【新中1】中学校生活につまずかないためには親のサポートも不可欠! 教育アドバイザー・清水章弘先生に聞く「効果的な勉強法」と「生活リズム」を整えるコツ

中学生活が始まり、すべてが新鮮でわくわくする一方、新しい環境に慣れるのが精一杯と感じているお子さんや保護者の方も多いのではないでしょうか。今回は勉強法に関する書籍を多く手がけ、学習塾の経営も行っている教育アドバイザーの清水章弘先生に、日々の学習に役立つアドバイスや成績を伸ばすための具体的な方法をお聞きしました。
この時期に学習習慣がつけられるかどうかが、中学3年間の成績にも大きく影響します。できることから取り組んで、中学生活のスタートダッシュを切りましょう!

勉強の質と量が変わるうえ、時間の管理が難しくなる中学生活

教育アドバイザーの清水章弘先生

―新学期がスタートしました。今回は特に新中1についてお話を伺いたいのですが、中学生になったことで、何が大きく変化するのでしょうか?

学習内容が難しくなり、量が増える
部活動が始まる
定期テスト

3つです。単に勉強の質と量が変わるのが問題なのではなく、そこに、部活動と定期テストが入ってくるので時間の管理が難しくなり、生活リズムが崩れたり、勉強ができなかったりしてしまうので、大変になってしまうのです。

―時間を上手に管理しなければならないんですね。

そうですね。特に定期テストは大変です。範囲が小学校の単元テストに比べてぐっと広くなるうえに、何が出題されるか分かりません。試験の1か月前に習ったこともテストに出るので、長期記憶が必要になります。つまり、コツコツ勉強する習慣をつけなければならないのです。そのためには、理解スピード、作業スピード、計画実行力と、さまざまな力が求められます。

―親は、どうサポートすればよいのでしょうか。

ぜひ、一緒に計画を立ててください。中学生活に慣れるだけでも大変なので、実際にはついていくのが難しいお子さんがほとんどです。なので、いきなりできるようにしようとするのではなく、まずは、学習習慣を見直すところから始めてください。

勉強の計画は、「いつ、何(教科、単元)をどのようにやるか」を考えるように。これを、全教科それぞれに決めていきます。最初から完璧な計画でなくても構いません。部活動のスケジュールに合わせて調整したり、お子さんの様子を振り返ったりしながら、その都度、作りなおしていけば良いと思います。

計画を振り返るときは、「できていること、できていないこと」を親子でリストアップすると良いですね。できなかったことの原因を見直すことで、課題に気づくこともあります。

予習、授業、復習、テストはつながっていることを意識して

―先生のご著書、『中学生からの勉強のやり方(新学習指導要領対応・改訂版)』の中で、予習からテストまでの流れはつながっているとおっしゃっていました。

はい、予習は授業の準備、授業は復習の準備、復習はテストの準備なので、すべてはつながっているのです。例えば、英語の予習で単語や文法にざっと目を通すと、分からないことが出てくるはずです。それを分かるようになるために授業に参加すると、意欲も学習効果も高まると思いませんか。

これはどの教科にも言えることですが、予習とはできるとできないを分ける。授業はできないをできるにする。復習はできるをキープする。テストはできているかどうかをチェックすることなのです。

中学生の学習法、教科ごとに気を付けることは?

―中1で特に重要な科目や単元を教えてください。

まず、計算力です。数学と聞くと、いきなり難しい内容をやると思うかも知れませんが、実は大切なのは計算力。この時点で計算に時間がかかっていたり、計算ミスが多かったりすると、学年が上がって時間内に問題を解かなければならなくなった時に足を引っ張ってしまいます。また、数学の成績は階段のように上昇していくので、一時的に停滞する時期があるのですが、計算力がしっかりしていれば、この期間を短くできます。計算を正確かつ迅速に行えるように、しばらくの間は、1日10分の計算テストを続けてみてください。

また、意外と落とし穴になりがちなのが国語です。共通テストを見ても分かるように、国語は文章理解や語彙力を鍛え、全ての教科の学習を支える重要な科目。ついつい英語と数学にばかり力を入れがちになりますが、国語の勉強も軽視せず、しっかりと取り組むことが大切です。

―具体的なやり方をいくつか教えてください。

授業前にワークを解いておく:例えば国語の予習では、授業でやる単元を学校準拠ワークで解いてから授業に臨みましょう。すると、本文の難易度への心構えができた状態で授業を聞くことができるので、細部まで頭に入ってきやすくなります。

