【地方移住子育て】石川県加賀市の限界集落で、35年ぶりの赤ちゃん誕生となり話題に!千葉から移住したファミリーは、充実した子育て支援に助けられ農家民宿経営を目指す

千葉県習志野市から、中学教諭を辞め、石川県加賀市にある「加賀東谷」地区の4集落の一つ、わずか10世帯の限界集落「今立町」へ移住した近藤裕佑(ゆうすけ)さんファミリー。家族4人で生活しながら、現在は来年オープン予定の農家民宿の準備を進めています。前半では移住したきっかけや古民家宿を目指すまでを伺いました。
後半ではこの地域にとって35年ぶりの赤ちゃんとなった次男くんの誕生や、子どもたちと自然にあふれた環境での暮らしについてお話を伺います。

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35年ぶりの赤ちゃんの到来が話題に。子育て支援の充実ぶりに助けられています

移住してから生まれた次男は「限界集落」では35年ぶりの赤ちゃん誕生ということで、地元の新聞やテレビで報道されました。加賀市は子育て支援にも積極的に取り組んでいて、この点は、本当にラッキーだったと思います。

 知らない土地へ来ての子育てや出産は、僕も妻も不安でした。でも、地域の人たちは温かく、さらに加賀市では子ども、親、親子を対象にした活動を行っている20もの団体があり、月に40ほどの多様なプログラムや講演会が開催されていて、それも参加費は無料のものもあり、妻はとても喜んでいます。

 また、0歳から18歳までの医療費が無料で、保育料は完全無償化。乳幼児教育も”「学びの未来」を0歳から”をビジョンに特色ある保育に取り組んでいます。長男が通っている保育園は家から比較的近く、僕たち夫婦の子育ての方針にぴったりの自然保育を実施している園で、とても満足しています。

保育所・こども園・幼稚園/加賀市 (city.kaga.ishikawa.jp)

 移住から一年。自然学校と農家民宿の運営を目指して活動をスタート

移住してからこれまでの1年、毎日、充実した日々を送っています。

 移住後は、自然体験指導と教師というこれまでの体験を活かして自然学校と農家民宿をしたいと考えていたのですが、Tさんはその志を理解してくれた上で、雇ってくださり、昨年秋には、農家民宿をするための古民家を購入。現在リフォームの準備を進めています。また、自然学校「かが杜の学び舎ゆうなぎ」では、今夏「サマーキャンプ」を実施します。おかげさまで、あっという間に定員になり、現在キャンセル待ちを受け付けている状態です。これからも地域の育児サークルの受け入れ場所として秋の芋ほりなどを企画しています。

僕の雇い主のTさんは、自身で地域おこしをするだけでなく、地域で何かを始める人のプラットフォームになりたいと思ってくださっている方なので、ありがたいことに、こうした僕らの活動に協力的で応援してくださっています。

 農家民宿は、来年の春のオープンを予定。乳幼児も泊まれて、家族みんなで農作業だけでなく、季節ごとさまざまな体験のできる民宿を目指して準備していく予定です。将来的には、宿としてだけでなく、地域コミュニティの拠点としても機能させたいと考えています。集落の皆さんの理解を得ながら、計画を実現すべく前に進んでいければと思っています。  

近藤さんが運営する「かが杜の学び舎ゆうなぎ」では、北陸の素晴らしい自然や土地に根ざす文化を、未来に継承していくことを目的とした、子供向けの自然体験活動を提供。

かが杜の学び舎ゆうなぎ>>>>

古民家ゆうなぎ(かが杜の学び舎ゆうなぎ)(@kominka.yunagi) • Instagram写真と動画

自然と共にある暮らし。子どもと「今日もいい一日だったね」と言い合って一日が終わる幸福

 長男とは昼咲いていた花がどうなったのか夜に観に行ったり、夜に瞬くホタルの光を観に行ったりしている日々です。一日の最後に息子が「今日もいい一日だったね」と言うんですよね(笑)。それに応えて、僕も「いい日だったね」と心から言える日々なんですよ。

 子どもたちには、生きる力を身につけるだけでなく、自然へのリスペクトを学びながら育ってほしいと願っているので、例えばホタルを観に行ったときも、ホタルの光が美しいということだけでなく、ホタルはこの季節しか生きられないことや、短い一生を懸命に生き、命を繋いでいるということを話して、時には力尽きたホタルの亡骸を見ることも体験させています。

 家の周囲ではイノシシの子ども、ウリ坊も現れます。色々な角度から‶命〟を捉えてほしいと願っているので、子どもには「かわいいね」という一方で、「おいしそうだね」とも言ったり、「畑を荒らされると大変」ということも伝えています。

こうした自然に触れながら一喜一憂して過ごせることに幸せを感じ、ここ「加賀東谷」に移住して良かったと心から思う日々です。

加賀市移住促進サイト/加賀市 (city.kaga.ishikawa.jp)

取材・構成/山津京子

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