パリ五輪まであと124日!今年オリンピックが行われるフランスの治安ってどうなの?テロ警戒水準が最高レベルに【親子で語る国際問題】

いま知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は、オリンピック開催間近のパリについて学んでいきます。

ついに今年はオリンピックイヤー!パリってどんなところ?

今年の夏、7月26日からフランスのパリでオリンピックが開催されます。4年に1度の世界の祭典ということで、選手やその関係者だけでなく日本からの多くの旅行者が見込まれます。フランスというとファッションや料理、芸術や文化などがまずは脳裏に浮かび、エッフェル塔や凱旋門、シャンゼリゼ通りやルーブル美術館、オルセー美術館やノートルダム大聖堂など、正しくパリを思い浮かべる人が多いかと思います。

パリのいまの治安。テロが懸念されている

では、オリンピックを迎えるパリの治安情勢はどうなっているのでしょうか。まず、懸念されるのはテロです。実は今日、フランス国内ではテロへの警戒が強まっています。昨年10月7日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区を実行支配するイスラム組織ハマスとの戦闘が激化して以降、反イスラエル感情、反イスラム感情の高まりによって、欧州ではそれに触発されたかのようなテロ事件が相次いでいます。

昨年10月、フランス北部アラスにある高校では、イスラエル情勢に触発されたとみられる男が教師を刺殺する事件が発生し、12月にはエッフェル塔付近でドイツ人観光客が通り魔的に殺害される事件が起こりました。隣国のベルギーでもイスラム系のチュニジア人がスウェーデン人2人を銃殺する事件が発生し、両国ではテロ警戒水準が最高レベルに引き上げられました。

今日でもイスラエルによる攻撃は続いていて、フランス当局はオリンピックというタイミングに合わせて反イスラエル、反欧米感情を抱いたグループ、単独犯によるテロを強く警戒しており、おそらく今後開会式が近づくにつれてフランス国内でテロ警備が厳重になっていくことは間違いないでしょう。

パリはスリや置き引き、一般犯罪に注意が必要

一方、パリの華やかさのイメージが先行しますが、パリではスリや置き引き、傷害などの一般犯罪にも注意が必要です。大勢の人でごった返す主要な観光地では、財布やスマートフォンなどが知らないうちに盗まれるといったケースが少なくなく、人通りが少ない場所ではお金を出せと絡まれることもあります。

筆者も以前フランスに留学していたのですが、フランスやパリのイメージとは裏腹に、フランス国内の治安は決して良いとは言えません。夜にパリの地下鉄を使うとき、構内はけっこう暗く、一人で乗るのは少し怖いくらいです。

また、人が少ない裏通りなども犯罪に巻き込まれる可能性もありますので、夜に一人で行動しない、人通りが少ない道は避けるなど日本にいる感覚を忘れることが極めて重要です。また、オリンピックでテロが起こる可能性は否定できません。考えられるテロを意識し、大勢の人でごった返す場所には近づかない、イスラエル選手団、イスラエル権益には近づかないなどを意識する必要があるでしょう。

フランスに行ったら気を付けるPOINTは

  • ①テロが起きる可能性を考え、大勢の人が集まる場所は避ける
    ②スリや置き引き、傷害などの一般犯罪に気を付ける
    ③夜に一人で行動しない、人通りが少ない道は避ける

  • 記事執筆/国際政治先生
  • 国際政治学者として米中対立やグローバスサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う

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