昔話「一休さん」のモデルは実在した! あらすじやエピソード、その深~い名言までをご紹介

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日本では昔話として古くから親しまれている『一休さん』。1975年にアニメーション化されて以来、お話だけでなくキャラクターとしても、一休さんはさらに親しまれる存在になりました。
今回は、そんな『一休さん』の基本情報やあらすじ、モデルになった人物、おすすめ書籍までをご紹介していきます。

「一休さん」とは?

まずは、『一休さん』の基本情報や作者についてを押さえておきましょう。

江戸時代から愛され続ける「一休さん」

墨斎紹等による一休宗純の肖像 Wikimedia Commons(PD)

『一休さん』は、室町時代に実在した臨済宗の僧・一休宗純(いっきゅうそうじゅん)をモデルにした作者不詳のお話です。

一休宗純が生涯を通して残した説話を元にした『一休咄』が江戸時代に書かれ、その後も絵本や紙芝居の題材として用いられ続けました。特に、作中に登場する頓知(とんち:その場に応じて即座に働く知恵・機知)についての場面が広く知られています。

「一休さん」のあらすじ

さっそくここからは、そんな『一休さん』のあらすじをおさらいしていきましょう。

お寺に入った一休さん

むかしむかし、あるところに一休さんという小坊主がいました。一休さんの父親は後小松天皇で、母親は伊予の局と言いました。

本来、宮廷で育てられるはずだった一休さんは、母親が悪者に陥れられたことで天皇のそばにいられなくなり、産まれてすぐに乳母に預けられました。

6歳になると安国寺というお寺に入って小坊主になった一休さんは、頓知がうまいことで周囲で有名になりました。
一休さんの頓知に関する代表的なエピソードには、以下のようなものがあります。

水飴

安国寺の和尚さんは甘いものが大好きで、小坊主たちに隠れてこっそり水飴を舐めていました。小坊主たちにせがまれると、「これは毒だ」と嘘をつきます。

ある日、一休さんは和尚さんの外出中に、他の小坊主たちと一緒にこっそり水飴を舐めてしまいました。帰ってきた和尚さんは、これを責めますが、一休さんは「和尚さんの大切な硯(すずり)を割ってしまったので、死のうと思って毒を食べましたがまだ死ねません」と言って、和尚さんを呆れさせました。

屏風の虎

ある日、一休さんの頓知の手腕を知った将軍は、一休さんを城へと呼びました。将軍は屏風に描かれた虎を指して、「夜になると屏風の虎が飛び出して悪さをするので縛ってほしい」と命じます。

それに対して「縛ってみせるので、虎を屏風から飛び出させてほしい」と頼む一休さん。将軍は「絵に描かれた虎を飛び出させることができると思うのか」と言うと、一休さんは「絵に描かれた虎を縛れると思いますか」と答え、周囲を感心させました。

その後の一休さん

こうしてさまざまな頓知問答で周囲を驚かせていた一休さんは、一方で、学問にも熱心に励みました。その後は安国寺を出たのち、西金寺や大徳寺で修行を重ねます。そして、求道者として旅をしたのち、日本一徳の高い和尚さんとして人々に慕われました。

「一休さん」の豆知識

ここでは、『一休さん』に関する豆知識を見ていきましょう。

モデルは室町時代の僧侶「一休宗純」

先述したとおり、一休さんのモデルは室町時代に実在した僧侶・一休宗純です。

京都において実際に後小松天皇の私生児として生まれ、安国寺に引き取られたのちに、西金寺、大徳寺で修行を重ねました。型破りな言動や自由奔放な生き方で知られ、庶民に親しまれた僧です。

「酬恩庵 一休寺」に眠る

酬恩庵 一休寺に立つ一休宗純像

そんな一休宗純は文明13年(1481年)11月21日に88歳にして亡くなります。その遺骨が眠るのは、今も残る「酬恩庵 一休寺」。元弘の戦火にかかって復興できずにいたところを、一休宗純が再興し、晩年を過ごしたと言われるお寺です。京都に所在するので、ぜひ一度訪れてみては。

酬恩庵 一休寺 公式ホームページ<<

「一休宗純」の名言

一休宗純は多数の詩歌や名言を残したことでも知られます。ここでは、一休宗純の名言の中から、特に有名なものをご紹介します。

「有ろじより 無ろじへ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け」

この一節は、一休宗純の名前の由来になったと言われる言葉です。

「有ろじ(うろじ・有漏路)」は現世で迷い囚われている姿、「無ろじ(むろじ・無漏路)」は悟りの姿を指し、「現世で迷い囚われる時間は、悟りの世から来て悟りの世へ帰る輪廻までの一休みの時間でしかない。雨が降ろうと、風が吹こうと大したことではない」と意訳できます。些細なことでくよくよしている時にも心を支えてくれる言葉ですね。

「踏み出せばその一足が道となる、迷わず行けよ、行けばわかる」

この言葉も、一休宗純の名言として有名。新たな挑戦を前に躊躇している時などに、背中を押してくれる言葉です。

「大水の 先に流るる 橡殻(とちがら)も 身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ」

この歌は「大雨の後の激しい川の流れの中で、トチの実の殻が踊るように回っている。殻は中身を捨てたからこそ、大水の中でも浮かべるのだ」と意訳できます。さまざまな悩みごとを抱えている際に、肩の荷を下ろしてくれる言葉ではないでしょうか。

「一休さん」を読むなら

最後に、『一休さん』を読む際におすすめの書籍をご紹介します。お子さんへの読み聞かせにぴったりのものから、一休宗純の生涯を知ることができるものまでを集めました。

一休さん (日本名作おはなし絵本)

屏風の虎退治をはじめ、一休さんの代表的な頓知に関するエピソードが収録された絵本。ユーモラスなお話の達人・杉山亮先生の文章に、長野ヒデ子先生のやわらかい絵が映えます。4・5歳くらいのお子さんへの読み聞かせにおすすめです。

一休さん (はじめての世界名作えほん 72)

「はじめての世界名作えほん」シリーズの『一休さん』は、読み聞かせにはもちろん、はじめてのひとり読みにもぴったり。全編フルカラーで、簡単な言葉&すべてふりがな付きで綴られています。アニメ調のイラストで、小さなお子さんも親しみやすい一冊。

学習漫画 世界の伝記 一休さん とんちで名高い禅宗の僧

歴史的な人物の活躍をマンガで紹介する「人物世界史」シリーズの『一休さん』。昔話としての『一休さん』だけでなく、一休宗純の人生にも踏み込んだ一冊です。頓知の名人だっただけでなく、飢えや病気に苦しむ人に寄り添う名僧であった一休宗純のことを深く知ることができます。

一休宗純の人生を追ってみると、より深く味わえるお話

今回は、日本国内で古くから親しまれる『一休さん』についてをお伝えしてきました。

『一休さん』にまつわる頓知話は知っていても、実在の人物がモデルになっていることは知らなかった方も多いのではないでしょうか。一休宗純の人生を追ってみると、有名な『一休さん』のお話もより深く味わうことができます。ぜひ、『一休さん』のお話や一休宗純という人物についてを深掘りしてみてくださいね。

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文・構成/羽吹理美

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