中学2年生「お城博士ちゃん」こと栗原響大さん、知識を生かして書籍も出版!お母さんに聞く、子どもの「好き」を楽しみながらサポートする秘訣は?

TV番組『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系列 毎週土曜日 夜6時56分~放送)に「お城博士ちゃん」として出演し、お城に詳しい小学生として一躍有名になった栗原響大さんは、現在中学2年生。2023年には初めての著書「おもしろすぎる家康の城図鑑」を出版しました。

大人顔負けのお城知識を持つ「お城博士ちゃん」

日本全国350城以上を巡り、お城のイベントでは大人相手に講演もする、中学2年生の栗原響大くりはらひびきさん。響大さんがお城に興味を持ったきっかけや、初めての著書ができるまでの苦労、お母さんの響大さんへの寄り添い方など気になる事を聞いてみました。

「お城博士ちゃん」に聞く、お城の魅力

――お城に興味を持ったきっかけを教えて下さい。

響大さん:はじめは歴史全体に興味を持ったんです。
5~6歳の頃に国旗がとても好きだったのですが、違うジャンルのものも読んでみたいと思い書店に行きました。その時目についたのが歴史の本で、それを読んでから歴史にハマりました。
その本はビジュアル図鑑みたいなもので、美化された武将の絵や説明があり、ちょっとした漫画なんかも載ってるものでとても読みやすかったです。
その後小学一年生の夏休みに、世界遺産が好きな母の影響もあり、国内の世界遺産を見に行こうということになりました。熊野古道や広島の原爆ドームなどを回る中で「姫路城」にも行ったのですが、それがお城に興味を持つきっかけになりました。

6歳 姫路城にて

――お城へ行ったのはそこが初めてですか?

響大さん:いえ、小田原で行われる「北条五代祭り」っていう北条氏のお祭りがあるんですが、歴史が好きになってから北条家に、とても興味が湧いたので、そのお祭りに行きました。その時、小田原城に行ったのが最初です。

――今、一番好きなお城はどこですか?

響大さん:静岡県にある山中城というお城です。山中城には他のお城とは違う形の障子堀というお堀があります。

普通はお堀の底には何にもなくて、敵が落ちても簡単に移動できてしまうんですけど、山中城はお堀に障子の桟のような仕切りがあることで、敵は仕切りに阻まれて自由に移動ができない。だからお城を守っている側からすると、敵を狙い撃ちしやすいという利点があるんです。
北条家が得意としていた障子堀は関東近郊で主に見ることができますが、中でも三島市の手厚い復元整備のおかげで良好な状態で保たれた形が見られるのは、山中城くらいではないでしょうか。

6年生の頃 山中城にて 「行くたびに視点が変わるので、1回行ったお城でも何回も行きたいと思います」

――お城を見るときのポイントや見どころを教えて下さい。

響大さん:はじめの頃は天守閣や石垣など、ぱっと見てわかりやすい部分に興味を持ったのです。でもだんだん土塁やお堀に興味が移っていきました。

気になるのは土塁の形や向きです。土塁が東側にあるのか西側にあるのかによって、そのお城がどちら側を意識して作られているのかっていうのがわかるんです。そのお城の土塁がどこに重点をおいて作られているのかを意識して見ます。

あと「縄張り図」というお城の地形を書いた図面があるんですが、城跡へ行ってそれを見ながら「あ、今は縄張り図のこの辺を歩いているのか」と、自分が今どこにいるのかを確認しながら歩くのが楽しいです。

――それはかなりマニアックな見方ですか?

響大さん:お城マニアの人の中では普通だと思います(笑)

――まだ行ってないお城で今行きたいのはどこですか?

