今さら聞けない「だし」の常識。かつおだし・昆布だし・煮干しだし・しいたけだし…とり方、料理への使い分けをおさらい

和食には欠かせない「だし」。このだしが料理の味を左右すると言っても過言ではないでしょう。そんなだしには、かつおだしや昆布だしなど、いくつか種類があり、使い方に迷ってしまいませんか?
そこで本記事では、だしの基本知識や種類や特徴、使い分けなど解説していきます。

だしの基礎知識をチェック

だしとは、昆布や鰹節、煮干しや干し椎茸などから、旨み成分を取り出した汁のことをいいます。また、だしは「出汁」「だし汁」とも表しますが、同じものです。

このだしを使って調理や味付けをしたりすることで、食材の味を引き出し、料理がより美味しくなります。

なぜだしを使うと料理が美味しくなる?

だしを使うことで、料理の旨味を加えてくれます。この旨味のもとになっているのが旨味成分と呼ばれるもの。

鰹節は「イノシン酸」、昆布は「グルタミン酸」、干し椎茸には「グアニル酸」という旨味成分が含まれています。これらが旨味として感じられる正体なんです。

だしの種類とおすすめの使い分けを紹介

だしの種類をいくつ知っていますか? ここからは主なだしの種類や特徴、おすすめの料理との組み合わせを紹介していきます。

では、かつおだし、昆布だし、かつおと昆布の合わせだし、煮干しだし、野菜だし、それぞれの特徴やおすすめの使い方・だしのとり方などを見ていきましょう。

かつおだし

幅広い料理に使うことができるのが「かつおだし」です。旨味成分は「イノシン酸」。疲労回復効果が期待できるビタミンB1やミネラル類も豊富に含みます。

おすすめの料理との組み合わせ

かつおだしはクセがなく、上品な味わいが特徴。だしが主役になるような、吸い物や茶碗蒸しなどに使うのがおすすめです。

かつおだしのとり方

鰹節の量は水1ℓに対して30gが目安です。

1、鍋に水を入れ、沸騰したら火を止めて鰹節を入れます。

2、鰹節が沈むまで1~2分置きましょう。

3、布巾やキッチンペーパーなどを敷いたざるで濾したら完成です。

昆布だし

昆布からとられるだしのこと。あっさりとしていて、ほんのりと塩味を感じることができます。旨味成分はグルタミン酸。料理にコクを与えてくれます。

おすすめの料理との組み合わせ

比較的、簡単にだしをとることができ、豆腐や魚、肉などの煮物、鍋などの温かい料理のほか、酢の物などの冷たい料理理にもおすすめのだしです。

昆布だしのとり方

昆布だしは、煮出してとる方法と、水出しでとる方法があります。また昆布の量は水の量に対して1%が目安です(例:水1ℓに昆布10g)。

・煮出しでとる方法

1. 濡れた布巾などで昆布の表面を優しくさっと拭きます。

2. 水を入れた鍋に昆布を入れ、30分ほどつけておきましょう。

3. 中火の火にかけ、沸騰する直前で昆布を取り出したら完成です。

・水出しでとる方法

1. 容器に水と昆布を入れます。

2. ふたをして、冷蔵庫でひと晩以上つけたら完成です。

かつおと昆布の合わせだし

和食でよく使われているのが、このかつおと昆布の合わせだしです。

昆布の旨味成分、グルタミン酸は、ほかの旨味成分と合わせると、相乗効果で旨味がアップするという特徴が。昆布にかつおの旨味成分であるイノシン酸が合わせることで、旨味がさらに強いだしになります。

おすすめの料理との組み合わせ

煮物にはもちろん、お吸い物のほか、うどんや煮麺などの麺料理など幅広く使うことができます。

昆布とかつおの合わせだしのとり方

水1ℓに対して、昆布15g、鰹節20gが目安です。

1. 昆布の表面は濡れた布巾で軽く拭き、水に30分~ひと晩、つけておきます(夏などは冷蔵庫の中に入れてください)。

2. 1の鍋を中火にかけ、沸騰する寸前で昆布を取り出します。

3. 2に鰹節を入れ、そのまま3分ほど置いておきます。

4. キッチンペーパーなどを敷いたざるで、濾したら完成です。

煮干しだし(いりこだし)

カタクチイワシやトビウオ(アゴ)などの煮干しからとられるだし。「いりこだし」とも呼ばれます。

おすすめの料理との組み合わせ

旨味成分はかつおと同じイノシン酸ですが、かつおだしよりも香りが強く味が濃厚。そのため、味噌汁やラーメンなど味の濃い汁物に使うのがおすすめです。

煮干しだしのとり方

1、煮干しのはらわたを取り除きます。

2、鍋に水を入れ、そこへ煮干しを入れて30分ほど寝かせましょう。

3、2を中火にかけて、灰汁を取り除きながら6~7分ほど煮ていきます。

4、布巾やキッチンペーパーなどを敷いたざるで濾したら完成です。

しいたけだし

干し椎茸を戻す際に出る、戻し汁のことを言います。旨味成分はグアニル酸です。

おすすめの料理との組み合わせ

しいたけだしは、強い味わいが特徴です。そのため、しっかりと味をつけたい煮物や炊き込みご飯などにおすすめです。

しいたけだしのとり方

水1ℓに対して干し椎茸の量は、50gくらいが目安です。

1. ボウルに干し椎茸が浸かるくらいの水を入れ、10分ほど漬けたら、水でさっと洗い流し、雑味の元となるホコリや粉を取ります。

2. ボウルに新しい水と洗ったしいたけを入れ、冷蔵庫でひと晩寝かせます。

3. 2を鍋に移し、弱火でゆっくり加熱し、沸騰させる手前で火を止めます。

4. ざるで濾したら、できあがりです。

ふわふわに仕上げる「だし巻き卵」のレシピ

だし巻き卵におすすめのだしは、かつおと昆布の合わせ出汁です。ふわふわの仕上げるコツは、片栗粉を入れること。では丁寧にとっただしで、だし巻き卵を作っていきましょう。

材料(作りやすい量)

・卵… 4個
・かつおと昆布の合わせだし… 50cc
・酒… 小さじ1
・薄口醤油… 小さじ1
・砂糖… ひとつまみ(お好みで)
・サラダ油… 適量
・片栗粉… 小さじ2/3

作り方

1. ボウルで卵を溶きます。

2. 別のボウルにかつおと昆布の合わせだし、酒、薄口醤油、砂糖、片栗粉を入れて混ぜておきます。

3. 溶いた卵に、2を少しずつ入れて混ぜます。

4. 強火で熱したフライパンもしくは卵焼き器にサラダ油をなじませます。

5. 中火まで落として卵液を数回にわけて入れ、巻いて完成です。

できただし巻き卵は、巻きすで形を整えるときれいに仕上がります。

「だし」をマスターして料理に使い分けよう

基本的な「だし」について紹介してきました。最近ではだしパックや顆粒のものが多く売られています。忙しいときの料理に便利ですよね。しかし時間があるときは、丁寧にだしをとってみるのも良いかもしれません。

丁寧に作った料理はまた格別に美味しいと感じるのではないでしょうか。また、どの料理にどんなだしを使うのか、悩んでいた方はぜひ参考にしてみてください。

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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