父親は仕事に忙しく、母は社交ばかりを気にしているため、親からの愛を受けずにわがままに育っていました。

ディコン

屋敷の近くに住む12歳の少年。優しい心の持ち主で、動物と心を通わせることができます。メアリーはディコンと親しくなり、いとこのコリンと共に、庭園をよみがえらせるように動き始めます。

コリン

コリンはメアリ―のいとこで10歳です。屋敷に暮らしていて、病気が多くわがままに育てられました。

クレイヴン

コリンの父親で、メアリーの叔父にあたります。屋敷の持ち主ですが、最愛の妻を亡くしてから、ふさぎがちで家もよく留守にしていました。

マーサ

屋敷に女中として働いている女性で、ディコンの姉。とても明るく、メアリーと仲良くなります。

秘密の花園が読み継がれている理由

『秘密の花園』が今でも読み続けられているのは、なぜなのでしょうか?

メアリーの成長

裕福な暮らしをしていたものの、親の愛を受けずに育ったメアリーは、わがままし放題。放漫なふるまいばかりの少女でした。しかし心優しいディコンや、女中のマーサなどと出会い、また秘密の庭をきれいにしていくなかで、人間として成長していくのです。そんなメアリーの成長が、この物語の裏のメッセージとも言えるでしょう。

自然の力で元気になるコリン

病気がちで歩くことすらできなかったコリンですが、メアリーとディコンとともに、秘密の庭を立て直していくと、自然と自分が元気になっていくことを感じます。暗い病室に閉じこもっていた生活から、木々や花々などの自然に触れ、太陽の光を浴びることで、少しずつエネルギーをもらっていったのでしょう。わがままだったコリンが、再び元気になっていくことも『秘密の花園』の醍醐味のひとつです。

映画化も

『秘密の花園』は、これまで映画化もされています。1993年には、アニエスカ・ホランド監督のもとで映画化。物語のストーリーは若干異なりますが、孤独な少女が秘密の花園を再生させ、生きる喜びを取り戻していくという話で、世界中で愛されています。

名作「秘密の花園」を読むなら

『秘密の花園』に興味を持ったら、ぜひこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

『秘密の花園』

新訳による『秘密の花園』。美しい表紙による文庫化で、大人の読者が手に取りやすい一冊です。

『秘密の花園』

絵本や童話の世界でも有名な、堀内誠一さんのイラストも添えられた『秘密の花園』です。

『秘密の花園』DVD

1993年に映画化された『秘密の花園』のDVDです。美しい庭園は実写作品の魅力。映画を観てから原作を読んでもいいですね。

子どもたちの成長と自然の力に触れられる「秘密の花園」

親からの愛を知らずに育ったメアリーとコリンが、秘密の花園を通して成長していく物語。草花が咲き乱れる描写は美しく、そんな自然の存在も子どもたちの心の成長には欠かせないものであることがわかります。長く読み継がれてきた名著の世界に、ぜひ親子で触れてみてください。

こちらの作品もチェック!

『トム・ソーヤーの冒険』ってどんな話? あらすじや登場人物、作者マーク・トウェインについて解説【あの名作をもう一度】
トム・ソーヤーの冒険とは? まず『トム・ソーヤーの冒険』は、だれが、いつ書いた物語なのか、作品の背景に迫りましょう。 アメリカの小説家マ...

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事