目次
トム・ソーヤーの冒険とは?
まず『トム・ソーヤーの冒険』は、だれが、いつ書いた物語なのか、作品の背景に迫りましょう。
アメリカの小説家マーク・トウェインの作品
『トム・ソーヤーの冒険』を書いたのは、マーク・トウェインという小説家。アメリカで1876年に発表されました。前書きから始まり、35章にもわたる大作です。
主人公は、アメリカの片田舎で暮らすトムという少年。彼のさまざまな冒険を紹介する、世界でもよく知られる冒険小説です。
原題:The Adventures of Tom Sawyer
国: アメリカ
発表年:1876年
おすすめの年齢:小学生以上
マーク・トウェインってどんな人?
『トム・ソーヤーの冒険』の著者マーク・トウェインは、1835年にアメリカのミズーリ州で生まれました。彼の代表作は、やはり『トム・ソーヤーの冒険』。そのほか、『ハックルベリー・フィンの冒険』のような冒険小説でも知られています。
マーク・トウェインは、かつて新聞記者として働いていました。マーク・トウェインという名前はペンネームで、水先人への合図の言葉からとってつけられました。
いつの時代の話?
『トム・ソーヤーの冒険』が発表されたのは1876年。日本は明治9年のこと。長く続いた江戸時代が終わり、近代国家に生まれ変わるべく新しい歴史を刻みはじめたころです。
『トム・ソーヤーの冒険』の舞台となったのは、それよりも少しさかのぼって1840年頃のことと言われており、アメリカの小さな片田舎ののどかな町での日々が描かれています。
物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介
では、『トム・ソーヤーの冒険』のあらすじについて紹介しましょう。「詳しく」と「簡単に」の2バージョンでご紹介します。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
主人公は、いたずら好きのワンパク少年、トム。勉強が嫌いで、いつも学校や家の手伝いをサボることばかりを考えて、ポリー叔母さんに怒られるような毎日を送っていました。いつも仲が良かったのは、ハックルベリー・フィン。学校にも行かずに、ホームレス同然で釣りしたり川で泳いだりと気ままな生活を送っていたハックは、子どもたちから尊敬を集めるような存在でした。そんな彼と意気投合したトムは、よくハックとつるんで遊びに出かけるのです。
そんなある日、トムとハックが真夜中に墓場のなかを歩いていると、殺人の現場を目撃してしまうことに。2人は一目散で逃げ出し、見たことを誰にも言わないと誓ったのです。しかし後日、無関係の人にその殺人の罪を着せようとする犯人のことを知り、いてもたってもいられなくなったトムは、勇気を出して自分が見たことを証言。真犯人は裁判所から逃走して行方不明となったのです。
それから夏休みを迎え、トムは同級生のベッキーと一緒に洞窟に出かけました。しかし迷子になった2人は、その洞窟のなかであの殺人事件の真犯人と遭遇。なんとか脱出したトムとベッキーでしたが、その後その犯人がどうなったか気になったトムは、ハックと一緒に再び洞窟に忍びこむことに。すると、真犯人が隠していた金貨を見つけ、2人は一躍有名になったのです。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
勉強が嫌いで、学校をサボったりしていたずらすることが大好きなトム。母親代わりにトムと弟のシッドを育ててくれていたポリー叔母さんは、そんなトムにいつも手を焼いていました。そしてそんなトムがいつもつるんでいたのが、ホームレス同然の暮らしをしていたハック。ハックは大酒飲みの父のため、学校にも行かずに気ままに遊んで暮らしていました。
ある日、夜中に街に繰り出したトムとハックは、墓場で殺人を目撃してしまうのです。真犯人の存在と、別の人に罪をなすりつけようとするその犯人。それを知ったトムは、どうするのでしょうか……?
