「あさひやま行動展示」見学記 動物園は何を伝えられるのか?

こんにちは、ZOOたんこと動物園ライターの森由民です。私は日本で唯一の動物園ライターとして、千葉市動物公園勤務のかたわら全国の動物園を飛び回り、飼育員さんたちと交流しています。

ただ歩くだけでも楽しい動物園。しかし、 動物のこと・展示や飼育の方法など、少し知識を持つだけで、さらに豊かな世界が広がります。そんな体験に向けて、「ZOOたん~全国の動物園・水族館紹介~」のコーナーでは、ささやかなヒントをご提供できればと思います。※以下は、あくまでもわたし個人の考えです。

●今回ご紹介する動物:
ゴマフアザラシ・キングペンギン・ユキヒョウ・ボルネオオランウータン・カバ・シンリンオオカミ・ヤギ

●訪ねた動物園:旭川市旭山動物園
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2004/6に開設された「あざらし館」。中でもゴマフアザラシの垂直の動きを見せるマリンウェイは、幻想的ともいえる水塊の魅力とともに(※)、来園者にアザラシの「すごさ」を再認識させて、旭山動物園の「行動展示」のシンボルのひとつとなりました。

※創案者である現園長・坂東元さんは、SF映画のひとこまのホログラフィにヒントを得たとも言います。
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旭山動物園の行動展示は、その動物固有の行動を引き出し動物種ごとのそれらしさが一番よく現れる状態を創り出します。「ペンギンが空を飛ぶ」と評判になった「ぺんぎん館」も、水中で観察してこそのペンギンの姿が展示されています(※)。

※「ぺんぎん館」では4種のペンギンと出逢うことが出来ます。写真はキングペンギンです。
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動物たちとの間近さも意識されています。旭山動物園の展示施設は、まさに動物たちの魅力を目の当たりに出来るように図られています。様々な角度からの観察も可能です。

たとえば、「もうじゅう館」のユキヒョウ。頭上のかれらを見上げれば、肉球や毛並みまでがつぶさに見て取れます。それでも動物たちが落ち着いているのは、かれらの習性にかなった「安心感」が用意されているからです。

ユキヒョウは険しい岩山なども自在に飛び回る身体能力を持ちます。かれらは高みにいる限り、自分の力に自信を持てるので、たとえ見上げられていても平気なのです。ここではそのような配慮や施設の工夫が「頭上で寛ぐ」というユキヒョウらしい行動を引き出しています(※)。

※「行動」とは習性に根差した特徴というべきものなので、激しい動きだけでなく休憩や睡眠も行動展示の目玉となり得ます。

「あざらし館」の魅力を分析 >>

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