どんな時に「やばい」って言ってる?そもそも正しい使い方とは?【知って得する日本語ウンチク塾】

国語辞典編集者歴37年。日本語のエキスパートが教える知ってるようで知らなかった言葉のウンチクをお伝えします。

「やばい」ってオールマイティー?

みなさんは、なんでも「やばい」の一言で済ませていませんか?

ミスしたとき、びっくりしたとき、料理がおいしいとき、映画や小説が感動的だったとき、料理の盛りがいいとき、みんな「やばい!」って使ってませんか?

確かに「やばい」は今やいろいろな意味で使える便利な語です。俗語ですが、実は歴史のある語だということをご存じですか?

「やばい」は江戸時代から使われていた!

「やばい」は江戸時代に使われていた、「やば」という語から生まれた語なんです。この「やば」は、「法に触れたり危険であったりして、具合の悪いこと。不都合なこと。あぶないこと。」(『日本国語大辞典』)といった意味です。十返舎一九の有名な『東海道中膝栗毛』(1802~09)には、「おどれら、やばなことはたらきくさるな」(六編上)と使われています。この「やば」は、まさにあぶないことという意味です。

ただ、あぶないことをなぜ「やば」と言ったのか、よくわかっていません。でものちに形容詞化して、「やばい」という語が生まれます。

明治時代に作られた隠語辞典を見ると、てきやや盗人などは官憲のことを「やば」と呼んでいました。また、官憲などの追及がきびしくて身辺が危ういときには、「やばい」と言っていました。

「肯定的な意味」で使われるのは1970年代以降

この「やばい」がのちに一般に使われるようになって、意味が広がったものと思われます。私も高校生の頃「やばい、遅刻しそうだ」のように、困ったという意味で使っていた記憶があります。1970年代前半のことです。ただ、そのときは、すごくいいとか、程度が大きいとかいった意味では使っていませんでした。そうした意味が生まれたのは、1970年代以降のことのようです。そしてさらに今世紀になって、肯定的な意味で感動詞的に使われるようになったという報告もあります。

「やばい」は俗語ですから、使う場面には気をつけるべきでしょう。でもこういう語にもちゃんと歴史があるわけで、ことばって本当に面白いと思います

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神永(かみなが・さとる)
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。著書『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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