「やばい」ってオールマイティー?
みなさんは、なんでも「やばい」の一言で済ませていませんか?
ミスしたとき、びっくりしたとき、料理がおいしいとき、映画や小説が感動的だったとき、料理の盛りがいいとき、みんな「やばい!」って使ってませんか?
確かに「やばい」は今やいろいろな意味で使える便利な語です。俗語ですが、実は歴史のある語だということをご存じですか?
「やばい」は江戸時代から使われていた!
「やばい」は江戸時代に使われていた、「やば」という語から生まれた語なんです。この「やば」は、「法に触れたり危険であったりして、具合の悪いこと。不都合なこと。あぶないこと。」(『日本国語大辞典』)といった意味です。十返舎一九の有名な『東海道中膝栗毛』(1802~09)には、「おどれら、やばなことはたらきくさるな」(六編上)と使われています。この「やば」は、まさにあぶないことという意味です。
ただ、あぶないことをなぜ「やば」と言ったのか、よくわかっていません。でものちに形容詞化して、「やばい」という語が生まれます。
明治時代に作られた隠語辞典を見ると、てきやや盗人などは官憲のことを「やば」と呼んでいました。また、官憲などの追及がきびしくて身辺が危ういときには、「やばい」と言っていました。
「肯定的な意味」で使われるのは1970年代以降
この「やばい」がのちに一般に使われるようになって、意味が広がったものと思われます。私も高校生の頃「やばい、遅刻しそうだ」のように、困ったという意味で使っていた記憶があります。1970年代前半のことです。ただ、そのときは、すごくいいとか、程度が大きいとかいった意味では使っていませんでした。そうした意味が生まれたのは、1970年代以降のことのようです。そしてさらに今世紀になって、肯定的な意味で感動詞的に使われるようになったという報告もあります。
「やばい」は俗語ですから、使う場面には気をつけるべきでしょう。でもこういう語にもちゃんと歴史があるわけで、ことばって本当に面白いと思います
ところで、こちらのウンチクは知ってますか?『今年は辰年。だけど「辰」は「竜」ではないってどういうこと?』