「秋土用」にやってはいけないことって? 暦上の意味や、おすすめの食べ物・行動も紹介

秋に何か新しいことをする際、秋土用を避けたほうがよいのでしょうか。暦における秋土用の意味とおすすめの食べ物、控えたほうがよい行動などをまとめて解説します。夏土用との違いもチェックして、2023年の秋土用に備えましょう。

秋土用はいつごろ?

秋土用は具体的に、いつごろの時期を指すのでしょうか。暦上の意味を踏まえ、2023年における秋土用の時期も紹介します。

立秋の直前にあたる約18日間

土用は、土の動きが盛んになるという「土旺用事(どおうようじ)」を略した言葉です。自然界は、木・火・金・水・土の五つで成り立つとする、古代中国の「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」に由来しています。

陰陽五行説では、自然界のすべての現象を木・火・金・水・土の五つの要素に帰して考え、季節も同様。「土用」は「土」に属すると考えられる。

陰陽五行説では、木・火・金・水にそれぞれ春・夏・秋・冬を、土には各季節が終わる前の期間をあてはめ、土用と呼ぶこととしました。季節が始まる日を立春・立夏・立秋・立冬と呼び、その直前の約18日間が「土用期間」です。

そのため土用は年に4回あり、一般的に以下のような呼び方をしています。

●春土用(立春前)
●夏土用(立夏前)
●秋土用(立秋前)
●冬土用(立冬前)

つまり、秋土用とは、立秋前の約18日間ということです。

2023年の秋土用は10月21日~11月7日

2023年における秋土用の期間は、10月21日(土)~11月7日(火)です。

なお、各土用期間には縁起がいい干支の日があります。例えば夏土用なら「土用の丑の日」、秋土用は「土用の辰の日」です。この日には、該当する干支の頭文字から始まる食材を食べるとよいとされています。

「土用の丑の日」に「う」から始まるうなぎを食べる風習は、知っている人も多いでしょう。

干支の日とは、日ごとに十二支を割り当てたものです。昔は年だけではなく、日にちを数える際にも干支を使っていました。つまり「丑の日」であれば、12日に1度やってくるというわけです。

参考:令和5年(2023)暦要項|国立天文台

秋土用には何を食べるとよい?

土用期間には、季節ごとに口にするとよい食べ物があります。秋土用に食べるとよいとされる食材を、土用期間全体と辰の日に分けて紹介します。

【秋土用の期間中】青い食べ物

辰の日に限らず、秋土用期間中に食べるとよいとされているのは「青い食べ物」です。この場合の青い食べ物は、サンマ・サバといった青魚を指しています。秋に旬を迎える青魚は、脂がしっかりとのった栄養のある食材です。

サンマの塩焼き

動物性タンパク質を多く含みながらカロリーが比較的低い魚は、季節の変わり目に向いています。サバに含まれるDHAなどの栄養素を摂取して、夏の暑さで疲れた体を癒やし、季節の変わり目ならではの気温差を乗り切りましょう。

【辰の日】「た」のつく食べ物

2023年における秋土用の辰の日は、10月25日(水)と11月6日(月)です。秋土用の辰の日には、頭に「た」のつく食べ物を口にするとよいといわれています。具体的には、以下のような食材がおすすめです。

●玉ねぎ
●たけのこ
●大根
●たこ
●たまご
●鯛(たい)

どれも入手しやすい食材なので、これらを使った料理を1品添える方法もあります。土用の辰の日に合わせて、たけのこご飯にサンマを組み合わせ、秋の味覚を味わってもよいでしょう。

秋土用を含めた土用に関するQ&A

あまり聞き慣れない秋土用には、多くの疑問があるかもしれません。最後に、秋土用を含む土用に関するよくある疑問をピックアップして解説します。

土用期間に控えたほうがよい行動は?

土用期間には土の神様が帰ってくると考えられていたため、以下のような行動は控えたほうがよいとされています。

●土を動かす
●新しいことを始める
●方向を変える

土を動かす行動には、ガーデニングなどの土いじりはもちろん、住宅を建てる際に実施する「地鎮祭」も含まれます。家の購入や開業などは新しいことに該当するため、土用期間には控えるのが無難です。

方向を変えることには、引っ越しや旅行などが挙げられます。秋の行楽シーズンに合わせて旅行を計画する際は、秋土用を避けて日程を組むのがおすすめです。

間日(まび)にはどんな意味がある?

土用期間は日常と比べると、食べ物・行動などに少なからず制限がかかります。土用期間は年に4回、18日ずつあるため、行動を制限されない「間日」を設けているのです。間日には、土用期間を支配する土公神(どくじん)が、土を離れて天上界に行くとされています。

2023年の秋土用における間日は3日あります。

●10月28日(土)
●10月30日(月)
●11月1日(水)

秋土用中にどうしてもガーデニングや引っ越し、日帰り旅行などが重なる場合は、間日を選ぶのがおすすめです。

おすすめの過ごし方は?

土用期間に「新しいことを始める」のを控えるというのは、「季節の変わり目で体調を崩しやすいため、無理せず家でゆっくり過ごすべき」という先人の知恵ともいわれています。

土用期間にはアクティブに動き回るのではなく、リラックスして過ごすようにしましょう。特に秋土用は少しずつ気温が下がってくる時期でもあるので、冬に向けた準備期間として捉えられます。読書をしたり、半身浴やヨガで体を整えたりと、普段よりも落ち着いて過ごすのがおすすめです。

また秋土用の時期は、気分が落ち込みやすい時期ともいわれています。嫌なことがあった場合は考え込まず、できるだけ早く寝るようにするとよいでしょう。口には出せない本音を紙に書き出して、気持ちを整理するのも一つの方法です。

秋土用はできる限り体・心を休めよう

秋土用を含めた土用には、季節の変わり目で体・心を崩さないようにする先人の知恵が詰まっています。特に秋は気候の変化が大きくなりがちなので、ゆったりと過ごせるような工夫が大切です。

秋土用中の縁起のいい日は「辰の日」で、玉ねぎ・たけのこ・大根といった「た」のつく食べ物を口にするとよいとされています。秋土用全体の期間には、サンマ・サバなどの秋に旬を迎える青魚を献立に取り入るのもおすすめです。

例えば、自宅で家族そろって好きな映画を鑑賞したり、友人などを招いた食事会を計画したりするのも一つの方法です。旅行などをする場合は、移動距離が短く負担の少ない場所を選ぶか、温泉・マッサージなどでリラックスする時間を設けるとよいでしょう。

こちらの記事もおすすめ

 

構成・文/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事