【B型肝炎ワクチン】2016年以前に生まれた子も積極接種を!サッカー、バスケやっている子に接種を勧めるこれだけの理由

現在、B型肝炎ワクチンは定期接種です。定期接種になったのは、2016年10月1日から。同年4月1日以降に生まれた子どもは定期接種でB型肝炎ワクチンを受けていますが、それ以前に生まれた子どもは、任意接種でB型肝炎ワクチンを受けることになります。
任意接種というと「接種しても、しなくてもどちらでもいい」「希望者だけが接種する」と考えがちですが、B型肝炎ワクチンは任意接種でも積極的に受けたほうがいいそうです。済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科専門部長 乾あやの先生に、B型肝炎ワクチンの重要性について聞きました。

B型肝炎は、重症化すると命に関わることも

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスに感染すると、一過性の急性肝炎と、慢性化してキャリアになる場合があります。キャリアになると、時間をかけて肝硬変や肝がんなど命に関わる病気を引き起こすこともあります。

一方、急性肝炎は、急激に悪化して突然、肝臓が機能しなくなる劇症肝炎になる恐れもあります。また急性肝炎は回復しても、肝臓の細胞の中にB型肝炎ウイルスが潜伏し続けます。潜伏したウイルスが将来、免疫力の低下などによって、肝臓の病気を引き起こす可能性もあります。

3歳までにB型肝炎ウイルスに感染すると、キャリアになりやすい

現在、B型肝炎ワクチンは生後2カ月になったらヒブワクチンなどと同時に接種することが多いです。B型肝炎ワクチンが定期接種になった背景の1つには、3歳までにウイルス量が多い人から感染を受けると、キャリアになりやすいためです。

唾液、涙、汗からB型肝炎ウイルスに感染することも

B型肝炎ウイルスの感染というと、母子感染など家族間での感染をイメージするママ・パパもいるでしょうが、原因不明のこともあります。また唾液、涙、汗の中にも感染リスクがあるウイルス粒子があることがわかりました。

人と接触するコンタクトスポーツは、感染リスクあり

唾液、涙、汗は皮膚の傷から入って感染することもあります。皮膚の傷といっても大きな擦り傷や深い切り傷だけでなく、肌荒れ、かぶれなど目に見えないような小さな傷から感染する可能性もあります。

たとえばサッカーやバスケットボール、レスリングなど、人と接触するスポーツ(コンタクトスポーツ)をしている子は、傷ついた皮膚に相手の汗がつくなどしてB型肝炎ウイルスに感染することもあるので、任意接種でもB型肝炎ワクチンを受けたほうがいいです。

誰でも、B型肝炎ウイルスに感染する可能性がある

またコンタクトスポーツだけではなく、たとえば災害時などにけがを負ってしまい感染する可能性もあります。

B型肝炎ウイルスは、いつ・どこで・誰が感染してもおかしくないです。とくにアジアとアフリカは、B型肝炎ウイルスの関連死が多いので、子どもだけでなくママ・パパもB型肝炎ワクチンを接種したほうがいいでしょう。けして他人ごととは思わないでください。

3回接種で、費用は1回約5000円~8000

任意接種のB型肝炎ワクチンは、何歳までに受けなくてはいけないという決まりはありません。接種回数などは次の通りです。

B型肝炎ワクチン】

予防できる病気 B型肝炎

ワクチンの種類 不活化ワクチン

接種回数 3回(4週間隔で2回、さらに1回目から2024週を経過した後に1回)

■接種量 10歳未満0.25ml 10歳以上0.5ml

費用 1回約5000円~8000円(医療機関によって異なる)

世界では、国民全員が接種を受けるユニバーサルワクチンに

B型肝炎ワクチンの予防効果は約20年と言われています。

日本でも2016101日からB型肝炎ワクチンが定期接種になりましたが、WHO1992年にB型肝炎ワクチンのユニバーサル化を推奨していて、国民全員が接種を受けるユニバーサルワクチンという考え方が世界標準になっています。

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記事監修

乾あやの(いぬい・あやの)先生|済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科専門部長
専門は肝臓、感染症、代謝異常。日本小児科学会専門医、日本肝臓学会専門医・指導医、小児栄養消化器肝臓学会認定医。

 

取材・構成/麻生珠恵

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