MEC食はたんぱく質中心の食事法のこと
MEC食は、主食・主菜・副菜などをバランスよく食べる従来の食事法とは異なる方法です。どのような内容なのか、見ていきましょう。
肉・卵・チーズを中心に献立を組み立てる
MEC食は、肉・卵・チーズを中心にした食事法です。Meat(肉)・Egg(卵)・Cheese(チーズ)の頭文字から名付けられました。沖縄で活動してきた医師、渡辺信幸(わたなべのぶゆき)さんが提唱しており、以下のようなメリットがあると話題です。
●不足しがちなたんぱく質を補える
●条件が緩いので続けやすい
●よくかんで味わうので食欲が満たされやすい
決められた量のたんぱく質を優先して食べるので、糖質を抑えやすいことも特徴です。一般的な糖質制限ダイエットと似たところがありますが、意識して肉・卵・チーズを食べる点が異なります。
厳しい食事制限がないことから人気に
MEC食は、厳しい食事制限をしないダイエット法として人気があります。基本的に決められた食品を、決められた量だけ食べればよいので、複雑なカロリー計算や、激しい運動が苦手な人でも挑戦できます。
一般的な糖質制限とは違い、食べてはいけないものはありませんが、糖質の取り過ぎには注意しましょう。飲料は水やお茶などの糖分を含まないものを中心に選びます。
また、MEC食でダイエット効果があったとしても、食事内容を元に戻すと体重が増加する、リバウンドが起きる可能性があります。リバウンドを避けるには、引き続き栄養バランスやカロリーに配慮しながら、ウォーキングなどの有酸素運動をするのがおすすめです。
MEC食のやり方
MEC食は食べ方にルールがあり、ただ食べればよいわけではありません。MEC食を成功させるための、正しいやり方を見ていきましょう。
決められた量の肉・卵・チーズを食べる
MEC食では、1日で肉200g、卵3~4個、チーズ120gを目安に摂取します。肉・卵・チーズの順で食べた後、補助的に野菜や少量の炭水化物を取ります。肉・卵・チーズの種類に制限はありません。
肉の部位も問わないため、ロース・ヒレ・ハラミなど、味わいを変えながら楽しめます。卵は、一般的に入手しやすい鶏卵やうずらの卵などで十分です。チーズはさまざまな種類があるので、好みのものを選びましょう。
魚も食べられますが、推奨はされていません。肉は魚に比べて鮮度を保ちやすく、良質なたんぱく質を取りやすいメリットがあります。魚を食べた日も、意識して肉を食べましょう。
咀嚼の目安は30回
MEC食では食材だけでなく、食べ方も重要です。食べ物を口に入れる度、30回かみましょう。よくかむことで肉を消化しやすくなり、満腹感も得やすくなります。
一口を小さくし、ゆっくりとした食事を心掛けるのがコツです。よくかんで食事すると、食材が持つ本来の味を感じられるところもメリットです。
他にも、顎や顔の筋肉が鍛えられ、いきいきとした表情になる効果も期待できます。忙しいと、つい短時間で食事を済ませようとしがちです。ゆっくりと食べられるように、十分な食事時間を確保するようにしましょう。
野菜は葉物を中心にビタミンC摂取を意識
栄養バランスを整えるために、動物性食品から摂取できないビタミンCを一緒に取ります。ビタミンCが多い野菜はパプリカ・ホウレンソウ・ブロッコリーなどです。
野菜類はメインではなく、付け合わせとして食べます。ビタミンCは熱に弱く水に溶けやすい性質を持つので、調理法に注意しましょう。電子レンジを使って加熱すると、ビタミンCが多く残ります。
ビタミンが取れるサプリメントなどを活用してもよいですが、緑の野菜を加えることでかむ回数が増え、食事への満足感がより高まるでしょう。
MEC食におすすめ簡単レシピ
MEC食は調理法の指定がないところも、続けやすいポイントです。肉・卵・チーズを使用した、簡単で作りやすいレシピを紹介します。
簡単でアレンジしやすい「ミートローフ」
肉だねを混ぜて形を整え、レンジで加熱するだけの簡単なミートローフです。
材料(4人分)
●合いびき肉:400g
●タマネギ:1/2個
●インゲン:3~4本
●うずらの卵(ゆでてあるもの):10個
●パン粉:大さじ2
●卵:1個
●塩コショウ:少々
●ガーリックパウダー:少々
ソース
●トマトケチャップ:大さじ2
●ウスターソース:大さじ2
●バター:15g
作り方
