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「良い姿勢」ってどんな姿勢? 椅子の選び方も重要なポイントに
「良い姿勢」には、身体的・精神的にもメリットばかり!
── 最近のお子さんたちには、教科書やノートのほか、タブレットやスマホ、ゲーム機のような、熱中しているうちに首が前傾気味になるツールを使用する機会が増えています。椅子に座っているときのこのような姿勢は、やはり子どもの健康に影響をもたらすのでしょうか。
村住さん: 頭の重さはスイカ一玉ぐらいです。そのため、姿勢が悪くなって頭が前に傾くと、首や肩に負担がかかって子どもの頃からの肩凝りの原因となるほか、大人になってからの体調にも影響をもたらす可能性があります。短期的・長期的、両方の問題として捉え、正しい姿勢を心がける必要があります。
── 反対に、姿勢が良くなると身体的・精神的どちらにおいても良い影響が及ぶものと考えてよいのでしょうか。
村住さん: 私は医者ではないので医学的に深く言及することはできませんが、実際のところその通りだと思います。
姿勢が良いと、酸素をきちんと吸うことができるんです。十分に取り入れた酸素が脳にきちんと届くと、集中力にもつながります。
また、悪い姿勢の場合は腕をしっかりと挙げることができませんが、良い姿勢だと挙がるように、体の動作にも影響があります。
精神面においても、きちんと深い呼吸ができると副交感神経が働きリラックス状態になるので、イライラしにくくなると言われているのです。
そもそも「良い姿勢」とは? リビング学習が意外な落とし穴に。
── 姿勢の中でも、今回は座っている場面を中心にお聞きしたいのですが、理想的な座り姿勢とはどのようなものでしょうか。
村住さん: リビングのテーブルなのか、学校の机なのかで異なることもありますが、共通して大切なことは骨盤を立てた状態で座ること。そして、足をしっかりついて座ることです。左右の坐骨と左右の足の4点をしっかり支点とすることが最も重要なことかと思います。
村住さん: 体を家にたとえるなら、背骨が柱、骨盤が土台です。骨盤が立つとしっかりと坐骨で体を支えることができ、背骨が正しいカーブを保ちやすくなります。逆に骨盤が傾けば背骨も曲がり、背中を伸ばしても姿勢は良くなりません。
── 学校の椅子や学習机で勉強する際の姿勢の場合はいかがでしょうか。
村住さん: ①ひじ/腰/ひざの角度が約90 度、②足裏がぴったりとついている、③机と体がこぶし一個分開いている。この状態になるように机と椅子を調整しましょう。特に、足がしっかりついているかを確認してください。どんなに骨盤を立てても足で支えなければぐらぐらしてしまいます。
── 子どもには高すぎて足がつかない椅子って、意外と多いですよね。
村住さん: 本当にそうですね。学校でぶらぶらしている子もいるぐらいです。足がぴったりつくように対処してあげる、というのも大人の仕事です。
── 具体的にはどのような対処をすればよいのでしょうか。
村住さん: 普段から高さを調整できる椅子を使って、成長に合わせて高さを変えるのが理想的です。テーブルの高さを変えるというのは難しいはずなので。
── そうですね。しかも、リビングには、大人に合わせたテーブルが用意されている場合が大半ですよね。
村住さん: そうなんです。さらに、今はそのようなテーブルで「リビング学習」をする子も多いです。この場合、足がつかないことが多いので、椅子で調整するか、足を置けるものを用意してあげる必要があるかと思います。
── 足を置けるものとは、段ボールのようなものでしょうか。それとも踏み台のようなものなのでしょうか。
村住さん: 安定性があるものがよいですね。足台というものも実際に売っています。足台が用意できなければDIYしてもよいかもしれませんが、やはり安定した専用の台を使うほうが理想的です。
椅子の選び方のポイントは? 幼児でのストッケ卒業はもったいない!