響大さん:まず函館の五稜郭です。日本の最新技術を使って作られたお城なので是非行ってみたいなと思います。

次は山口県の萩城です。萩城は江戸時代に作られた山麓部分の石垣づくりの平城と、その後ろの山の山頂にある山城を合わせた平山城です。下が攻められたら山に登って戦うという、戦国時代から使われているお城ですね。

滋賀県の安土城は絶対に行きたいと思っています。やっぱり織田信長のお城ですから見てみたいと思います。

あとは幕末時代にも興味があるので、萩の城下町に行って高杉晋作の生まれたところや、松下村塾跡とかに行ってみたいですね。

――最近行ったお城で印象に残っているのは、どこですか?

響大さん:佐賀県の唐津市にある名護屋城ですね。豊臣秀吉が朝鮮出兵の時に拠点として作った特殊な城なんです。秀吉が暮らす名護屋城があって、その周りの山々に一緒に朝鮮半島に行く武将の陣屋がたくさんあるんです。なので秀吉のために作られた本丸跡や石垣などを見たあと、色々な武将の陣跡を見ることができるというおもしろいお城でした。

書籍「おもしろすぎる家康の城図鑑」はどうやってできたの?

昨年発売となった栗原響大さんの初の書籍「おもしろすぎる家康の城図鑑」。充実のボリュームで、お城の魅力が満載!お子さんから大人の方まで楽しめる内容になっています。HugKum編集部は、この書籍についてもお話を伺いました。

――「おもしろすぎる家康の城図鑑」は、どんな風に作っていったのですか?

響大さん:まず徳川家康の人生にかかわったお城を選んで、その中で本に載せたいお城を選び、そのお城について見るべきところなどの情報を挙げていきました。その後、編集の方とどういった構成にしていくかなどを打ち合わせ、形にしていきました。監修の千田嘉博先生にはある程度出来上がったものをお見せして、間違った知識がないか、こういった情報を追加したほうがいいんじゃないかなどのアドバイスをしてもらいました。

――千田先生からのアドバイスは勉強になりましたか?

響大さん:自分が普段、普通に使っていたお城に対する表現で、違う解釈をされてしまう可能性がある表現があったのですが、正しい表現を教えてもらいました。たくさんのアドバイスをいただき、お城に関する知識の幅は広がったと思います。

――本を出すにあたって、苦労した点はありますか?

響大さん:実は家康に密接にかかわったお城というのはそれほど多くないので、そういったお城をどうやって家康に絡めていくかを考えるのが大変でした。それとかなりの数のお城を載せたので、自分が行った時はどんなだったかなっていうのを思い出しながら書くのも苦労しました。

今はいろいろ想像ができる「城跡」を見るのが好きなのだそう。

――掲載したお城の情報は、自分が行った時のメモなどをもとにしているのですか?

響大さん:文章を書くのが苦手というか嫌いなので、写真は撮ってますがメモは全然してないんです。

載せるお城へ再度取材に行って、学芸員の方に話を聞いたり、文献を調べたり。調べていくと例えば伏見城なんかは以前は秀吉のお城というイメージだけだったのですが、家康の城という側面もあったんだなという新しい発見もありました。

――本を作るにあたってこだわったポイントはありますか?

響大さん:僕の一番好きな山中城は絶対に載せたくてこだわりました。実は家康とは、さほど関わりがないので、どんな風に絡めて載せられるかを一生懸命考えました。

――おすすめのページを教えてさい。

響大さん:江戸城ですかね。普段東京に住んでいても江戸城に行く機会はなかなか無いと思うんですが、江戸城は徳川家のお城なので、石垣は本当に見事で凄い技術が詰め込まれています。身近なお城なので是非行ってみて欲しいですし、興味を持っていただけたらと思います。

お城めぐりと野球以外、実はインドア

――お城以外に好きなものはありますか?

響大さん:野球が好きで、今は野球部に入っています。野球を始めたのは中学に入ってからなんですけど、観戦も大好きで地元・横浜ベイスターズのファンです。幼稚園の時に横浜市から子ども向けにベイスターズの帽子が配られたことで興味を持ち、小学1年生になる頃に初めてハマスタへ見に行きました。父が野球好きだった影響が大きいですね。

――好きなものが野球だったりお城巡りだったりと聞くと、出かけるのが好きなほうですか?

