3歳前後、乳歯が生えそろったら… 「一生モノの歯のために」良い習慣&悪い習慣をチェック!

乳歯が生えそろってくる3歳前後。永久歯への生え替わりに向けて、できる限り歯の健康を保ってあげたいですね。毎日の生活の中には、歯の健康のためにできる心がけがあります!

3歳前後は歯によい習慣づくりにぴったりの時期

3歳前後は乳歯の一番奥の歯(第二乳臼歯)が生えてきて、乳歯20本がそろう時期です。3歳児歯科健診では合わせのチェックがあり、自分で歯ブラシを持って歯みがきをしたい意欲が出てくる年齢でもあります。そんな時期だからこそ、いい歯を保つための習慣を身につけておきたいですね。

3歳児歯科健診でむし歯の危険性や歯並びについて、指摘を受けることがあるかもしれません。この時期の幼児世代は成長段階なので、指摘を受けた箇所の治療をして、歯の健康を保ちましょう。

そのためには、歯みがきによるケアのほか、毎日の食事や運動、遊び、睡眠など生活習慣全体に、心がけたいポイントが隠れています。

歯の健康を保つには口全体のケアがカギになる

歯の健康は食事の仕方とも関連性があり、食事時間を決める、よい姿勢でよくかんで食べるなど、さまざまなポイントがあります。歯のために、しっかり栄養を摂ることと、適度に体を動かして遊ぶことも大切です。

歯の健康には、歯そのものだけでなく、かむためのあごの力、口を動かす力などの顔の動きも重要です。唾液には歯を守り修復する効果があるので、唾液を出すための舌の動きも関係します。また、口を閉じる力が弱いと常に口がぽかんと開き、歯並びが悪くなったり、歯みがきの最後に汚れを取り除くブクブクうがいができなかったりと歯によくない影響があります。

あごの力や舌の動きは食事を通じて、口を閉じる力は遊びを通じて鍛えられるので、日常にとりいれてみてください。

じょうぶな歯をつくる習慣

①食べる時間を決める

飲食をすると口の中が酸性に傾き、歯の表面が溶け出します。食間をしっかり空けると口の中が中性に戻り、歯の表面が修復されます。食事やおやつは食べる時間を決めて食間を空けましょう。

おやつとして食べる場合は、砂糖が含まれていないおにぎりやにぼし、自然の糖分が含まれる果物、さつまいもなどが理想的です。

②あごの発達にいいものを食べる

にんじん、大根など食物繊維が豊富な根菜類、ほうれん草などの葉物はよくかむ練習に。わかめやひじきなどの海藻類、小魚は骨や歯のもととなる成分を含んでいて、あごの成長を助けてくれます。

③口を動かす遊びをする

ふーっと息を吹き出す動きをすると、口や舌の筋肉が鍛えられ、口を閉じる力が育ちます。シャボン玉を吹く、風車を回す、風船をふくらませるなど、遊びの中で口を動かすことができます。

実践!親子でまなぶ上手な歯みがき

毎日の歯みがきは歯を守るために欠かせない習慣です。幼児の歯みがきポイントを知っておきましょう。

歯ブラシの選び方

自分でみがく用
柄が太く、子どもの小さい手でもにぎりやすいものがおすすめです。のどにつまるなどの事故防止の歯ブラシを選びましょう。

しあげみがき用
自分でみがく用とは別に用意を。柄の長さはおうちの方が持ちやすいものでいいですが、ヘッドは小さいものにします。

持ち方
しあげみがきをするときは、ペンを持つような形に。優しく小刻みに動かしましょう。

「ぐちゅぐちゅぺー」も練習しよう

歯みがきの後や、歯みがきができないときには、口をゆすぐために、ぐちゅぐちゅぺー(ブクブクうがい)ができてほしいです。水を含んだまま口をしっかり閉じて、ほおを動かす練習をしましょう。ぬれてもいいよう入浴時にするのがおすすめです。

