「夫が転勤に…。私も仕事を辞めたくない」”転勤妻”のキャリア戦略どうしたらいい?

パートナーが転勤になったら、自分のキャリアはどうなる?パートナーの会社が地方や世界に拠点のある会社の場合、年末や年度末になるとドキドキ、冷や冷やする方も多いはず。
働き方の選択肢や家族のあり方も多様になって来ましたが、まだまだパートナーの転勤が決まると一緒に転居する方が多いのではないでしょうか?今回は、そんな”転勤妻”のキャリア戦略についてご紹介します。

”転勤妻”のキャリア形成が難しい4つの理由

パートナーの転勤があると、キャリアは中断されてしまう?

具体的に“転勤妻”のキャリア形成が難しい理由をみてみましょう。

いつまた転勤があるか分からないので転職しづらい

パートナーの赴任についていく場合は、短くても2年で、それ以上の任期期間のケースも多いのではないでしょうか。しかも、任期については終わりが分からないケースがほとんどだと思います。
そんな状況で、転勤先で転職を目指すも、自分自身で「どうせすぐ辞めないといけないし…」と思ったり、また採用する側にも嫌煙される可能性があります。

地方は求人数が少なく、海外だとそもそも働けない

また、国内で地方に転勤になった場合は、そもそも求人数が都心とは全然違います。また、海外駐在の場合は、ビザの関係で現地で働きたくても働けないという場合が多いです。
働きたい気持ちがあっても、働く場所がないというジレンマに陥ります。

一度正社員を手放すとなかなか戻れない

さらに“転勤妻”のキャリア形成においてハードルとなってしまうのが、一度正社員を手放すとなかなか元の待遇に戻りづらい風潮が挙げられます。最近では、専業主婦の再就職を推進する流れもありますが、まだまだ採用現場では渋い顔をされるのが現実です。パートナーの赴任が終わり、いざ戻ってきたとき、元々の待遇に戻れず、転職活動で苦戦する方もいるのではないでしょうか。

働き続けないとブランク扱いされてしまう

そして、やはり“転勤妻”のキャリア形成を妨げる上記のようなハードルがあり、パートナーの赴任中は専業主婦になった場合、やむを得ない理由であったとしても職務経歴上はブランク扱いになってしまいます。日本は特に、『ブランク=よくないこと』と考える風潮がまだ強いので、パートナーの赴任から戻って転職活動をする際、ネックになってしまいます。

長期的な”転勤妻”のキャリア戦略のコツ

キャリアの継続に有効な戦略とは?

ここまで、“転勤妻”のキャリア形成を阻む4つの原因についてお伝えしましたが、環境が変化してもハードルを乗り越えキャリアを継続するコツをお伝えします。

できるだけキャリアの一貫性を保つ

できれば転居前と同じポジション、待遇、条件などで働きたいと思う方がほとんどだと思いますが、例えば地方で求人を探す場合は、何かを妥協しなくてはいけないケースが多いです。特に、給料などは都心部と地方でベースからして違います。
何かを妥協するのは不本意かと思いますが、キャリアの一貫性を保つことは心がけて頂ければと思います。キャリアには一貫性=ストーリーが重要になります。

もし、戻ってから転職活動をする際、今までのキャリアと大きくかけ離れている仕事を挟むと、相当な納得感がないとマイナスに映ってしまいかねません。また、今あるスキルに加え、新たなスキルを身に着けるという視点で仕事探しをしてみるのも一つの手段になります。

資格や専門性で市場価値を高める

 現在お持ちのスキルやキャリアに何を足すと、より市場価値が増すか考えてみてください。仮に地方で正社員ができなかったとしても、赴任の間に、勉強したり資格を取ることで市場価値を高める方法はあります。
もし分からなければ、現在出ている興味のある求人でどんなキャリアの人が求められているかを調べてみてください。

 転勤から戻った時、どうなりたいか考える

 赴任中は、ある程度妥協して仕事探しをすることになるかもしれませんが、転勤から戻った際にどんな会社でどんな仕事をしていたいかイメージしてみてください。そうすると自ずとパートナーの赴任中に就くべき仕事、勉強すべき資格やスキルが見えてくると思います。不本意だった方もいるかとは思いますが予期せずできた転機なので、うまく活用できる方法を考えます。

将来的なキャリアから逆算してキャリアプランニングする

そして、短期的目線ではなく、長期的目線でキャリアプランニングを行います。10年後どんなキャリアを歩みたいか一度考えてみてください。組織で上に行きたいのか。より専門性を発揮したいのか。独立したいのか。これを機にキャリアチェンジしてもよいと思っているのか。パートナーの転勤という不測の事態でも、そこでキャリアが終わるわけではないので、ぜひワクワクする将来のキャリアを自由に描いてみてください。うすると自ずと今やるべきこと、選ぶべき選択肢が見えてくるはず。

パートナーの転勤が決まった時のキャリアを継続する5つの選択肢

キャリア継続の具体策は?

