ラーメン店の行列に「〇名お待ちです」とは言わないワケ
人の数を表すとき、「~人(にん)」と言ったり「~名(めい)」と言ったりします。何か違いはあるのでしょうか?
個人を 特定できるかできないか
もちろん実質的な数に違いはありません。でも、「~人」と「~名」では、意味のうえで違いがあります。それは、その人たちを個人として特定できない場合は「人」、個人として特定できる場合は「名」を使うということです。
たとえばラーメン店で順番待ちをしている人は個人として特定できませんから、「10人」のように「人」を使います。
これに対して、参加者や出席者、名簿に記載されている人の数を数える際には「名」を使います。「名」の方が「人」よりも丁寧な言い方になると考えていいでしょう。
名前を書いて待つ場合は、「〇名」を使うほうが〇
これをラーメン屋さんで順番待ちをしている人で考えてみます。店の人に「お名前を書いてお待ちください」と言われることがあると思います。このような場合は、店の人は客の名前がある程度特定できるわけです。従って、客に聞こえるときは、「お待ちは○人(様)です」ではなく「お待ちは○名(様)です」と言った方がいいわけです。
ただ、その使い分けは、そうしなければいけないという決まりがあるわけではありません。あくまでも習慣的なものです。
そのため時と場合によって、あるいは人によって、適宜使い分けがなされているようです。たとえば、新聞では「人間は『人』で数える。『名』は使わない」(共同通信『記者ハンドブック』第14版)としています。
新聞記事では敬意を込めて書くということは、おそらくほとんどないでしょうから「人」に統一しても問題はないのです。
でも、一般には個人を特定できるかどうかで、「人」と「名」を使い分けるといいと思います。