なぜ、字をきれいに書けないのだろう?
気になっていた、おうとつのある下じき
2022年の日本文具大賞でグランプリを受賞したのは、未就学児から中学生をターゲットにした、今まで見たこともないような形の下じきでした。
「先生おすすめ 魔法のザラザラ下じき」(以降「魔法のザラザラ下じき」)という名前を見聞きしたり、実際に手に取った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
表面に細かな凹凸が一定間隔でつけられた下じきです。
紙やすりから発想
特に文字を書くのが苦手な子どもたちにとって、この下じきはとても効果があるものでした。このでこぼこがあることでペン先が滑ったり、筆圧の強すぎる、弱すぎるといった問題を軽減してくれることが経験則としてわかり、「運筆力」、つまり鉛筆を思った通りに動かす力を強化することができたのです。
元々は思うように鉛筆を動かすことができないお子さんが、紙やすりの上に置いた紙に字を書くとうまく鉛筆を動かせるようになったところから発想をえたものでした。
この商品はお子さんはもちろん、きれいな字を書きたいと願う大人にも響いていたようです。
今年、待望の大人用が発売
2024年になり、この商品のバリエーションとして「大人の魔法のザラザラ下じき」が発売になりました。
すでに一般用語となった「美文字」ブームや、デジタル時代の中であえて「手書き」が見直されていることも社会の流れの一つとしてあります。
子ども用の「魔法のザラザラ下じき」は、低年齢用の0.6mmドットと小学生〜中学生用の0.3mmドットがありました。大人用は小学生〜中学生用と同様の0.3mmドットが表面に施されています。
うら面は小学生用はツルツルしていましたが、大人のものは、より細かなおうとつによるマットな仕上げになっています。
また、この下じきで想定している筆記具は「シャープペンシル」「ボールペン」「鉛筆」です。
実際に筆記してみると?
筆者は筆記速度が速くなりがちなため、娘の学校への提出書類をあとで読み返すと「なぜ、重要な書類を走り書きして書いてしまったのか」と何度も後悔してきました。
「大人の魔法のザラザラ下じき」パッケージにある「走り書きになる」方にオススメという文言が気になりました。この下じきを使うことでどのように走り書きを防ぐことができるのでしょうか?
おもて面
0.3mmのドットが打たれているおもて面で筆記してみました
筆記時にノートに接する面が大きい鉛筆を使うと、紙へのあたりが柔らかく、あまり振動は感じられませんでした、書き上がった文字に細かいドットが浮き上がっていました。
シャープペンシル、ボールペン(油性/ゲル)はいずれも鉛筆よりも強い振動を感じました。特に強く感じたのは油性ボールペン。元々書き心地が硬いのが影響しているのでしょう。また、少し力が入ると、ドットによって直線が揺られてしまうことがありました。
でこぼこが強調されるにつれて「あ、いま走り書きをしている!」と気付き、丁寧にかくことを意識させてくれます。
うら面
マット加工されているうら面でも試し書きをしてみました。
こちらはおもて面と異なり、全体的に不規則な細かなおうとつがあります。
いずれの筆記具も文字がブレるほどには変わりませんでした。しかし常に微細なおうとつが感じられ、ゆっくりと丁寧に書くことを促されるかのようでした。このマット加工は電話中のメモ取りなど、速く筆記する必要がある時を想定していますが、筆記する時のペン先が滑らないという長所があります。筆者はうら面を普段使いしてみたいと思いました。
大人用の下じきである配慮
大人の魔法のザラザラ下じきということで、子ども用の「魔法のザラザラ下じき」とは異なる部分が3つあります。
展開されているサイズが豊富
まず、発売されているサイズが異なります。子ども向けはドリルやノートと一緒に使うことを想定してA4サイズとB5サイズの2サイズですが、大人はよりコンパクトなサイズのノートや手帳を使うことが多いので、A4サイズ(税込1,210円)、B5サイズ(税込1,155円)に加えてA5サイズ(税込1,100円)とB6サイズ(税込1,045円)が用意されています。
環境に配慮された素材の使用
2つ目は、素材も紙やプラスチックの代替品として注目されている「LIMEX(ライメックス)」を使用していることです。
「LIMEX(ライメックス)」は、石灰石を主原料としているため、石油資源や森林資源の使用を節約できる素材です。SDGsが叫ばれる時代です。環境への配慮が行われていることも一つのポイントではないでしょうか?
字を整えて書くことができる方眼罫
3つ目はおもて面には縦のラインが目立つ方眼が印刷されていることです。
縦書きのお手紙を書く場合は、文字が曲がらないようにするガイドの役割をします。
横書き時には、例えば議事録などを書くときの文頭をきれいに揃えて、手書きで見やすい文書を作ることができます。
丁寧に字を書く習慣が作れます
ペン習字のような美しい字が書けるようになるためには、別途教材や参考資料なども必要でしょう。ですが、少し意識することで丁寧に書くことはできますよね。落ち着けばもっと読みやすくなるはずなのに、ついつい字が汚くなってしまうというお悩みがある方には特におすすめです。
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文・構成/ふじいなおみ