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原作は累計2700万部を突破した大ヒットコミック!
2014〜2022年の約9年間に渡り、集英社ヤングジャンプで連載された「ゴールデンカムイ」は、コミックス累計2700万部を突破し、「マンガ大賞 2016」をはじめ数々の賞を受賞した大ヒットコミックです。
ただ独特の世界観を持つ作品ゆえに実写化は難しいと言われ、実際に企画がスタートしてからも実写化が実現するまでにはかなり長い年月を要したといいます。
どんな時代の物語? そのストーリーの内容は?
主人公の杉元佐一(山﨑賢人)は日露戦争でのその荒々しい闘いぶりから、「不死身の杉元」と呼ばれます。映画の冒頭では原作に比べると日露戦争の臨場感ある戦場シーンがかなり長くとられており、初っ端から杉元の凄まじさを印象づけるにふさわしい戦闘シーンに圧倒されます。
杉元を演じるのは元々アクション経験の豊富な山﨑さんですが、今回は軍人役ということで軍事所作のレクチャーを一から学んだそう。それがさらにアクションのリアリティを増す重要なポイントとなっています。
納得いくまで繰り返し行われたという「俺は不死身の杉元だ!!」と絶叫する決め台詞もあるこの戦場シーン、ぜひ注目してみてください。
そして日露戦争が終わった明治末期、元軍人である杉元はある目的のためにお金が必要となり、砂金を求めて北海道を訪れていました。舞台は当時ゴールドラッシュが起こった北海道です。
杉元は砂金取りの最中に出会った男(マキタスポーツ)から、アイヌ民族が強奪された莫大な金塊が北海道のどこかにねむっていることを聞かされます。
金塊をアイヌ民族から奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、金塊を隠した場所を何と24人の囚人の体に刺青で残したのです。その刺青の暗号は24人全員分で1つの暗号になるといいます。
最初は話半分で聞いていた杉元ですが、その情報に信憑生があると確信、金塊探しに乗り出します。
つまり本作の軸になるのはアイヌ民族の莫大な埋蔵金を巡って繰り広げられるサバイバルバトル! そしてその埋蔵金は杉元以外に、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉(玉木宏 )と、元新撰組の土方歳三(舘ひろし)たちも狙っているのです。
豪華すぎるキャストとスタッフが集結
今作の監督はこれまでに500本以上の有名アーティストのミュージックビデオや、「HiGH & LOW」シリーズで迫力あるバトルシーンを手がけた久保茂昭。本作でも日露戦争の戦場シーンや雪の中でヒグマと格闘するシーン、馬ぞりに引きずられながらのバトルシーンなど、思わず息をのむ迫力の映像はもちろん必見です。
そして製作は「キングダム」シリーズを手がけるプロダクションのクレデウス。ここまで聞いても、エンターテインメント作品としての期待値は間違いなく膨らみますが、さらに豪華すぎるキャストが集結しています。
主役の杉元佐一には実写版「キングダム」で主演を務めた山﨑賢人をキャスティングし、山田杏奈、眞栄田郷敦、矢本悠馬、玉木宏 、 舘ひろしなど若手からベテランまで個性の光る俳優陣が作品のクオリティを押し上げます。
ポイント1・北海道の大自然
杉元がアイヌの少女「アシㇼパ」と出会ったのが、野生のヒグマに襲われるシーン。作品の中には幾度と無くヒグマが出てくるシーンがあり、極寒の北海道の自然の中で暮らす恐ろしさがリアルに再現されています。
実際の撮影も北海道を中心に年末〜春にかけて行われたといいます。中でもアシㇼパが暮らすコタン(集落)をアイヌ文化が今も色濃く残るという二風谷に再現したことは、監督にとって大きなこだわりだったそう。
ポイント2・アイヌ文化
この映画の中で外せないのが、杉元とアシㇼパの様々な交流からわかるアイヌ文化の数々。独自の言葉であるアイヌ語や、その土地に合った食べ物や暮らしなどが丁寧に描かれています。
アイヌの民具や衣装は実際のアイヌルーツの伝統工芸の作家が製作するなど、実写化の際小道具が気になっていたという原作者の野田氏も満足する出来栄えなのだそう。
杉元とアシㇼパが一緒に食事をとるシーンも何度かあり、緊迫するシーンの多いこの作品の中では数少ないほっこりする場面でもあります。
ある時杉元が持っていた味噌を鍋に入れようとすると、その見た目から「それ…『オソマ』(アイヌ語で”うんこ”)じゃないか!」とアシㇼパが叫ぶのです。原作でも人気の高いシーンということですが、どうやら味付けに使うのは主に塩だけだったようで、プクサ(行者にんにく)やプクサキナ(ニリンソウ)などの薬草も使われていました。
そんなふうに二人のやりとりから、自然とアイヌ文化を学ぶことができるのも大きな楽しみです。
ポイント3・個性的な役どころと再現度の高い驚きのシーンの数々
杉元とアシㇼパを取り巻くキャラクターが、とにかく濃ゆい人ばかり! 原作ファンにとっては楽しみな、コミックならではと思えるようなエピソードもかなり多く映像で再現されています。
例えば「脱獄王」と呼ばれた脱走の天才・白石由竹(矢本悠馬)。生まれつき関節が柔らかく自在に脱臼させて狭い隙間を出入りできるという特異な体質ですが、「第七師団」から杉元を救うシーンでその特技が再現されています。
そして中でも玉木宏さん演じる「第七師団」を率いる中尉、鶴見篤四郎は圧巻です。日露戦争で負傷した頭部から時々、脳汁が漏れてくるという設定自体もう恐怖なのですが…(笑) 静かでありながら狂気に満ち溢れたそのキャラクターは、杉元と対峙する場面を始め、どのシーンからもじわじわと恐ろしさが押し寄せてきます。
他にも「不敗の牛山」と呼ばれる柔道の達人・牛山辰馬(勝矢)や、元新撰組「鬼の副長」土方歳三(舘ひろし)などのキャラクター再現度も、まるで原作から抜け出たようなクオリティです。
やはりシリーズ化は間違いない!?
コミックスが全31巻という大作なので、当然1本の映画に収めることは難しいのでは。と考える人も多いはず。本編は原作の序盤が描かれていて今後が気になる終わり方なので、
原作の完全再現を目指したという衣装や特殊メイク、エピソードなどからもわかるように、原作からのファンはもちろん、予習なしで観ても間違いなくエンタテイメント作品として楽しめる作品に仕上がっています。
エンディングに流れるのはスリーピースバンド・ACIDMANの疾走感のある楽曲「輝けるもの」。これが続編へとつながるワクワク感を大いに掻き立ててくれます! 続編があるとすれば、
映画「ゴールデンカムイ」
【原作】野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
【公開日】2024年1月19日(金)全国東宝系にて公開
【監督】久保茂昭
【脚本】黒岩勉
【音楽】やまだ豊
【主題歌】ACIDMAN「輝けるもの」(ユニバーサル ミュージック)
【キャスト】山﨑賢人
山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 栁俊太郎 泉澤祐希 / 矢本悠馬
大谷亮平 勝矢 / 高畑充希
木場勝己 大方斐紗子 秋辺デボ マキタスポーツ
玉木宏 ・ 舘ひろし
【公式HP】kamuy-movie.com
※PG-12指定作品
©️野田サトル/集英社 ©️2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
構成・文/苗代みほ