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赤ちゃん返りしないよう次女を長女の赤ちゃんとして育てた
弟や妹が生まれて、上の子がお兄ちゃんやお姉ちゃんになる。それはとても幸せなことですが、上の子が寂しさを抱え赤ちゃん返りしてしまうことも。1歳差で娘さんを出産した中林美和さんに、当時実践していた子育て方法を伺いました。
2人の娘さんは年子ですよね?
中林さん:とにかく寝てくれないと言うか、1人起きたらもう1人も起きるし、私はいつ寝るのって。お風呂も大変だし、次女のミルクと長女の離乳食の準備を同時にするとか、お姉ちゃんにおむつをつけたら妹のサイズだったり(笑)。大変すぎて記憶がないです。
そんな姉妹ですが仲はいいですか?
中林さん:うちは4人兄弟姉妹ですが、みんな仲良しです。娘たちは今20歳と19歳ですけど、毎日のように電話をしているし、会えば手を繋いで歩いたり、お風呂も一緒に入るくらい、ずっとべったりしています。
姉妹が仲良くなるための秘訣は?
中林さん:下の子が生まれると、上の子が赤ちゃん返りするというのは周りから聞いていたから、どうやったら嫉妬とかしなくなるかなって考えたとき、ママの赤ちゃんではなく、”ママはあなたの妹ちゃんを産むのよ”って伝えました。
次女が泣いていたら、長女に「あなたの妹ちゃんが泣いてる」って言うんです。すると、「ママ!私の妹ちゃんがご飯欲しがっているかも。ミルクをあげて」って、お姉ちゃんが一緒にお世話してくれるようになって愛情をたくさん注いでくれました。結果的に赤ちゃん返りすることもほとんどなく、長女の愛情を次女がそのままを受け取って育って、小さな頃から本当に仲良しに育ちました。
育児はエンターテインメントとして臨んだ
育児をするなかで、常にご自身でどうするのがいいのか考え実践している中林さん。心がけていたことは●●しなさい!とはできるだけ言わないこと、そしてなにかできたときには大げさなくらい明るく褒めていたそう。
子育てに関して心がけていたことはありますか?
中林さん:勉強をしなさい!とか、なにかをしなさい!って、あんまり言ったことがないですね。勉強をしなさいって本当にほとんど言ってこなかったかも。
宿題しなさい!もないですか?
中林さん:宿題しなさいというよりは宿題終わったの?みたいな感じ。言わなくても、子どもたちは自発的にやっていましたね。そのときにすごく褒めてあげる。(テンションの高い声で)“すごい!よく頑張ったねー!”って。毎日褒める褒めるって感じで、褒めて伸ばすことを大事にしていました。
さっきの褒めるときの声を聞くと、育児の際はテンションを上げていたんですか?
中林さん:あげていたと思います。もうエンターテイナーですよね。いかに気分を盛り上げテンションを上げるかで必死でした。
宿題をやってなかったとしたら、私が料理作ってる時に、「じゃあここで宿題するのはどう?」って明るく言ったり。すると、私がご飯を作ってる間に宿題をするっていうのが、習慣づきました。 ママがキッチンに行ったから、宿題をしようかなって感じで。
そうは言ってもイライラすることはなかったんですか?
中林さん:この間長女に、「ママはほとんど怒ったことがなかったよね」って言われて。もちろんイライラはするんですが(笑)。
イライラしても、感情的に子どもに怒ったりしないようにしていました。怒るよりは説明する感じ。(子どもがやったことが)どうしてそれがいけない事か言葉で伝えたり、時には紙に書いて説明したり、同じ事を私がしてみたり、色々な方法で伝えるようにしていましたね。
反抗期の時はこちらも無視して話しかけた(笑)
それでも娘さんたちが成長するにつれて、反抗期もあったはず。きつい態度や言い方をされて、イライラしてしまうことはなかったのでしょうか。
反抗期のときもですか?
中林さん:娘にも反抗期はちらっとありましたが、なんかかわいいじゃないですか。「一生懸命ムキになっちゃって」、みたいな感じで。
でも(反抗期の子どものイライラの感情に)正面から向き合うと、私もイライラしてしまうから放っておいてました。
反抗期は成長期の当たり前の時期と思っていたから、どしっと構えて、はい、怒ってくださいって。
あと、子どもたちに無視されても、私はめげずに永遠にしゃべりかけていたことも。冷たい反応されても「ママこれ買ったんだけど!見て見て〜」とか言って(笑)。
子どもたちも怒っていたことを忘れるんですよね。それでいつの間にか反抗期も終わっていました。
いつも明るくご機嫌なママだったんですね
中林さん:楽しい方がいいなって。私がイライラしちゃってるときは隠さず自己申告してました「ごめんね、ママ、今〇〇ですごくイライラしてる!」って(笑)。すると子どもも「わかった」って放っておいてくれて。ママは完璧じゃないっていう姿も見せていました。昔からなんでも話す、友だちみたいな親子なんです。
子育てを卒業した今になって思うこと
振り返ってみると、子育てはあっという間だったという中林さん。「子どもが小さかった頃、結構忙しくしていたけど、もっと構ってあげればよかったな、そんなに時間を削って仕事しなくてもよかったな」と今になって思うことも。育児と仕事の両立ではいつも葛藤していました。
中林さん:仕事が立て続けだったとき、「ママ行かないで」とか「お仕事しないで」って言われて泣かれちゃった時の顔は、未だに覚えています。大きくなった今は一緒にいられないじゃないですか。あの時は精一杯だったけれど、もっと上手に時間を使えたんじゃないかなって振り返るときもありますね。
今になってもっとこうしてあげたかった!ってことは?
中林さん:もっと抱きしめてあげたかったとか、もっといろんなところに行きたかったとか。手を繋ぎたかったとか、一緒に寝たかったとか。思うことはたくさんありますね。「1分でも早く寝て!」って小さな頃は毎日思っていました。でも寝かしつける時間はもう二度と来ない。ママ~ってきてくれるのって今思うと本当に一瞬だったなぁ。
子育てには正解がないから、いろんなことにトライ
「子育てには正解がないから、本当に。いろんなことを試してって。やってみてって感じです」と最後までにこやかにお話してくれた姿が印象的でした。
エンターテイナーとなってハイテンションで接する、反抗期の娘さん対して向き合いすぎず受け流す、“次女を長女の大切な赤ちゃん”として育てるなど、いろいろなアイデアを実践し、子育てをしてきた中林さん。今しかない子育てを楽しむというポジティブな気持ちは時に忘れがち。あまり子どもの感情に向き合いすぎず、常に明るく、ときには自分のイライラを申告しながら、自然体で付き合うことが、楽しみながら子育てをする秘訣なのかもしれません。
中林さんのインタビュー記事はほかにも。こちらもチェック!
お話を伺ったのは…
2018年 スパブランド「MAROA」を立ち上げ、代表兼プロデューサーとしても活動中。忙しい女性のためのライフスタイルブランド「chairs-em」も手掛けている。著書に『中林美和のハートフルデイズ』、初のエッセイ『おんぶにだっこにフライパン!』など。
中林美和さん【公式】Instagram→@miwanakabayashi
MAROA【公式】Instagram→@maroa_organic
chairs-em【公式】Instagram→@charisem_official
取材・文/長南真理恵 撮影/五十嵐美弥