── 先ほどのお話にも上がったように、良い姿勢を保つためには椅子選びも大切な要素となるかと思いますが、どのようなポイントを重視すればよいのでしょうか。
村住さん: 先述したとおり、まずは高さが変えられるものであることが重要です。テーブルの高さに体を持ち上げたり、下げたりできると便利です。
さらに、足を置く場所がついていると、どのような高さでも足がぶらぶらしないので、良い姿勢が保ちやすくなります。
これらの2つのポイントが揃っているものとしては、ストッケという子ども用の椅子でよく知られるブランドのトリップトラップなどが挙げられます。幼児用の椅子のイメージがありますが、実際には大人でも座れる耐久性があるので、小学生になって卒業してしまうのはもったいないですね。
── そうなのですね。確かに、幼児で卒業するものというイメージがありました。
村住さん: 私の小学6年生の息子も「リビング学習」の際にはまだ使っています。
ただ、座面が木なので、坐骨を立てて座ってみると、お尻が痛くなることもあるかもしれません。クッションを置いてあげたくなりますが、
自分の力で「良い姿勢」を育んでほしい。骨盤を支える「こどもの骨盤クッション」に込められた思い
── 子ども用の椅子って、ふわふわしたクッションを置いてしまいがちですよね。座位姿勢を保つためのクッションとして、ノロッカさんの「こどもの骨盤クッション」がおすすめだと耳にしました。
村住さん: 骨盤を立てて正しく座ることは、
村住さん: 矯正具のように無理やり骨盤を立てて固定してしまうと、子どもの体に負担がかかったり、それに頼りきりになってしまって正しい姿勢を保つための体幹が育たなかったりする場合がありますが、「こどもの骨盤クッション」は自転車の補助輪のようなイメージで、自然に骨盤を支えてあげることで感覚をつかんでもらうというものです。
「こどもの骨盤クッション」を使っているうちに徐々に体幹が育まれて、最終的には自分の力だけで正しい姿勢を保てるようになる。そのような意図から開発したアイテムです。
── 座っているときにも、やはり体幹というのは大切になるんですね。
村住さん: 正しい姿勢を維持するためには、腹筋や背筋を含めた体全体のバランスを保つための筋肉が必要になります。ですが、正しい姿勢をしていないと、その筋肉を育む機会が失われてしまうでしょう。「こどもの骨盤クッション」を使うことで、正しい姿勢を保つための筋肉の使い方やバランス感覚などをまずは掴んでもらえるんじゃないかと思います。
── できるだけ常に使ってもらいたくなりますね。「こどもの骨盤クッション」は学校に持っていくこともできるのでしょうか。
村住さん: コンパクトでどこにでも持っていけますので、
── あらゆる椅子で使うことができて便利ですね。
村住さん: そういう使い方をぜひしてほしいなと思います。ですが、「こどもの骨盤クッション」は「
>>norokka「こどもの骨盤クッション」販売ページはこちら
「良い姿勢」とその「大切さ」を知ってほしい
村住さん: 一番重要なのは、やっぱり「知ること」だと思うんです。僕自身もそうだったんですが、「姿勢を良くしなさい」と注意されても、そもそも正しい姿勢を知らない。正しい姿勢を知らなければ、正しい姿勢ができるわけがない。そう思ったことが、「こどもの骨盤クッション」開発のきっかけになりました。この商品を通して、足をしっかり床につけ、骨盤を立てて坐骨で座る、という正しい姿勢を知ってもらえればうれしいです。
── 一度良い姿勢を覚えれば、姿勢が悪くなると違和感を覚えるようになるんでしょうね。
村住さん: それはそうですね。
同時に、正しい姿勢の大切さを子ども自身に知ってもらうことも重要だと思います。なぜ姿勢を良くしなきゃいけないのか。ただ言われたからやるというよりも、子ども自身に理解・納得してもらうことも大切にしていきたいです。
── 先ほどのメリット・デメリットのようなことでしょうか。
村住さん: それもそうなんですが、先を見据えて何かをやるということは、多くの子どもにとっては難しい場合があります。「勉強しないと将来こうなる」「姿勢が悪いと将来こうなる」……と言われても、危機感が持てない子は多いでしょう。
そのような場合は、実際に、まずは悪い姿勢のまま深呼吸をしてもらう。そのあとに、姿勢を正してから深呼吸をしてもらう。すると、姿勢が良いと空気を十分に吸えることが体感してもらえるはずです。子どもにも空気を取り入れることの大切さは分かるので、ぜひそのような体感をしてもらいたいです。
「愛情が原材料」ノロッカ代表が伝授する、子どもに「良い姿勢のメリット」を伝える4つの実験
子育てをしていく中での「こんなものがあったら良いのに」という思いを原動力に、さまざまな子育て道具を展開するnorokka(ノロッカ)代表取締役の村住さん。取材の中では「愛情が原材料」になっているとも語ってくださいましたが、「こどもの骨盤クッション」についてのお話からもそのような熱い思いがひしひしと伝わってきました。
最後に、村住さんがお子さんたちに「良い姿勢のメリット」を伝える際に実践している4つの実験を伝授。ぜひ、こちらも試してみてくださいね。お子さんに「良い姿勢のメリット」が伝わったら、時にはノロッカの「こどもの骨盤クッション」にも頼りつつ、姿勢改善を目指してみましょう。
▼実際に、良い姿勢・悪い姿勢で以下の実験をしてみよう。
①悪い姿勢・良い姿勢、両パターンで深呼吸をしてみよう。
良い姿勢のときは、しっかり空気が吸えるはず。
きちんと空気を取り組むことで、頭に栄養が届く!
②悪い姿勢・良い姿勢、両パターンで手を上げてみよう。
良い姿勢のときは、上まで手が上がる。
良い姿勢のほうが、体がしっかり動くから、運動がうまくできる!
③ 悪い姿勢・良い姿勢、両パターンで、座ったまま力比べをしてみよう。
良い姿勢だと、しっかり力が入る。
パパやママにも負けない!
④ 悪い姿勢・良い姿勢、両パターンで写真を撮ってもらおう。
どちらが格好いい?
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取材・文/羽吹理美