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B型肝炎は、重症化すると命に関わることも
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスに感染すると、一過性の急性肝炎と、慢性化してキャリアになる場合があります。キャリアになると、時間をかけて肝硬変や肝がんなど命に関わる病気を引き起こすこともあります。
一方、急性肝炎は、急激に悪化して突然、肝臓が機能しなくなる劇症肝炎になる恐れもあります。また急性肝炎は回復しても、肝臓の細胞の中にB型肝炎ウイルスが潜伏し続けます。潜伏したウイルスが将来、免疫力の低下などによって、肝臓の病気を引き起こす可能性もあります。
3歳までにB型肝炎ウイルスに感染すると、キャリアになりやすい
現在、B型肝炎ワクチンは生後2カ月になったらヒブワクチンなどと同時に接種することが多いです。B型肝炎ワクチンが定期接種になった背景の1つには、3歳までにウイルス量が多い人から感染を受けると、キャリアになりやすいためです。
唾液、涙、汗からB型肝炎ウイルスに感染することも
B型肝炎ウイルスの感染というと、母子感染など家族間での感染をイメージするママ・パパもいるでしょうが、原因不明のこともあります。また唾液、涙、汗の中にも感染リスクがあるウイルス粒子があることがわかりました。
人と接触するコンタクトスポーツは、感染リスクあり
唾液、涙、汗は皮膚の傷から入って感染することもあります。皮膚の傷といっても大きな擦り傷や深い切り傷だけでなく、肌荒れ、かぶれなど目に見えないような小さな傷から感染する可能性もあります。
たとえばサッカーやバスケットボール、レスリングなど、人と接触するスポーツ(コンタクトスポーツ)をしている子は、傷ついた皮膚に相手の汗がつくなどしてB型肝炎ウイルスに感染することもあるので、任意接種でもB型肝炎ワクチンを受けたほうがいいです。
誰でも、B型肝炎ウイルスに感染する可能性がある
またコンタクトスポーツだけではなく、たとえば災害時などにけがを負ってしまい感染する可能性もあります。
B型肝炎ウイルスは、いつ・どこで・誰が感染してもおかしくないです。とくにアジアとアフリカは、B型肝炎ウイルスの関連死が多いので、子どもだけでなくママ・パパもB型肝炎ワクチンを接種したほうがいいでしょう。けして他人ごととは思わないでください。
3回接種で、費用は1回約5000円~8000円
任意接種のB型肝炎ワクチンは、何歳までに受けなくてはいけないという決まりはありません。接種回数などは次の通りです。
【B型肝炎ワクチン】
■予防できる病気 B型肝炎
■ワクチンの種類 不活化ワクチン
■接種回数 3回(4週間隔で2回、さらに1回目から20~24週を経過した後に1回)
■接種量 10歳未満0.25ml 10歳以上0.5ml
■費用 1回約5000円~8000円(医療機関によって異なる)
世界では、国民全員が接種を受けるユニバーサルワクチンに
B型肝炎ワクチンの予防効果は約20年と言われています。
日本でも2016年10月1日からB型肝炎ワクチンが定期接種になりましたが、WHOは1992年にB型肝炎ワクチンのユニバーサル化を推奨していて、国民全員が接種を受けるユニバーサルワクチンという考え方が世界標準になっています。
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記事監修
取材・構成/麻生珠恵