では、具体的にパートナーの転勤が決まった時、どのような選択肢があり、どう選ぶべきかを最後にご紹介します。

まずは、転勤先で現職を継続できる方法がないか探ってみる

最近では、パートナーの転勤があった際休職できる制度のある会社も出てきたり、リモートワークも普及したため、遠隔地で働くという選択肢も出てきました。
また、お勤めの会社が全国に支社・支店がある場合は、会社の配慮で転居先の支社・支店で働ける可能性もあります。ご自身が現職を続けたいという場合は、まずき続ける方法はないか会社に掛け合ってみましょう。

転勤先で働ける求人があるかどうか確認する

転勤に伴い現職を辞める場合は、転居先の求人を探します。条件を絞りすぎると求人数が少なくなるので、あまり条件を細かく設定しないのがポイントです。
仕事内容、スキル、雇用形態、勤務時間など見てみて、目ぼしいものはチェックしておきます。通常の転職活動よりは容易ではないかもしれないのですが、可能性がないわけではないので、チャレンジしたい方はぜひエントリーしてみましょう。

フリーランスや起業して働く方法もある

ここまで、雇用される形でのキャリア継続方法をお伝えしてきましたが、スキルや気概があったら、これをきっかけに独立することもありです。起業・フリーランスであれば、場所を問わず働け、また子育てとの両立も自分で柔軟に調整できるので、パートナーの赴任中のキャリアの継続の仕方としておすすめです。帰任してからの転職活動でも実績を語れます。

転勤中は割り切って、資格取得やスキルアップに励む

いきなりフリーランスや起業にチャレンジするにはスキルや専門性が足りないと感じている方や、戻ってきた際、語れる資格やスキルをパートナーの赴任中に学び武器にしたい方は、転勤中は割り切って資格取得やスキルアップに振り切るのも戦略として賢い選択です。

働かない分、子供が学校や保育園・幼稚園に行っている時間は自分の時間にできるので、かなり集中して学ぶことができます。

周りのサポートがあれば単身赴任も1つの選択肢

そして、最後の選択肢として、周りのサポートがあれば、自分や子供たちは残るという選択肢もあります。パートナーが単身赴任となって、現職を続けます。周囲の手厚いサポートがなければ、ワンオペ育児で大変かと思いますが、その大変な思いまでして現職を続けたいかどうか天秤にかけてみてください。
今まで必死に築いてきたキャリアを簡単に手放すのはもったいないと感じるのであれば、キャリアを手放さない代わりに、何をトレードオフにできるか。自分と向き合い、家族とも話し合って決断しましょう。

転勤という人生の転機が起きても、キャリアは終わらない

どこにいても仕事が続けられるためには?

特に子供が生まれてからパートナーが転勤となると、仕事のことも家庭のことも考えないといけないので、判断するのが難しいと思います。そんな時は、何を一番大切にしたいか考えてみてください。家族と一緒に過ごすことなのか、自分が今の仕事を続けることなのか。
最近は、転勤によってパートナーが退職することを世の中的にも疑問視されているので、会社の制度が柔軟になってきたり、働き方の柔軟性も高くなってきてますが、それでも転勤に伴いキャリアを変えるのは女性の方がまだまだ多いように思います。
自分自身が大切にしたいことを明確にして、どう柔軟に自分のキャリアを形成していくか一度考えてみてください。パートナーがそもそも転勤族という方は、転勤が決まる前からどこにいても仕事が続けられるスキルや専門性を身に着けることをおすすめします。
転勤という人生の転機が起きても、キャリアは終わりません。必ずキャリアを継続できる方法はあるので、ぜひこれを機会にキャリアを見直し、活路を見つけて頂けたらと思います。

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記事を書いたのは…

相坂サオリ|キャリアコンサルタント

株式会社LASSIC代表取締役CEO。主に法人向けにマーケティングPR支援事業と個人向けにキャリアデザイン事業を展開し、自身も国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得。大手広告代理店勤務を経て、33歳で起業。自身が不妊治療と仕事の両立で悩んだ経験やキャリア迷子を経て独立した経験から、ワーママや女性のキャリア支援に尽力。会社設立から3か月後、第一子出産。現在は3歳&0歳の娘の子育てと起業に奮闘中。

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※写真はイメージです

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