ヌートバー久美子さん「末っ子のラーズは本当にママっ子で…。子育てでは4つのことを大切にしていました!」

今年3月に開催されたワールドベースボールクラシック(WBC)で優勝した、侍ジャパン。そのムードメーカーとして一躍脚光を浴びたのが、日系人の現役メジャーリーガーとして初めて参戦した、ラーズ・ヌートバー選手です。今回HugKumでは、ヌートバー選手と同様に日本中で注目を集めた母親の久美子さんにインタビューを実施。底抜けに明るい久美子さんに、アメリカでの子育てや、自他ともに認める「ママっ子」であるヌートバー選手の知られざる少年時代についてお話を伺いました。

ガールフレンドも認める「ママっ子」

――WBC後、メディアに出ずっぱりでしたね。最近は落ち着きましたか?

久美子さん はい、だいぶ落ち着いてきましたね。最近だと、代理人さんから、母の日(5月14日)にテレビでサプライズをしないかという話をもらいました。それで当日、ラーズ(ヌートバー選手)には連絡しないで彼のインタビュー中に登場したら、ラーズが泣いちゃって。

――「ESPN」というアメリカ全土に視聴者がいるチャンネルでしたね。「なんだかグッときた」といって、涙ぐんでいました。

久美子さん WBCの時、日本のメディアにも言っていましたけど、今回はアメリカ中に「ママっ子」だとばれちゃいましたね。まあ、友達もみんなラーズはママっ子だっていうのは知ってるし、ガールフレンドも「ラーズはママっ子で、クミが一番だからしょうがない」って認めるんですよ。だからしょうがないんですけどね(笑)。今でも、遠征先で撮った写真をいつも送ってくれます。

面影が残るラーズ・ヌートバー選手
小学生のころのラーズ・ヌートバー選手。面影が残る。

――「どうやったら、ヌートバー選手のように育つのだろう」と思うママは多いと思います。まずは、子ども時代のことを教えてください。

久美子さん とにかく、喜怒哀楽がはっきりしていました。お兄ちゃんやお姉ちゃんとは、ぜんぜん違うタイプなんですよ。夫や周りの人に言わせると、なんでもすぐに表情に出てしまうところが私とラーズはよく似ているみたいで、自分でもそう思うところはありますね。ラーズの前では、私の方がしっかりしているとアピールしたくて、否定しますけど。

ヌートバー家の子育て4カ条

――そうなんですね(笑)。子育ての際、なにか意識していたことはありますか?

久美子さん 夫も子どもたちも、「厳しかった」と言うんですよ。私にとっては当たり前のしつけで、そうは思わないんですけどね。私は三人姉妹の長女で、私たちも両親に厳しく育てられたから、その影響はあると思います。結婚して子どもが生まれると、こういうことを教えなくちゃいけないんだなってことが、自然に出てきたような気がするんですよ。子どもの頃、母や父に言われたことが、どこかに残っていたんでしょうね。

――久美子さんは、ご両親からどんなことを言われて育ったのでしょうか?

久美子さん 挨拶の仕方が悪いと、すぐ父親に怒られました。客商売をしていたこともあってか、大きな声でニコニコしながら挨拶をしなさいと言われていましたね。母親から教わったのは、食事の時のマナー。今思えば、厳しく躾けられたというより、「生きていくうえで基本的なこと」を両親から学んだという感覚です。

――過去のインタビューで、子育ての際に大切にしている4つのことを挙げていました。挨拶と目上の人を敬うこと、時間厳守、友だちを大切にすることです。

久美子さん そうですね。その4つは意識していました。時間に関しては、自分が仕事をするようになってから、特に大事に思うようになって。アメリカは比較的時間にルーズなところもあるけど、子どもたちには、約束の時間を決めたらそれを守って、人を待たせるのはやめなさい、自分が待つ立場になりなさいと伝えていました。

久美子さんが子どもたちに絶対に許さなかったこと

――挨拶に関しては、久美子さんのご両親の教えの通りですね。

久美子さん はい。うちは小さな町に住んでいるので、通りすがりの人もにこっとしたり、「ハイ!」と声をかけたりします。もちろんしない人もいるけど、挨拶をしてもらったほうが嬉しいですよね。だから、先生にでも友達でもちゃんと挨拶しなさいということは、子どもたちが小さな頃から口を酸っぱくして言っていました。あと、なにかしてもらった時には必ず「ありがとう」と言いなさいということも、教えました。

――目上の人を敬うのは、日本人には馴染みのある文化です。

久美子さん アメリカは、目上の方でもファーストネームで呼び合うのが普通なんです。でも、私がプリスクール(34才児が通う幼稚園)で教えるようになった時、子どもたちにいきなり「Kumi」と呼ばれることもあり、違和感があったんですよね。生徒達は説明会で先生やスタッフをMrs. やMs. をつけて呼ぶように指導されるんですけどね。
日本だと、目上の人には「さん」をつけるじゃないですか。それで、子どもたちには「初めて会う人には必ずミスターかミセスをつけて、ラストネームを呼びなさい。相手がファーストネームで呼んでいいよと言ったらそうしなさい」と教えていました。

――お話を聞いていると、日本とアメリカの文化の違いもあるなかで、「うちはこう育てる」というハッキリした意志を感じます。

久美子さん はい、周りはどうであろうと、うちはこうするという方針を持っていましたね。例えば、中学生、高校生になると友だちの家にお泊りに行きますよね。うちは、それを絶対に許しませんでした。1回だけOKしたことがあるんだけど、結局寝ないで遊んでるから、次の日もぐたーっとしてなにもできなくなるでしょう。それで体調を崩すのも困るから、どれだけ頼まれてもダメなものはダメ。「23時まで遊んでていいよ、その時間に迎えに行くね。翌朝6時からまた遊んでもいいから、寝る時は家で寝なさい」と言っていましたね。

――それはそれで、強い意志が必要ですね。

久美子さん いつもダメと言っていたから、そのうちすぐに諦めるようになりました(笑)

幼い頃から野球やアメリカンフットボールの選手でスポーツ万能だったヌートバー選手
幼い頃から野球やアメリカンフットボールの選手として活躍していたヌートバー選手

友だちは一生の宝

――子育てにおいて、友だちとの関係は重要なポイントだと思います。「友だちを大切にすること」を教えようと思ったのはなぜですか?

久美子さん ある程度の年齢になると、親に打ち明けられないことも出てきますよね。その時に相談できる友だちがいるって、絶対に必要なことじゃないですか。だから、いつも友だちは大事にしなさいと言ってきました。

――ヌートバー選手も友だちが多そうですね。

久美子さん プリスクールの頃からのお友だちがいますよ。みんな試合を観に行ってくれるし、シーズンオフに帰ってきたら、その子たちともいつも遊んだり、ご飯を食べに行ったりしています。私も、今でも幼稚園や小学校の友だちともすごく仲良くしてるんですけど、やっぱり一生の宝物ですよね、友だちって。

 

次回、どちらの文化もいいとこどり!ヌートバー久美子さん流自然体の子育てで、子どもたちは反抗期知らず!?(中編リンク)

 

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取材・原稿/川内イオ

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