トム・ソーヤーの冒険の主な登場人物
『トム・ソーヤーの冒険』の物語に出てくる主な登場人物をチェックしましょう。
トム・ソーヤー
主人公の人物で、いたずらが大好きで元気いっぱいの少年。アメリカのミシシッピ川沿いのセント・ピーターズバーグ村に暮らしています。両親はいないため、弟のシッドと一緒にポリー叔母さんに育てられています。
ハックルベリー・フィン
主人公トムの親友。通称「ハック」。子どもなのに、学校にも行かずにホームレス同然の生活をしています。ポリー叔母さんは、トムがハックと仲良くしていることにいい顔をしませんが、2人はいつも一緒に遊んでいたずらなどをしています。
シッド
トムの弟。いたずら好きなトムに対して、シッドは優等生で冒険などには興味がありません。
ベッキー・サッチャー
トムと同級生の女の子。トムが恋する相手です。
ポリー叔母さん
母親のいないトムとシッドのために、母親代わりとなって育てています。ただトムのいたずら好きに、いつも手を焼いています。
トム・ソーヤーの冒険が読み継がれている理由
物語が発表されてから100年以上経っている今でも、世界中で読み続けられている『トム・ソーヤーの冒険』。その魅力は何なのでしょうか?
子どものワクワクが詰まった1冊
子どもなら、まだ知らない世界に憧れを感じたり、大人のような冒険にチャレンジしてみたいと思ったりするもの。そんな子どもたちにワクワクが詰まったのが、『トム・ソーヤーの冒険』。いたずら好きのトムとハックが繰り広げる冒険は、子どもにとってドキドキするシーンが続き、つい引き込まれてしまう世界が広がるでしょう。
映画・アニメでもおなじみ
『トム・ソーヤーの冒険』は、これまでにも何度も映画化されています。1930年と戦前に映画化されたこともあるし、それからまた月日を経て1973年にも映画化されるなど、ベースの物語はそのままに何度も映画化されてきました。
またアニメにもなっていることから、多くの世代の人にもおなじみです(1980年フジテレビ系列「世界名作劇場」第6作目)。トムとハックの最強コンビの冒険ストーリーは、いつの時代も愛され続けている証拠でしょう。
憎めない愛されキャラのトム
いたずら好きのトムは、なんだか憎めない相手。学校をサボったり、家の手伝いをごまかしたり。いつもポリー叔母さんは手を焼いていますが、それでもトムは「しょうがないな」と愛されるような存在であることも、この物語が世界中で読まれている理由のひとつではないでしょうか。
名作「トム・ソーヤーの冒険」を読むなら
『トム・ソーヤーの冒険』を読みたい方は、ぜひこちらをチェックしてみてはどうでしょうか。
小学館ジュニア文庫 世界名作シリーズ『トム・ソーヤの冒険』
小学生にも読みやすく、わかりやすく訳されている『トム・ソーヤの冒険』。日本アニメーションによる挿絵もあり、つい物語の世界に引き込まれていくはず。子どもはもちろん、大人が読み返しても楽しめる1冊です。
『トム・ソーヤーの冒険 トウェイン完訳コレクション』
『トム・ソーヤの冒険』を完訳した1冊です。トム・ソーヤの冒険の世界にぜひとっぷり浸ってみて。
『トム・ソーヤーの冒険』(キャラクターデザイン・ワンダーランド)
アニメーションのキャラクターデザイナーである関修一が、物語の登場人物をアニメに。物語を読んだ後は、キャラクターの貴重な設定資料、アニメーター・こさこ吉重インタビュー、関修一・加藤良雄・松土隆二による座談会なども読んでみて。
親子で『トム・ソーヤーの冒険』を読もう
映画やアニメなどにもなっている『トム・ソーヤーの冒険』。物語が書かれたのは、100年以上も前のアメリカであるため、人種問題や子どもをとりまく環境などで気になる部分はあるかもしれませんが、子どもが小さな冒険を繰り広げていく様子は、読んでいてハラハラドキドキできるはず。どんな時代だったのか、どんなところが今とは違うのか、といったことを親子で話してみるのもいいですね。
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文・構成/HugKum編集部