1.タマネギはみじん切り、インゲンは小口切り、うずらの卵はゆでて殻をむく
2.ボウルに野菜と合いびき肉・パン粉・卵を入れ塩コショウで味付けをし、よく練る
3.ラップの上に肉だねを半量広げ、うずらの卵を並べたら残り半量を被せてかまぼこ状に包む
4.ラップで3を包み、耐熱皿の上に載せて600Wの電子レンジで8~10分程度加熱する
5.耐熱皿の上に出た煮汁とソースの材料を混ぜ、ラップして30秒程度加熱する
6.粗熱が取れたら食べやすい大きさに切り分け、ソースをかける
うずらの卵以外にもスティックチーズなど好きな具を入れられ、自分好みにアレンジできます。
生地なしで作る「ホウレンソウのキッシュ」
生地の部分がなく、混ぜて焼くだけの簡単なキッシュです。
材料(4人分)
●卵:4個
●ホウレンソウ:1~2袋
●ベーコンまたはウインナーなど:1~2パック
●牛乳:400cc
●ピザ用チーズ:大さじ2~3
●塩コショウ:少々
●バター:大さじ2
作り方
1.オーブンを200度に予熱しておく
2.ホウレンソウは3cm幅、ベーコンはひと口大にカットする
3.2をバターを敷いたフライパンでよく炒め、冷ましておく
4.ボウルに卵・牛乳・塩コショウを入れてよく混ぜる
5.4に3を入れ、よく混ぜ合わせたら耐熱皿に移す
6.5にピザ用チーズを載せて、オーブンで20分程度焼く
4で隠し味として、マヨネーズ大さじ2やコンソメ小さじ2などを加えても、おいしくなります。
おやつ感覚で食べられる「チーズせんべい」
包丁や鍋を使わず簡単に作れて、小腹が減ったときのおやつにおすすめなレシピです。
材料(4人分)
●とろけるスライスチーズ:4枚
作り方
1.耐熱皿にクッキングシートを敷き、チーズを載せる
2.ラップをせずに600Wの電子レンジで1分30秒程度加熱する
様子を見ながら、きつね色になるまで加熱することがポイントです。上の画像のように、アクセントとして野菜の輪切りをのせても楽しいですね。
ピザ用チーズを使っても作れます。そのまま食べるだけでなく、細かく砕いてサラダやスープのトッピングにする方法もおすすめです。
MEC食の注意点
よいことだらけに思えるMEC食ですが、注意点もあります。MEC食に挑戦する人が知っておくべきポイントをチェックしましょう。
満足できないときは少量の炭水化物を
基本は肉・卵・チーズの食事ですが、満足感を得られないときは最後に少量の炭水化物を食べても構いません。MEC食は1日で多くのたんぱく質を摂取するので、食事への満足感が大きいとされています。とはいえ、咀嚼回数が足りないと満腹になりにくいかもしれません。
早食いの癖がある人は1回ごとに箸を置き、かむことに集中する意識が大切です。また、食事の終盤に少量の果物を食べてもよいでしょう。
果物を取り入れる際はできるだけ糖質が少なく、ビタミン類が豊富なものを選びます。例えば、アボカドやイチゴ、かんきつ類などがおすすめです。
体調の変化やリバウンドに注意
急に食事法を変えると、体調を崩す恐れがあります。体質が原因で合わない場合もあるため、異変を感じたら即座に中止し、通常の食事法に切り替えることが大切です。自分に合っているか不安な人は、専門家に相談しましょう。
炭水化物が好きな人がMEC食に切り替えると、ストレスを感じるかもしれません。リバウンドを防ぐためにも、無理のない範囲で緩く続けるのがコツです。
好きなものを食べる日を決めて、ストレスをためないようにするのも一つの方法です。ヨガやストレッチ、ウォーキングなどの手軽にできる運動を習慣化し、体を動かしてストレス解消するのもよいでしょう。
MEC食はダイエットの一手段
MEC食はダイエットにありがちな「食べてはいけない」という常識を覆し、注目されました。食べられないと思うと不満がたまりますが、肉・卵・チーズを積極的に食べようという考えになるので、食事制限がつらくてダイエットを続けられない人にとって、画期的な方法といえます。
始めるにあたって特別な道具なども必要なく、一般的なスーパーで手に入れられる食材ばかりなので、継続しやすいのも特徴です。体重の増加が気になる人は、取り入れるか検討してみてはいかがでしょうか。
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構成・文/HugKum編集部