テスト化ノート術:授業中、ノートの左側に線を引いて3分の1の余白を作り、残りの3分の2のスペースに授業での板書を記録します。左側の余白部分には、板書の内容に基づいたクイズを自分で作成してください。授業を聞き洩らさないように集中して聞くようになるうえに、自作の問題集として、テスト前に活用できます。

一行ずらし見勉強法:復習では、数学の問題集の解説を一行ずつ隠しながら、それをヒントに次の解き方を考えます。そうすることで、単に数学の解法を暗記するのではなく、自分で考えながら力をつけていくことができます。最初は完璧に解けなくても心配はいりません。解答や解説を読み返し、最終的に自力で解けるようになるのが目標です。

小テストの活用:小テストをおろそかにせず、しっかり準備することです。学んだ内容の理解度が確認できるだけでなく、習ったことを繰り返し確認することで長期的な記憶につながるので、定期テスト対策にもなるでしょう。高得点をとれば自信にもなります。学校でやっていない場合は、問題集についている確認テストを活用しても良いかもしれません。

中学1年は反抗期前の最後のチャンス?

生活面のサポートで、親ができることは多そうです。気を付けることはありますか?

何といっても生活リズムを整えてあげることです。起床時間、就寝時間、勉強を始める時間3点を固定しましょう。

特に、勉強の開始時間は親子の認識のズレがけんかの元になりかねないので要注意です。大人にとっての「20時から勉強」は、机に向かってノートを開く時間ですが、子どもにとってはゲームをやめる時間(笑)。それをふまえて、10分は待ってあげてください。あらかじめ、10分たってもやらなかったときのペナルティと、それを解除する条件をお互いで決めておくと良いですね。ゲームを取り上げたとしても、返してあげるところまでを約束してあげてください。部活動などで時間が決めづらい方は、お風呂の後、のように、生活のルーティンに組み込んでも良いと思います。

―子どもとの接し方に関してはいかがでしょうか?

中学1年の間は、しっかり寄り添ってあげてほしいと思います。「中学生になったんだからあとは一人で大丈夫だよね」と本人に任せっきりにしていると、気が付いたときには手遅れになっているということも珍しくありません。

しかし、中学2年にもなると、多くの子どもたちは反抗期に入り、親の言うことを聞かなくなるもの。その時点で改善を試みても、なかなかうまくいかないでしょう。お子さんをしっかりサポートし、寄り添って一緒に軌道修正することは、中学1年が最後のチャンスかもしれません。

中学生は大人が思っている以上に「セピア色」な時期

親は「楽しい中学校生活を」と願うものですが、実は、親が思う以上にいろいろなことに悩むのが中学時代です。これまでのように話もしなくなるので心配が募ることも多く、まして勉強については分からないことも多いでしょう。だからこそ、中学1年の間は、結果だけでなく過程を大切にしてあげてください。テストの結果が悪かったとしても、学習時間が足りなかったのではなく、やり方がわからなかっただけなのかもしれません。

親子でその都度見直しをしながら、ペースをつかんでいってください。お子さんの可能性に蓋をせず、自身のペースで学び、成長できる環境を整えてあげて欲しいと思います。

 こちらの書籍も参考に

清水章弘・著ディスカバー・トゥエンティワン1540円(税込)

プラスティー代表の清水先生が、これまで中学生に教えてきた「勉強のやり方」を集大成的にまとめた1冊。
勉強の4つのステップ(予習、授業、復習、テスト)ごとに、5教科(英語、数学、国語、理科、社会)の正しい勉強法を手取り足取り解説しています。
2020年度の大学入試改革に呼応する形で、中学での勉強も「アウトプット重視」に。

改訂版では巻頭特集として「今日からできる『アウトプット勉強法』」を追加収録しています。

お話を伺ったのは

清水章弘|教育アドバイザー
1987 年 千葉県船橋市生まれ。海城中学高等学校、東京大学教育学部を経て東京大学大学院修了。東大在学中の20歳で起業し、東京・京都・大阪で「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを運営。TBS「ひるおび」、TOKYO MX「news FLAG」などでコメンテーターを務める。朝日新聞、朝日小学生新聞など での連載も。『現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法』 『自ら学ぶ子を育てる! 清水先生の自宅学習相談室』など著書多数。

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取材・文/黒澤真紀 

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