しあげみがきのとき

おうちの方が正座したひざの上に、子どもの頭をのせると安定します。「下の奥歯→上の奥歯→下の前歯→上の前歯」と、順序を決めておくと、みがき残しが起きづらいです。歯の裏側など見えにくいところにもブラシがあたっているか確認を。

【Point】下の奥歯からスタート
子どもが嫌がりにくい下の奥歯から始めます。上唇小帯にあたると痛がるので上の前歯は最後がおすすめ。

【Point】暴れるときは足ではさんで
おうちの方の両足で子どもの頭をはさみこむようにすると、頭が固定できます。

自分でみがくとき

幼児期は自分で歯ブラシを持って歯をみがくことに慣れるのが目標。最初はおうちの方や上のきょうだいなどがみがくのをお手本にするといいでしょう。歯みがきについての絵本を読んだり、動画を見たりするのもいいですね。

【Point】転倒の危険がない姿勢で
歯ブラシをくわえたまま転倒すると重大な事故につながります。必ず座ったままみがく習慣づけを。

【Point】きちんとみがくより習慣化が大事
「食べたらみがく」の習慣が身につくことが第一なのでみがき残しは気にせず、しあげみがきでフォローすればよいです。

子どもの歯のそれホント?〇or✕

子どもの歯に関するよくある疑問をクイズ形式でまとめてご紹介します。

【1】永久歯に生え替わるから乳歯はむし歯になっても大丈夫?

✕ 乳歯のむし歯が永久歯の歯並びに影響することがあります

乳歯のむし歯をそのままにしておくと、永久歯の生える準備が整う前に歯が抜けてしまい、歯並びに影響が出ることも。乳歯のうちから歯のケアを心がけて、もし、むし歯ができたときには早めに治療をして永久歯を守りましょう。

【2】歯が生えるのが早いとむし歯になりやすい?

✕ 歯の手入れなど、ほかの要素もかかわります

むし歯になる原因はひとつではありません。もともとの歯の質に加えて、歯みがきや定期的な歯科健診などの歯の手入れ、食事の習慣が要素としてあげられます。ひとつ言えるのは歯が生えたら手入れを習慣にするのが大事ということです。

【3】むし歯予防には朝・夜の歯みがきがマスト?

△ 慌ただしいときにはブクブクうがいでもOK

朝・夜に歯みがきができるのが理想的ですが、慌ただしいときはブクブクうがいをするだけでも口の中の食べかすをとることができます。就寝時は唾液量も減ってむし歯が進行しやすいので、睡眠時間が長い幼児期は、寝る前の歯みがきが最も大切です。

【4】食事の姿勢も歯並びに影響する?

〇 いい姿勢での食事がいい歯並びをつくります

姿勢よく座ってしっかりかむことは歯並びに関係します。歯並びがいいと歯の手入れがしやすくなります。幼児期に気をつけたいのが食事用の椅子に座ったときに、足の裏が床についていること。ブラブラしているとしっかりかめません。

【5】幼児期からかかりつけ歯科医があったほうがいい?

〇 定期的に歯を診てもらう習慣をつけましょう

定期的に歯科医で歯のチェックをしてもらう習慣はとても大切です。看板やホームページに「小児歯科」と記載されている歯科医は子どもの治療にも対応しています。
近くに「小児歯科」がなければ、おうちの方のかかりつけ歯科医に、子どもを診てもらえるか尋ねてみましょう。

【6】幼児も歯みがき剤を使ったほうがいい?

△ ブクブクうがいができれば使えます

歯みがき剤が使えるのはブクブクうがいができるようになってから。フッ素配合の歯みがき剤を選んでほしいです。それまでは、うがいが必要ない低濃度フッ素のものが使えます。使用の際には説明をよく読んで、用法・用量を守って使いましょう。

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教えてくれたのは

及川 洋子 先生
おいかわ矯正・小児歯科院長。日本小児歯科学会専門医。一児のママという視点からも、親子や園向けに歯の健康のための講演やアドバイスを続ける。

『めばえ』2024年2月号
イラスト/林よしえ 文/古川はる香 構成/KANADEL

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再構成/HugKum編集部

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