宿題が多くて塾と両立できない…! 宿題を多く出しすぎる学校と塾の先生、それぞれの思惑と対処法

「塾の課題が多いのに、学校の宿題も多くて両立がたいへん」。そんなとき親にできるサポートはあるでしょうか。自らも教壇に立ち、現場の事情に詳しい教育ライターが、学校と塾それぞれの思惑、両立が厳しい場合の対処法について指南します。

「塾に通っていて、塾からも課題が多いのに学校からも宿題が多くてたいへん」「学校とは別に中学受験のカリキュラムを組んでいて、それらと学校の宿題との両立に悩んでいる」という声をよく聞きます。

「宿題」をたくさん出す小学校や塾の先生に、保護者はどう対応すればよいのでしょうか。

ここでは、小学校の先生や塾の先生が考える「宿題」の意味を踏まえた上で、宿題を多く出す・出しすぎる先生にどう対応していけばよいのか、小学校でも塾でも「宿題」を出してきた経験がある筆者がお答えします。

「宿題」を出す小学校の先生と塾の先生が、考えていることは何か

小学校や塾では、ほとんどの先生が宿題を出します。なかには、全く出さない先生もいるかと思いますが、そういう先生は少ないでしょう。ここでは「宿題を多く出す先生」に焦点を当てて、お話していきます。

その前に、小学校で出される宿題と塾で出される宿題は、意味が違うということに触れておきます。

宿題を出す小学校の先生が考えていること

小学校で出される宿題の意味は、宿題を出す先生によって変わってきます。先生によって、宿題の捉え方が異なるためです。

では、小学校で宿題を出す先生は、宿題についてどのような考えで出しているのでしょうか。次の5つがが考えられます。

①子どもに、家でも勉強してほしいと考えている(子どもは「宿題」がなければ、家では勉強しないと考えている)。

②子どもに、家庭での学習習慣をつけてほしいと考えている。

③授業が時間内に終わらず、やり残しを宿題にすれば良いと考えている。

④学校や学年で出さなければいけない宿題が決まっていることがある(本当は、出したくないが宿題を出す決まりになっているため出している)。

⑤宿題を出してほしいという保護者の要望に答えている。

学校では、おおむねこのような考えを持って宿題を出していると考えられます。

宿題を出す塾の先生が考えていること

では、塾の先生は、宿題についてどのように捉えているのでしょうか。私の経験上からの考えを書いておきます。

まず、中学受験を目的とした進学塾の場合、宿題の意味は「受験に合格させる」ことです。一方、補習を目的としている補習塾では、子どもが理解できていない学習内容を補うために宿題が出されます。このように、塾と一言で言っても、その塾の目的によって宿題の意味が異なってきます。

中学受験を照準としている塾の先生が出す宿題の基本的な目的は「受験合格」です。

中学入試では、様々な問題が出されます。どんな問題が出されても対応できるよう、数多くの問題を解かせるためとも言えるでしょう。そのため、ほとんどの進学塾で宿題が出されることになります。中学受験の合格を目的としている塾で宿題が出ないということは、おそらくないでしょう。

様々な問題に対応できるようにすることは、中学受験を目的とした塾だけに限らず、補習型の塾についても同じことが言えます。補習塾では、子どもが理解できていない学習内容を克服することを目的として出されます。

補習塾でも子どもに一つでも二つでもより多くの問題を解けるようになってほしいということは変わりませんが、塾の授業時間には限りがあります。時間の関係で扱えなかったような応用問題も解けるようにと、多くの宿題が出されます。

また、塾では、小学校と異なり各教科で担当の先生(講師)が変わることがあります。塾の先生同士が連絡を取り合い、子どもの負担にならないように宿題の量を調節している塾もあるようですが、そのような塾ばかりとは限りません。各教科の先生がそれぞれ多く宿題を出せば、子どもは大量の宿題をこなさないといけなくなります。

塾での宿題が多いと思われるのは、以上のように、進学塾であれ補習塾であれ「量をこなすことによって学力(応用力)を上げようとする狙い」と「各教科の先生同士で宿題量の調整を行っていないこと」といった理由が考えられます。

