「チェコ」はどんな国? ガラスとビール、そして〝世界で一番美しい街〟の魅力・見どころを紹介【HugKum世界紀行】

チェコはヨーロッパの中央にある国。首都プラハは歴史的な建物が並ぶ、たいへん美しい街並みで知られています。そんなチェコはどんな国なのでしょうか? チェコの場所や人口、面積、通貨といった基本情報から、治安情報、住みやすさ、おすすめの観光スポットや見どころ、特徴までご紹介します。

チェコの基本情報

まずはチェコの場所、首都、面積、人口、気候などの基本情報から見てみましょう。

国名

チェコ共和国

首都

プラハ

場所

チェコがあるのは、ヨーロッパの中央部です。北東はポーランド、東にスロバキア、南にオーストリア、西と北西でドイツと隣接しています。

日本との時差

7時間

日本のほうがチェコより7時間進んでいます。

面積

78,866㎢

日本の面積が約38万㎢ですから、チェコの面積は日本の約5分の1です。

エリア

チェコは、首都のプラハと13の州で構成されています。

チェコの歴史的領域と現代の行政区 Illustrated by Pavel Fric, CC 表示-継承 4.0, Wikimedia Commons

人口

1,051万人

東京都の人口が約1,400万人ですから、チェコの人口は東京都の人口の約75%です。

言語・公用語

チェコ語

通貨

チェコ・コルナ
1 チェコ・コルナ=7.07円(2025年7月26日現在)

首都プラハの旧市街

宗教

ローマカトリック10%、無信仰68.3%

歴史概略

チェコの歴史は、9世紀から10世紀にかけて栄えた大モラビア帝国から始まります。この帝国は現在のチェコやスロバキアを中心に、チェコ人が作った国家です。

10世紀に大モラビア帝国が滅亡すると、ボヘミア王国、ハプスブルク帝国の時代を経て、1918年にスロバキアと統合したチェコスロバキア共和国ができました。

その後1993年にチェコスロバキアが平和的に解体され、チェコ共和国が誕生しました。

国旗

チェコの国旗は、青、白、赤の3色が使われたデザインが特徴です。青はスロバキアの紋章からとった色で、白はモラビアや清潔を、赤はボヘミアや自由のために流された血などを表現しています。ちなみにチェコスロバキア共和国から独立したスロバキアでは、チェコの国旗と似たデザインが使われています。

チェコの国旗
チェコの国旗。

天気・気候

チェコは大陸性気候で、日本と同じように四季があり、それぞれの季節で気温が大きく異なります。夏は30℃近くまで暑くなる日がありますが、湿気がなく爽やかです。一方で10月から4月頃の寒い季節になると気温がぐっと下がり、12月から3月頃は雪が降って氷点下になる日もあります。

チェコの治安・住みやすさ

チェコの治安や住みやすさはどうなのでしょうか?

チェコの首都プラハの街並み
プラハの美しい街並み

治安は良好

チェコの治安は安定しており、外務省「海外安全ホームページ」で危険情報は発令されていません。ただし、日本と比べると犯罪発生率は日本よりずっと高いことを覚えておきましょう。2021年にチェコで起きた犯罪件数は約15万件で、人口あたりの犯罪発生率は日本の約3倍に相当します。

日本人が巻き込まれた例で多いのが、スリと置き引きです。観光地の路上や観光施設、お土産屋、地下鉄、トラム、バスなどで、荷物から貴重品を盗られるといったケースが多く発生しています。荷物は自分の手元や体から離さないようにして、知らない人が話しかけてきたときは注意するといったことが大切です。

住みやすさは良好

日本と比べると犯罪発生率は高いですが、ヨーロッパの中では犯罪率が低めで治安のよいチェコは、住みやすさも良好です。冬は寒くなりますが、比較的過ごしやすい涼しい日が多く、世界の中でも日本人が暮らしやすい国のひとつといえるかもしれません。

チェコの見どころ・観光

チェコに旅行に行くなら、ぜひ訪れておきたい見どころや観光スポットをご紹介しましょう。

プラハ

チェコでまずチェックしたいのが、首都のプラハです。ここは市の全部が世界遺産に登録されている珍しい場所です。それは、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、アールデコなど、時代によって変わってきたさまざまな建築様式の建物があちこちに残っているからです。「建物の博物館」と呼ばれるように、長い歴史を感じさせてくれる街なのです。

