ボリビアってどんな国?
大きな南米大陸のなかで、ちょうど中央部分に位置するのがボリビアです。アンデス山脈の山々があり、標高の高い都市が多い国です。またボリビアは、スペインの植民地だった歴史もあります。ボリビアがどんな国なのか、順に詳しく見ていきましょう。
ボリビア基本情報
まずはボリビアの場所や面積、人口、歴史などの基本情報から見てみましょう。
国名
ボリビア多民族国
首都
ラパス
憲法上の首都はスクレですが、国会などの行政機関があり実質に機能している首都はラパスです。
場所

ボリビアがあるのは、南米大陸のほぼ中央部。北から東まではブラジル、南東はパラグアイ、南はアルゼンチン、西はチリ、西北はペルーと接しています。
日本との時差
13時間
日本の方がボリビアより13時間進んでいます。
面積
110万㎢
日本の面積が約38万㎢ですから、ボリビアの面積は日本の約3倍です。
エリア
ボリビアは、日本語の県または州に相当するデパルタメントと呼ばれる9つの区分で構成されています。首都ラパスがあるのはラパス県です。
人口
1222万人
東京都の人口が約1400万人ですから、ボリビアの人口は東京都の人口の9割ほどです。
言語・公用語
スペイン語およびケチュア語、アイマラ語を中心に先住民言語36言語
通貨
ボリビアーノ
1 ボリビアーノ=20円(2024年9月26日現在)
宗教
国民の95%以上はカトリック教徒です。
歴史
ボリビアはかつてインカ帝国の一部でした。1545年に発見されたポトシ銀山をはじめとした豊富な鉱物資源があったことから、スペインの植民地となりました。
ボリビアがスペインから独立したのは、1825年のことです。このときに独立運動を指揮したのが「南アメリカ解放の父」と呼ばれるシモン・ボリバルという人物。ボリビアは「ボリバルの国」という意味があり、ボリビアの国名はこの人物にちなんで付けられました。
ボリビアは現在は内陸国ですが、以前は現在のチリ北部の太平洋に面した地域をペルーと分けあっていました。しかし1879年から1883年の太平洋戦争でペルーとともにチリと戦い敗れたことで、海のない内陸国となったのです。
2024年7月には大統領官邸に兵士が突入するクーデター未遂が起こりました。過去のクーデター発生の回数もとても多く、政情不安が続いています。
ボリビアの国旗は、赤、黄、緑の3色が並んだデザイン。赤は独立戦争で流された血や犠牲、黄色は鉱物資源、緑は森林資源を表し、中央には国を象徴する紋章が描かれています。

天気・気候
ボリビアは地形的な特徴から3つのエリアに分けられ、それぞれで気候が異なります。ボリビアの西側でペルーやチリと隣接するアンデス高原地帯は、アンデス山脈が走っており標高が高いエリア。年間の平均気温が15℃ほどで、乾燥していて一日の寒暖差が大きくなります。またアンデス山脈の東麓には、渓谷地帯が広がっています。ここは高温多湿の亜熱帯気候で、気温はとても温暖です。そして東部の東部平原地帯は、高温で雨が多い熱帯気候です。
ボリビアの治安・住みやすさ

南米は治安が悪いと耳にしたことがある方も多いでしょう。もしボリビアを訪れるなら、治安はどうなのか気になるかもしれません。
治安は比較的良好
ボリビアの人口10万人あたりの殺人事件発生件数は約4.6件と、中南米諸国と比較すると低く、中南米では比較的治安のいい国と考えられています。外務省「海外安全ホームページ」でも、一部の地域をのぞいて危険情報は発令されていません。
注意したいのは、ラパス県ラパス市とエルアルト市、サンタクルス県サンタクルス市です。ここでは2019年の大統領選挙と国会議員選挙の後に、開票手続きに不正が行われたという疑惑があり、抗議活動から死傷者が出る暴動に発展しました。現在は「十分注意」のレベル1が発令されています。
ただ比較的良好とはいえ、日本に比べると殺人件数はずっと多く、旅行者を狙った強盗やスリ、置き引きなども発生しています。偽の警察官が近づいてきて日本人旅行者が窃盗や強盗の被害にあったこともありますから、十分な注意が必要です。
住みやすさはまずまず
ボリビアは中南米では比較的治安がいい国であることから、住みやすい国として考えてもいいかもしれません。しかしスリなどの軽犯罪がよく起きているため、自分の身は自分で守るという意識が必要でしょう。また水道の水は飲用に適しておらず、各種食中毒やマラリアなどの感染にも注意しなければなりません。
ボリビアの見どころ・観光
ここからは、ボリビアの見どころや観光スポットについてご紹介しましょう。
ウユニ塩湖

ボリビアの観光スポットではずせないのが、ウユニ塩湖です。周囲はアンデス山脈に囲まれ、標高が富士山とほぼ同じの約3700mに位置します。塩湖(えんこ)とは塩分を含んだ湖のことで、太古の昔に地殻変動によって隆起した際、海水が閉じ込められて水分が蒸発していったため、内陸にありながら塩湖ができたのです。湖は南北約100 km、東西約150 kmにも及び、湖面にあたる光が鏡のように反射し「死ぬまでに行きたい絶景スポット」と呼ばれる美しい眺望をのぞめます。
ラパス

ボリビアの憲法上の首都はスクレですが、事実上の首都になっているのがラパスです。ラパスは標高3650mと、富士山の頂上と同じくらいで世界一標高の高い首都です。またラパスに近いラパス・エル・ アルト国際空港は、世界で最も高い標高にある国際空港です。ラパスはすり鉢状にできた街で、ロープウェイが走っています。レンガ造りの可愛い建物や石畳が続き、独特の雰囲気に包まれています。
ボリビアの特徴・有名なもの
ボリビアは日本人が多く移り住んだ国で、日本とのつながりもあります。そんなボリビアの特徴をご紹介しましょう。
チョリータ(民族衣装)
ボリビアの伝統的な民族衣装が「チョリータ」と呼ばれるもの。ボリビアの女性たちが身に着けるもので、何枚も重ねたスカートをはき、髪の毛は三つ編みにして頭に山高帽をかぶっています。これはスペイン植民地時代に、スペイン人が来ていた衣装を取り入れたものといわれます。
明治時代に移住した日本人の移民
ボリビアは日本とつながりのある国で、ボリビアには日本人が移住していきました。1899年に790人の日本人がサトウキビ畑での労働のため、ペルーに移住しました。しかし現地での労働環境が厳しいことから、アンデス山脈を越えてペルーからボリビアに入国した日本人移民がいたのです。これがボリビアの日本人移民のはじめとされています。また第二次世界大戦終戦で、アメリカ軍統治によって土地を失った沖縄の人々がボリビアに移住していきました。
天然塩

ボリビアのウユニ塩湖で採れるの天然塩が有名です。また、標高4000m前後のアンデス山脈で採取されるアンデスの塩も人気です。
多様な文化が根付く国・ボリビア
ボリビアは多種多様な先住民族の故郷といわれ、現在でもさまざまな文化が根付く国です。鉱物資源が豊富でありながら、内陸国で政情不安なこともあり、先住民と先住民以外の人々の格差が広がるなど、貧困に苦しむ人も多くいます。日本から遠く離れた国ですが、かつて日本人が移住したこともあり、日本とつながりがあります。この記事をきっかけに、ぜひそんなボリビアに目を向けてみてくださいね。
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文・構成/HugKum編集部