塾と小学校から出される宿題についてのケース別相談方法

中学受験対策の塾に通っている子であれば、学校の宿題との両立で悩むのは、塾でとっくにクリアしている内容なのに、学校の横並び方針につきあわされ、新しい学びのない宿題が大量に出されることでしょう。

他にも子どもの学力の状況によって、様々なケースを想定して、どのように問題を解決していけばいいのかを考えます。

【ケース1】学校のレベルはクリア・塾でステップアップをめざしたいとき

学校の宿題が無駄、量ばかりで簡単すぎる学校の宿題は減らしたい、という場合にはどうすればよいのでしょうか。

まずは、学校の先生と塾の先生に相談してみましょう。

学校の先生には、「相談」「お願い」というスタンスで話をしましょう。

先生に話す前に、注意しておいたほうがいいことがあります。いきなり「先生が出す宿題の量は多すぎます」「宿題が多すぎるので、減らしてください」と批判的に話すと、なかには、「ムッ」と感情を害してしまう先生もいるかもしれません。

では、どのように話していけばいいのでしょうか。

学校の先生に話すコツとしては、感情的にならずに「宿題のことで一緒にご相談したいのですが…」などのようにクッション言葉を使って、話し始めるのがいいでしょう。その上で、以下のように相談します。

「学習内容はわかっているのに、ただこなすだけの宿題になっていてモチベーションが上がらない様子」などの事実を、丁寧な言葉で伝えます。すぐには返事をもらえないかもしれませんが、検討はしてくれるでしょう。

塾の先生にも「相談」「お願い」というスタンスで相談しましょう。

塾でのステップアップを目指すために、「すでに理解できている宿題が多いように感じています。効率よく取り組めるよう基本問題を減らし、応用問題などレベルの高い宿題を中心にしていただけませんか」などのように話してみるのもいいでしょう。

そうすると、「その子に合わせた量の宿題」にしてもらいやすくなります。「それでは、応用の宿題まではやらなくていいことにしましょう。そのかわり基本問題だけはしっかりやらせてください」、あるいは「お子さんは基本問題についてはわかっているので、応用問題だけにしましょうか」などの返事をもらえるかもしれません。

【ケース2】学校のレベルをクリアしていない・補習塾での宿題も多く困難なとき

子どもが、学校の宿題と塾の宿題にどっちもアップアップでさらに混乱しているときには、宿題量の調整が必要です。学校の先生と塾の先生の両方に、相談してみましょう。

相談のコツと注意することは、【ケース1】と同じです。

たとえば応用問題が分かっていないようなので、まずは基本問題を中心にやらせたいのですが、いかがでしょうか」「わが子に合う宿題の量にしてもらえませんかというように話してみましょう。

【ケース3】学校のレベルをクリアしていない・塾からのステップアップ問題はもっとわからないとき

そもそも、わが子のレベルに合った塾ではないかもしれないと感じた時には塾を変えたほうが良いでしょう。

全国の塾のなかには、学校の宿題を見てもらえるところもあります。そのような塾へ通わせることも検討してみてはいかがでしょうか。

子どもに学力をつけてほしいのは、小学校の先生も塾の先生も同じ

様々なケースを紹介してきましたが、進学塾、補習塾、小学校の先生は皆、子どもの学力を伸ばしたいと考えています。

特に、個別指導をしている塾の先生は、直接子どもに教えているので、子どもの様子、学力をよく知っています。臨機応変に対応してくれるかもしれません。

また、小学校の先生も「子どもに学力をつけてほしい」「学力をつけたい」と考えている点は、塾の先生と変わりません。「宿題が多いから減らせ!」と親と先生が対立するのではなく、どうすれば子どもが負担を感じることなく、宿題をこなしていけるのか、相談・協力していきましょう。

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文/須貝 誠(すがいまこと)

塾国語科講師。教育・旅行ライター。現代ビジネス・マネー、コエテコサイト・ソクラテスのたまご、子ども学びラボに執筆あり。著者に「若手教師の働き方」(東洋館出版)がある。教育以外では年間100公演観劇したこともある劇団四季鑑賞マニア。斎藤一人の愛弟子でもある。

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