女の子の友達がいない小5の娘。 遊ぶ約束は男の子だけ。 同性の友達がいないのが心配です【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

同性の友達がいない5年生の娘が心配。幼稚園のころのいじめが原因?

5年生の長女は女の子の友達がつくれないようです。幼稚園のころ、感染症で休み、登園したときにある女の子の指令で「うつるから遊ばない」と意地悪されたことがあり、それが原因? とも思います。1年生のときひとりだけ家に来たことはありますが、今は遊ぶ約束も男の子だけ。行事や班行動では女の子とも付き合っていますが、あまりにも同性の友達がいないので心配です。アドバイスをお願いします。

 女の子の友達がいないと不幸ですか?原因を探ってもいいことはありません。

 女の子の友達がいないといけませんか? 友達が少ないとダメですか? あなたの価値観が、わが子と違うだけなのではないでしょうか。

お子さんが友達のいないことを憂えていたり、学校が苦痛で笑顔がなかったりするのならば別ですが、そうではないのですよね。学校へしぶらず行っているなら、それなりに自分の居場所を見つけているということ。問題はないでしょう。

友達がいれば安心、というのは親の思い込み

友達がいれば安心、というのは親心。外見上仲良し風を装っている子どもはたくさんいます。それより自分に正直に、気が合う人とだけ付き合うあなたのお子さんに、私は好意をもちます。本を読んだりひとり遊びができるなら安心。ちゃんと自分を守る方法を知っているからです。

それにしても、まるで自分のことのように悩み、幼稚園までもさかのぼり、原因を探って心配しているママのほうが気になります。原因や理由を探っても無意味。子どもには子どもの気持ちがあり、今を前向きに生きているのです。あなたの思いは、あなたのものでしかないのです。

ママたちは、子どものことで悩む癖がついています。子どもによかれと思うことをいつも考えていますけれど、外見的なことが多くて子どもの心を置き去りにしている。自分自身に向き合っていない気がします。

こんなときは自分には本当の友達がいるか、友達がいると助けられたのはどんなときだったか、ご自身を振り返ってみてはどうでしょうか。

子どもを監視しすぎる親にならないで。友達は数でもなく、性別でもなく、質です。

ママたちには「頭の7割は自分のことで悩みなさい」と言っています。子どもを監視しすぎると、どんどん細かくうるさいママになってしまいますから。

私も、中学に入るまで女の子の友達はいませんでした。きょうだいのすぐ上が兄だったせいか、近所の友達も男の子だけ。学校で女の子がつるんでいるのが嫌いで、ひとりでいるのが好きでした。

「好きな人同士で○人グループをつくりましょう」などというときに「あ、どうしよう」と思うこともありましたが、先生や気配りする子が義理で入れてくれていたものです。ひとりでいることのほうが気楽でしたし、ひとりでいられることほど強いことはないと思います。人間の基本はひとりだからです。そんな私にも高校生のときに親友ができました。今でも支え合える友です。友達は数でも性別でもなく質です。

友達がつくれないから、生きる力がないわけじゃない。その子がその子らしくいられて、地に足がついていればいい。お子さんにもかけがえのない友達が、今にきっとできるでしょう。心配しないで任せましょう。

 

記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて36年。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。

イラスト/海谷泰水

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