幼稚園の新しいお友だちを怖がる息子。通園は嫌がらないのですが…見守っているだけで大丈夫でしょうか?【愛子先生の子育てお悩み相談室】

子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴半世紀あまり。常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。

新しいお友だちが怖くて情緒不安定になっている6歳の息子。我慢するから大丈夫というのですが、このままでいいのでしょうか?

もうすぐ6歳の息子。性格はかなり恥ずかしがり屋です。自分の主張なども本当に仲の良いお友だちにしかできません。最近、幼稚園で新しいお友達ができたようですが、その子は自分の気に入らないことがあると、物をなげたり、大声を出して怒るそうです。それがとても怖いようで、その子が使っているおもちゃを借りたくても言えないとのこと。先生に伝えると「自分が見ている時は言えている。まったく言えないわけではないので、少しずつ自分の気持ちを言えるようになるまで待ちたいと思います」という返答でした。同じことが続き、何度か伝えたのですが「保育者が介入しすぎると自立心を損なってしまう」とも言われてしまいました。でも、息子は、その子と遊ぶようになってから、朝の失禁、週末の発熱、食欲不振など明らかに情緒不安定になっています。本人は通園を嫌がっておらず、「年少さんからずーっと我慢していたの。だからこれからも我慢するの」と言うのです。私は子どもの気持ちを思うと涙が止まりません。このまま見守る事を続けていていいのでしょうか?

子どもは誰しも前に進む力を持っています。お子さんの心に共感をしながら、できることを一緒に考えてみて

お子さんの気持ちを探りましょう。それだけ怖いのに、どうして幼稚園に行くのでしょう。どうしてその子と遊ぶのでしょう。怖いけど、どこか惹かれるところがあるのかもしれません。6歳ですから、自分の気持ちに向き合って、言葉にできると思います。

・その子がどうなると怖いの?

・その子に我慢して遊ぶのはどうして?

・その子の素敵なところはどこ?

こんなふうに聞いてみてください。我慢だけで日々を過ごしていて、体調に出ているのなら、「お母さんはあなたが大事だから、幼稚園をお休みしよう」と言って反応を見ましょう。

お子さんの気持ちに添いながら、整理していきましょう。すると本人も意識していなかった本心の種が見つかってきます。そして、あなたがこのハードルを抱いて越えさせていくと、本人の力にはなりません。そこは、わたしも幼稚園の先生と同じ考えです。

困ったときに、なにができるのかも話し合ってみましょう。

・先生に言う

・逃げる

・友達に助けてもらう

・相手に言う

・幼稚園をやめる

いろんな方法を一緒に考えて、どれが自分にできそうか、自分で決めてもらいましょう。この話は、感情を入れずに、本人が考えられるようにゆっくり進めてください。子どもは前に向かう力を持っています。その背景にお母さんの温かさを感じれば動き出せると思います。

添うとは、理解してあげることでも、問題を解決してあげることでもなく、無条件の共感だと思います。

記事監修

柴田愛子|保育者・自主幼稚園りんごの木代表

保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。

構成/Hugkum編集部 イラスト/海谷泰水

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