【シングルファーザー奮闘記】娘の家庭科の「裁縫」を教えることができない…玉結びや玉止めをメチャクチャにやった結果、嬉しい誤算がvol.6

妻が癌と分かってから1ヶ月で他界。突然のことで、戸惑い先が見えない状態でしたが、いろんな方に支えられながら娘は小学校高学年に。学校生活の方も順調に楽しみながら、学校であったことを毎日話してくれていました。そんな会話の中、娘が授業で分からなかったことを僕に質問してくることも。あるとき僕は、娘へ間違ったことを教えたことがありました……。そのことについて今回はお話させてください。

塾では教えてもらえない教科「家庭科」に苦戦

娘は塾に通っていたので、算数などの教科で分からないところがあり、それを僕が教えられなかったとしても塾の先生のサポートでそれらを解決していました。

しかし、塾では教えてくれない教科がありますよね。

その一つが高学年になって始まった「家庭科」。

家庭科の授業の特徴として、調理実習と裁縫があります。

僕にとってはどちらも得意ではありませんでしたが、自己流でありながらも自宅でご飯を作っていたので、調理の方は娘から質問があってもなんとかなっていました。

その一方で、どうにもならなかったのが裁縫。

恥ずかしながら僕は裁縫をほとんどしたことがありませんでした。

何かを作成するどころか、自分の服のボタンさえも付けたことがないほど……。

しかも僕は自分でも嫌になるほど手先が不器用で針を通すことさえもままならないんですよね。

「玉結びと玉止めってどうやるの?」

ある日、そんな僕に娘が家庭科の授業で作っているエプロンを持ってきました。

授業だけでは終わらないので、宿題として家で作業を進めなければならないとのこと。

そして、「パパ、玉結びと玉止めをやってみて」などとお願いしてくるのです。

僕は玉結びや玉止めは、糸で玉を作ってその玉が布から抜けなければOKだと思っていたので、とりあえず玉を大きめに作って娘に見せました。

玉の作り方はもちろん、メチャクチャ……。

玉の大きさも毎回変わります。

それでも娘は「ちゃんと糸が止まっているね」と喜んでくれました。

そして僕のやり方をマネして覚えるのです。

誰に似たのか分かりませんが、娘も授業で正しい玉結びのやり方を覚えていないのですよね(笑)。

娘はいつも以上に自分自身を誇らしく感じたのかもしれない

後日、娘が僕に「パパの玉結びと玉止めのやり方は間違っていたよ!」とムスッとしながら言ってきました。

授業で友達がやっているのを見て正しいやり方に気がついたらしいです。

僕が「あ~、やっぱり駄目だったか」と言うと、娘は「もう裁縫のことはパパには教えてもらわない」と。寂しい気持ちはありましたが、冒頭でも述べた通り自分でも嫌になるほどの不器用な僕にはホッとした気持ちも正直ありました。

その後娘が裁縫のことで僕に質問やお願いをしてくることはなかったのですが、ある日「パパ、完成したよ!」と間違った玉結びと玉止めを教えたときのエプロンを見せてくれました。

そして作製中に苦労したことや上手くできたことを嬉しそうに話してくれました。

僕ができない事なので、娘はいつも以上に自分自身を誇らしく感じたのかもしれませんね。

「パパ、どれを作って欲しい?」

その後、授業の裁縫で何かを製作するとなると、製作キットのカタログを持ってきて「パパ、どれを作って欲しい?」と事前に聞いてくれるようになり、僕が選んだものを作ってくれプレゼントしてくれるようになりました。

もちろん、作製中も毎回得意げに話してくれました。

娘からプレゼントされた中でも、特にお気に入りなのがこのトートバック。

今でも大事に使っています。
今でも大事に使わせてもらっています。

親が出来ないほうが、子どもは成長する!?

僕が苦手過ぎたことで裁縫を娘に教えてあげることは出来なかったのですが、娘が僕よりも何かを上手に出来るようになったことで、娘は以前より自分に自信を持てるようになったと思います。

なんでも教えてあげられる親は頼りになりカッコイイですが、親が出来ないからこそ子どもの成長のプラスになることもあるのだと考えさせられる出来事でした。

そして僕が教えた玉結びと玉止めは、今でも娘と一緒に笑える良い思い出になっています。

ちなみ僕は未だに正しいやり方で両方とも出来ません……(笑)。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

すべての親子が幸せになりますように!

次回は、妻が亡くなったことを娘が隠すようになった話をお話をさせてください。(現在、執筆中)

続きはこちら>>「高学年になった娘が母親の死を隠すように…笑顔の奥に隠された悩みとは?【シングルファーザー奮闘記vol.7」

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文・構成/ひまわりひであき ※トートバッグ以外の写真はイメージです。

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