子どもを飲み会に連れて行くのは非常識?職場の飲み会で感じた周囲の反応【シングルファーザー奮闘記】vol.5

妻が癌と分かってから1ヶ月で他界。突然のことで、戸惑いながらも残された僕と娘は、落ち込む暇もなく日常生活に追われます。娘は周囲のサポートのおかげで何とか幼稚園を卒園。娘は小学校へと入学しました。ところが、ちょうどその頃、職場の仲間からの飲み会の誘いが何度かあり、困った挙句、僕が取った行動は娘を連れて行くと言う選択でした。そのことについて今回はお話させてください。

子どもを飲み会に連れて行くのは非常識?

娘と2人の生活になってからは、アルコールが入らない食事会でさえ娘と一緒に参加したことはありませんでした。理由としては、職場の仲間が人見知りの娘に気を遣ったり、途中で娘が愚図ったりしたら、迷惑をかけるだろうと思ったからです。

また、アルコールが入る飲み会に子どもを連れて行くのは非常識だと感じる人もいるだろうと懸念もありました。なので、今回も職場の仲間に飲み会のお誘いを受けたとき、当たり障りのないよう断ろうと思いました。

ところが、今回の飲み会は少し違って送別会とのこと。ホテルのラウンジで開催するから、結婚披露宴のように4~6人用のテーブルを数卓配置するとのことなのです。その中の1つのテーブルに僕と娘、そして別の同僚とその娘さんと一緒に座って欲しいとのこと。

僕たちが参加することで、別の同僚の娘さんも参加しやすくなるからとのことでした。それでも僕は悩みしましたが、娘さんを連れてくる同僚にも「娘さん同伴で一緒に参加しましょう」と背中を押され参加することにしました。

先輩の意外な一面

当日も娘が愚図ったりしないか心配ではありましたが、同僚の娘さんがいたこともあり、楽しんでいる様子。娘に対する周りの反応も想像以上に温かく、他のテーブルからわざわざ娘へ声を掛けに来てくれる方が沢山いるほど!

笑わない先輩が笑った!

僕があまり話をしたことがない、寡黙な先輩が娘の隣に座り、子ども同士が遊んでいるような雰囲気で遊ぶ場面まで目の当たりにしました。

それまで先輩が笑っている様子をあまり見たことがなかったので、娘と一緒に笑顔でふざけ合っている姿には本当にビックリ。それと同時に先輩の意外な一面に僕は親近感を持ちました。この出来事がキッカケで僕は先輩と話すようになり、今でも仲良くさせてもらっているほど。

きっと、娘が一緒に参加していなければ、僕は先輩と気軽に話せる仲にはなってなかったと思います。また、この会を通して、他の同僚からも娘の話題で声を掛けてもらえる機会が増え、周りの方との会話が多くなりました。

飲み会は親とは違うタイプの大人と接する機会

この日以降「娘さんも一緒に参加してよ」と当たり前のように飲み会へのお誘いが。もちろん毎回のように参加は出来ませんでしたが、間を空けて参加すると、娘の背が伸びたことや大人っぽい顔になっていることなど、成長した姿を見て本当に喜んでくれるのです。

いつの間にか、飲み会を通じて、娘の成長を同僚が見守ってくれているようにさえ感じました。

娘の方も「あのおじちゃんや、おばちゃんにまた会いたい」と家で言うことも増え、娘自身も本当に楽しんでいたのだと思います。特に「あやとり」などの僕が出来ない遊びを教えてもらっているときの娘は大興奮。

あやとり以外にも絵の描き方など、いろんなことを職場の飲み会で娘は覚えてきました。今考えると、娘にとって職場の飲み会は僕とは違うタイプの大人と接する良い機会にもなっていたのかもしれません。

送別会の余興にも参加

ある送別会では、僕や同僚たちの中に娘も入り、一緒にダンスを練習して披露したこともありました。そのおかげか、娘の人見知りは徐々に解消。初めて出会う人ともすぐに仲良くなれる性格になれたのです。

子どもは飲み会で「仕事は楽しい」とイメージするように

お子さんを飲み会へ連れていくことで、誰かを不愉快にさせたり、迷惑をかけたりしてしまうかも……と考える方って多いかもしれません。前述したように僕もその一人でした。しかし、今は娘と一緒に飲み会に参加して本当に良かったと思っています。

現在、高校生になった娘は、当時に参加した飲み会の思い出を今でも笑顔で話してくれることがあります。僕が仕事で関わる方々と一緒に楽しい時間を過ごせたことで、「仕事は楽しい」というイメージを娘は持っているようです。そして僕自身も娘と参加した飲み会以降、以前より職場を好きになり、仕事が楽しくなったのですから、不思議。もし、職場の飲み会へお子さんと一緒に参加することへ躊躇している方がいましたら、ぜひ一度は参加してみて欲しいものです。今まで想像していた心配が吹き飛ぶはず……。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。すべての親子が幸せになりますように!

続きのお話し「娘の家庭科の「裁縫」を教えることができない…玉結びや玉止めをメチャクチャにやった結果【シングルファーザー奮闘記】vol.6」は、こちら>>

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文・構成/ひまわりひであき ※写真はイメージです。

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