「シシリアンライス」——この名前を聞いて、どこの国の料理だろうと思う方も多いでしょう。じつは、これは佐賀県のご当地グルメです。温かいご飯の上に焼いた肉、新鮮な生野菜、そしてマヨネーズがかけられた料理で、栄養バランスも抜群です。その人気と栄養価の高さから、佐賀市の学校給食メニューにも採用されているほど。
では、このユニークな料理の発祥や作り方について詳しく見ていきましょう。
シシリアンライスとは
まずは、シシリアンライスの由来について解説します。
由来と歴史
シシリアンライスは、1975年頃に佐賀市の中心商店街にあった喫茶店で生まれたとされています。ただし、正確な発祥地については明確ではありません。
当初は従業員のまかない料理として、手元にあった材料で作られていました。その味が従業員に好評だったことから、さらに改良を重ね、正式なメニューとして提供されるようになったという説が有力です。
名前の意味
シシリアンライスの名前の由来には諸説あります。
隣県の長崎にある「トルコライス」への対抗として、同じく地中海の隣国、シリアから地名を冠したという説があります。
また、イタリアの地名に由来するという説もあります。この説によると、当時流行していた映画『ゴッドファーザー』のロケ地がイタリアのシチリア島だったことが名前の由来に関係しているのだとか。
さらに、シシリアンライスの色合い<トマトの赤、ゆで卵の白、レタスの緑>がイタリア国旗を連想させることも、この説を裏付ける理由の一つとして挙げられています。
シシリアンライスの楽しみ方
シシリアンライスは、提供するお店によって具材や味付けに工夫が凝らされています。その一部をご紹介しましょう。
・肉
シシリアンライスの定番は薄切りの牛肉ですが、豚肉や鶏肉を使う店もあります。いずれも玉ねぎと一緒に炒め、甘辛いタレで味付けするのが一般的です。
佐賀の名産である佐賀牛のステーキや三瀬鶏といった高級食材、さらにはイノシシ肉を使用する店もあり、地域の特色を生かした創意工夫が見られます。
・野菜
主に使われる野菜は、レタス、トマト、キュウリなどです。これらは生のまま盛り付けるので、ご家庭で作る際は袋入りのカット野菜を利用すれば簡単に調理できます。
ラディッシュ、人参、パプリカなどの赤色野菜に、コーンの黄色を加えると彩りがさらに華やかに。
葉物野菜をライスの下に敷くスタイルも多く見られます。
・トッピング
トッピングは店ごとに工夫が凝らされています。温泉卵をのせたり、細切りの海苔を振りかけたりするほか、スパイシーなカレー味で味付けする店もあります。
シシリアンライスの作り方
シシリアンライスの、基本的な作り方を詳しくみていきましょう。
基本のシシリアンライス
シシリアンライスの作り方は、1枚のお皿に温かいご飯を敷き、その上に野菜と炒めたお肉を盛り合わせます。味付けは焼き肉のタレを使えば簡単で、仕上げにマヨネーズをかければ完成です。
・材料
(2人分)
ご飯 2杯分
牛薄切り肉 200g
玉ねぎ1/2個
レタス、トマトなどの生野菜
焼き肉のタレ 大さじ2
マヨネーズ 適量
きざみ海苔などのトッピング
・作り方
【1】玉ねぎをくし切りに、その他の野菜は食べやすい大きさにカットします。
【2】温めたフライパンに油をひき、玉ねぎを透き通るまで炒めます。肉を加えて十分に炒めてください。
仕上げに焼き肉のタレで味付けをします。
【3】お皿(プレート)の上に温かいご飯をよそって、カットした野菜を盛り付けます。その上に炒めたお肉をのせます。
【4】マヨネーズを格子状にかけてください。
【5】仕上げにきざみ海苔をトッピングして出来上がりです。
さまざまなバリエーション
シシリアンライスの具材は、お好きな組み合わせでかまいません。牛肉を豚肉やツナ缶で代用したり、野菜を食べやすい野菜に変更したり。最後にマヨネーズをかければ全体の味がまとまります。
ひき肉で作るシシリアンライス
ひき肉で作る場合の工程をご覧ください。
・材料
(2人分)
ご飯 2杯分
牛ひき肉 150g
ブロッコリーの芽 1/4パック
ミニトマト 4個
パプリカ(オレンジ、黄色) 1/4個ずつ
ゆで卵 1個
焼き肉のタレ 適量
マヨネーズ 適量
・作り方
【1】ブロッコリーの芽を洗い、根を切り取ってください。ゆで卵を1/4に、トマトを半分に、パプリカを薄切りにカットしてください。
プレートにご飯を盛り付け、上にブロッコリーの芽、パプリカをのせます。
【2】牛ひき肉を炒めて、焼き肉のタレで味付けします。【1】の上にのせてください。
【3】トマト、ゆで卵をのせ、マヨネーズをかければ完成です。
豚肉で作るシシリアンライス
タレを手作りする場合は、こちらのレシピをご参考にしてください。豚肉を自家製甘辛ダレに漬けて調理します。
・材料
(2人分)
ご飯 2杯分
豚肉(こま切れ、または、バラ、ロースの薄切り) 150g
玉ねぎ 1/2個
お好きな生野菜 好きなだけ
【下味】
しょうゆ 大さじ1.5
みりん 大さじ1
はちみつ 大さじ1/2
すりおろし生姜 小さじ1
すりおろしにんにく 小さじ1/2
塩こしょう 適量
マヨネーズ 適量
・作り方
【1】ボウルに下味の材料を混ぜ合わせ、豚肉を漬け込みます。ラップをピッタリとかぶせ、冷蔵庫で30分ねかせてください。
【2】玉ねぎをあらみじん切りして、油をひいたフライパンに入れて炒めます。
【3】玉ねぎがしんなりしたら、【1】の肉を入れて炒めてください。火がとおったら塩こしょうで味を整えます。
【4】お皿にご飯を盛り、生野菜をのせます。
【5】お皿の中心に【3】の肉をのせ、マヨネーズを全体にかければ完成です。
佐賀県の味、シシリアンライス
シシリアンライスはお家で簡単に作れ、好みに合わせてアレンジしながら、野菜とお肉をおいしく楽しめます。そのユニークな名前からは佐賀県の豊かな食文化が感じられ、親しみやすさも魅力です。ぜひ、ご家庭の食卓にも取り入れてみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)