発達障がいの子も使いやすい「光るクレヨン」
ブラックライトをあてると光る不思議なクレヨン。
微粉砕加工業の三笠産業が世界で初めて開発した“フルカラーUVトナー”を混ぜ込んで作った「ブラックライトで光るクレヨン」と、光を蓄積し暗いところで光る「ほたるクレヨン」です。光る秘密は、ブラックライト付きの「UVペン」が内包されているから。
文房具としてもとても画期的なクレヨンですが、もとは、オランダ発のリラクゼーション空間「スヌーズレン」を作るために開発された塗料でした。
オランダ発のスヌーズレン空間
「スヌ-ズレン」とは、日本ではあまり馴染みのない言葉だと思います。オランダ語の「スヌッフレン(クンクン匂いをかぐ)」と「ドウーズレン(うとうとする)」という探索とくつろぎの意味を持つ二つの言葉からできた造語です。
スヌーズーレンとは?
「スヌーズーレン」の活動は1970年代半ば、オランダで、言葉での意思の疎通が難しい重度知的障害者に「スヌーズーレンルーム」と呼ばれる感覚刺激空間を利用したリラクゼ-ション活動を提供したことから始まりました。「光」「音」「匂い」「振動」「温度」「触覚の素材」など五感を刺激するもので室内の環境を整えます。部屋に必要なものは、柔らかいクッションやキラキラ光るミラーボール、音の出るおもちゃ、ボールプール、アロマなど、日常的なものを活用し、必ずしも専門的な道具が必要という訳でありません。
スヌーズーレン空間
「スヌーズーレン」の目的は治療法でも、教育法でもなく、対象者に快適な空間を提供するという点が特徴です。リラックスできたり、楽しいという空間を作り出すことが大切になります。代表的な「スヌーズレンルーム」には、「ホワイトルーム」、「アクティビティルーム」、「ブラックルーム」があり、「三笠産業」では、そのうちの一つの「ブラックルーム」を作るための蛍光トナーを開発しています。
ブラックルームの効果
「ブラックル-ム」は特に、発達障がい、教育障がい、自閉症スペクトラム症候群等の子ども達にとって癒しの空間となるそう。部屋を暗くして、ブラックライトの光に発光する蛍光グッズを装飾し、幻想的な空間を作ります。 部屋を暗くすることで、心が落ち着き、集中力も高まることが分かっています。
ひらがなが読めるように
発達障がいがあり、文字を読むことに難しさを感じるお子さんにブラックルームの中で光るひらがなカードを渡したところ、読むことができたそうです。できないと思っていたことでも、このような道具があれば「できる」を引き出すことができる良い例といえます。
暗闇紙芝居
暗い部屋でブラックライトをあてて楽しむ「暗闇紙芝居」は幼稚園や老人ホームなどのイベントなどでも好評です。「暗闇紙芝居」を取り入れた療育プログラムを実施している放課後のデイサービスの施設があり、参加者の中には不登校の児童などもいるとのこと。学校には行けなくても「ブラックライトルームにはいりたい」「紙芝居をみたい」と、デイサービスには毎回来られるようになったという例もあるそうです。
光る楽しい文房具
「三笠産業」の光シリーズの文房具はネットで購入でき、誰でも楽しむことができます。暗闇で光る折り紙、トランプ、すごろくセットなどもあり、いつもと違うワクワク感を楽しむこともできます。
ブラックルームが体験できる場所
三笠産業の「ブラックルーム」はほとんどがイベントごとに貸出しで、常設されている施設は少ないのですが、関東近郊では、「スヌーズレン」を研究している研究国立特別支援教育総合研究所に「ブラックルーム」設置されています。
常設の「ブラックルーム」は山口県にある三笠産業のショールームの「きらめきの三笠館」で見学することができます。製特殊トナーのショールームで、特殊トナーを使った作品や商品を展示しています。機会があれば、ぜひ訪れてみてくださいね。
「きらめきの三笠館」
場所:〒754-0002 山口県山口市小郡下郷2806-1
時間:平日9:00~18:00(定休日毎週日曜日,祝日、土曜日(不定休)
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文・写真/Rina Ota