3歳の息子の食事の仕方が汚くてついガミガミ。どうしたら直りますか【愛子先生のお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

3歳の息子に食事のしつけのことでついガミガミ。どうしたら言うことを聞いてくれますか

食事の仕方が汚い3歳の息子に手を焼いています。散らかして食べるので、ついガミガミ言ってしまいます。どうしたら、言うことを聞いてくれるのでしょうか。姑からも「あなたのしつけが悪い」と注意をされてしまい、ますます肩身が狭い思いです。

年齢的にできない原因があるはず。今はまだできないのだとあきらめて

ガミガミ言ってもダメなら、できない原因があると思います。スプーンや箸など道具を使う手の機能が未熟である。もしくは道具を口に持って行く感覚が身につかず腕がコントロールできないなど、主に身体的な発達が関係しているかもしれません。食べる事に集中しきれないというのもあるかもしれません。

ですから、ガミガミ言うのは気の毒です。今はまだできないとあきらめましょう。だいたい、言われてできるようになることって、人間あまりないと思います。でも、お母さんは子どもが散らかすことが頭にくる。

だったら、工夫しかないですね。ごはんを一口おにぎりにするとか、食べやすいものにしてみたらどうでしょう。食事は和やかにおいしくいただくことが大事ではないですか? あとは待っていればできるようになります。姑には「まだ生まれて3年で未発達でも仕方ないそうです。少し見守っていきたいです」と伝えてみたらどうでしょう。

 子どもといるといろんなことが気になるんですよね。そして、直してほしくて言葉で言い続けて疲れてしまう。多分、言い続けて子どもができるようになる時期と、あきらめて、ほおっておいてできるようになる時期はあまりかわらないだろうと、私は経験から思っています。

 例えば、歩き食べをする2歳の子。座って食べろと言い続けて、なんとか最後まで食事が座って食べられるようになるのが3歳後半から4歳くらい。言い続けなくても4歳になれば座って食べます。年長児でうろうろしながら食べている子は、事情がない限りあまりいません。

しつけは、知らず知らずに身についていくものです

 「おはようございます」と挨拶を教えると、とりあえずそのときだけすぐに言う子と、かえって口を固く結ぶ子がいます。「おはよう」とこちらから子どもに声をかけ続けていくと、だいたい6歳くらいには「おはよう」というのが習慣づいています。挨拶は教えて言えるようになるというより、家庭の中で習慣づいて身につけていくものだと思います。

 だいたいしつけとは、日々の生活の中で、知らず知らずに身についていくものではないですか?中学、高校生の頃に、友達の家に泊まりに行くと、自分の家とは随分違って驚きませんでしたか?それくらい、しつけと言われるものは家によって違うのです。しつけはどれが正解というものではなく、我が家流を身に着けていくくらいに思っていてもいいのではないでしょうか?

そして、なんとなく人間としてできあがってきた6歳くらいになると、外面と内面が違ってきます。外では、一応、ちゃんとできます。高校生くらいになると一般的な常識を得ます。

そういえば、小学生は「ありがとうございます」とよく言います。もう礼儀が身についているのでしょう。

 乳幼児にきちんとした、しつけられた子を要求するのは、親も子も疲れてしまうのではないかしら?今しか見えない子どもたち、今を全身全霊で感じ、動いている子どもたち、子どもだからこその姿を楽しむ方がいいのではないかしら?先を心配するあまり、今の子どもの輝きが見えなくなっては損ですよ!

記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。

構成/Hugkum編集部 イラスト/海谷泰水

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