プラハ城
プラハ城

なかでも9世紀に建築され、ボヘミア帝国の国王が暮らしていたプラハ城はチェコやプラハのシンボルです。小高い丘の頂にあり、広大な敷地には大聖堂、教会、宮殿などもあります。

チェスキークルムロフ

チェスキークルムロフは、ドイツやオーストリアにも近い、チェコの南部にある街です。ここも中世の街並みがそのまま残っていて、街全体が世界遺産に登録されている場所。中世にタイムスリップしたような、物語の中に迷い込んだような気分になることから「眠れる森の美女」と称えられています。

チェスキークルムロフ
チェスキークルムロフの街

この街のシンボルとなっているチェスキークルムロフ城をはじめ、バロック時代の劇場や博物館など、フォトジェニックなスポットは観光客に人気です。

テルチ

プラハから南東にあるテルチも、また世界遺産に登録されている街です。1530年に起きた大火によって街の建物の多くが焼失しましたが、その後再建され、今でも当時のルネサンス様式の建物が残っています。

テルチ
テルチの街

市民が自分たちの趣向を競うようにして建物の外壁の色を塗ったといわれ、ピンク、黄色、赤、緑などカラフルで個性的な建物が並び、かわいらしいおとぎの国といった雰囲気です。カフェやレストランひとつとっても、どこもメルヘンチックで独特の世界観に包まれていて不思議な気分になるでしょう。

カルロヴィ・ヴァリ

カルロヴィ・ヴァリは、ドイツとの国境に近いチェコ西部にある街。ここはチェコで最大の温泉リゾートとして知られていて、街のあちこちで温泉が出ています。

カルロヴィ・ヴァリ Photo by Bobak Ha’Eri, CC 表示 3.0, Wikimedia Commons(PD)

日本のように大浴場があって温泉に浸かるのではなく、温泉を飲んで体を癒します。街には温泉を飲めるスポットがあり、マイカップを手に人々が集まり温泉を注いで飲んでいます。カルシウム、マグネシウムなど、それぞれの鉱泉によって含まれる鉱物も異なり、微妙に味や効能も違うそうです。

チェコの特徴・有名なもの

チェコで有名なのは、ガラス製品やビールです

ボヘミアガラス

チェコといえば、ガラス製品やガラス工芸が有名です。チェコ西部のボヘミア地方で作られるボヘミアガラス(ボヘミアンガラス)がその代表格。ボヘミア地方の木灰からとれるカリウムを原料に作られており、高い透明度があり、繊細な装飾が入っているのが特徴です。ヨーロッパの王族たちに愛されたボヘミアガラスは、チェコのお土産品としても定番人気です。

ボヘミアガラス Photo by Øyvind Holmstad, CC 表示-継承 3.0, Wikimedia Commons

ビール

チェコではビールも有名です。ビールで知られる国としてドイツやアメリカの名前が挙がるかもしれませんが、チェコはビールの消費量が世界でも一番多いといわれるほど。地元ではビールを「飲むパン」と表現することもあるくらいビール好きの人が多く、日常に欠かせない存在です。

チェコに行ったら、本場のチェコビールを飲み比べたり、ビール工場や醸造所を見学したりしてもいいでしょう。

代表的なチェコビールのひとつ、ペルンシュテイン Photo by Pudelek (Marcin Szala), CC 表示-継承 3.0, Wikimedia Commons

世界で一番美しいといわれる街

チェコの首都プラハは、各時代ごとに変わっていった建築様式の建物があちこちに残っています。中世の時代に迷い込んだような雰囲気があり「世界で一番美しい」と表現されます。

日本とはまったく異なるヨーロッパのこの国は、世界中の人々を魅了しています。ヨーロッパを訪れる機会があれば、チェコにも足をのばしてみてはいかがでしょうか。

こちらの記事もおすすめ

「NATOって何?」と聞かれたら答えられる? ウクライナ侵攻以降、よく耳にするNATOを分かりやすく解説【親子で語る国際問題】
NATOは多国間の軍事同盟 一昨年2月にロシアがウクライナへ侵攻して以降、新聞やテレビでNATOという言葉をよく耳にするようになりまし...

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事