響大さん:いや、そんなことはなくて、野球とお城巡り以外は家から出ないでゲームとかしてます(笑)

響大さんとお母さん。響大さんの着用しているパーカーのロゴは、栗原響大、という漢字をお城ロゴ風にデザインしたもの!

――お城巡りは夏休みなど、長い休みに行くのですか?

響大さん:最近は部活が忙しくてあまり行けていないのですが、夏休みやGW、3連休などに行きます。

家族でお城に行くときは4泊5日で20〜30箇所のお城を巡ったりする弾丸ツアーです。城下町とかに行く時間はなくて、本当にお城しか見てないんです。(笑)

地図を広げて行くエリアを見て、こことここの間は何キロだからこのくらいの時間がかかるから、など、旅の計画を立てるのは母で、運転は父がしてくれます。

――なかなかの強行軍ですね!

お母さん:そうですね。城巡りのスケジュールを立てたりするのは私がずっとやっていて、もうそれに徹している感じです。小学生の時は毎年夏休みに車で行っていたんですが、「4泊なら山口まで行けるね、東北まわれるね、3泊だと北陸までかな」とか、そういった感じでこの期間ならこの範囲って決めていきます。

――本を読んで興味を持ったものは、実物を見せてあげたいというお気持ちからですか?

お母さん:そうですね。まだお城に興味が無い時に、国内の世界遺産に連れていったのも、本で見るだけより実際に行って見て感じた方が心に残ると思ったので。そう行った意味でもできるだけ見に連れて行ってあげたいなと思っています。

――他に「お子さんの好き」に寄り添うために何かしていることなどあればお聞かせください。

お母さん:小さい時ってすごくいろんなことを吸収する時期なので、ちょっと興味を持ったかなっていう時に読みやすそうな本を渡していました。そうすると、本を読んで知らない間に知識を身につけている感じなんです。

そうやって本を数種類渡して様子を見ていると「あーこっちの方向に興味がいくんだな」って、はまっていく方向がわかるんです。そうしたらその興味の方向に沿ったものをまた買ってあげて、また読んでっていうことの繰り返しで、お城もそうやって突き詰めていった感じですね。だからとにかく本はたくさん買ってあげました。

――今後やりたいことや、なりたい職業などありますか?

響大さん:職業はまだわかりませんが、遺跡の発掘とかしてみたいです。大学の考古学サークルみたいなところに入るとそういったアルバイトができると聞いたので、やってみたいと思ってます。

子どもの「好き」を伸ばす親のサポート

興味のありそうな本を渡してあげる。そんなお母さんのほんの少しの支えによって、響大さんがここまで「好き」を膨らませてきたことは、お話を聞いていてとても興味深く感じました。

お子さんの興味を見逃さずにさりげなく寄り添えるサポートは、ぜひ参考にしてみたいですね。

あなたにはこちらもおすすめ

現役中学生の戦国プリンセス博士ちゃん・諸星天音「お城巡りはアイドルのライブに行っている感覚」戦国時代のトリコになったきっかけは1冊の歴史小説
きっかけは「穴」…それから『のぼうの城』にはまって歴史が大好きになりました 天音さんが「歴史」に興味を持ったきっかけを教えてください。 ...

栗原響大さんの書籍はこちらから

KADOKAWA|定価:1,650円

徳川家康の人生にまつわる、お城の知識を「お城博士」ちゃんこと栗原響大くんがやさしく紹介!家康の人生に影響を与えたお城の知識とともに、そのお城ならではのとっておきの話を教えてくれます。
お城はなにをする場所?なにがある?お城を築くのはなんのため?などのお城の基礎知識はもちろん、お城のここを見てほしい!など実際に行って楽しめる情報も盛りだくさん。
お城のことから家康の人生まで一気にわかり、子どもも大人も楽しく読むことができます!

取材・文/苗代みほ 撮影/五十嵐美弥

編集部おすすめ

関連記事