総合型選抜とは
「総合型選抜」とは、大学が求める学生像に合うかどうかを評価基準とする選抜方法のことです。かつてはAO入試と呼ばれていました。まずは総合型選抜で重視されるポイントを解説します。
総合型選抜は意欲のアピールが重要
総合型選抜は、大学が「入学してほしい」と考えている学生像に合致する人を探す目的で行われる選考です。あらかじめ設定している学生像に合うか判断するために、書類の提出・小論文・面接などが課されます。
合格するには意欲や熱意のアピールが欠かせません。入学後に何をどのように学びたいと考えているのか、なぜこの大学で学びたいと考えているのか、などを積極的に伝えましょう。また大学が求める人物像に合致していると示すことも重要です。
総合型選抜ではアドミッション・ポリシーをチェック
大学が求める学生像を定めたものを「アドミッション・ポリシー」といいます。受け入れる学生の基本方針や、その学生に求める力などを定めているものです。
例えば神奈川大学法学部では以下のようにアドミッション・ポリシーを定めています。
- ●法学部での学修に必要な基礎学力を十分に備えている人
- ●向学心が強く、自主的・創造的に学ぶ姿勢を有している人
- ●政治・経済・社会問題や国際問題と法との関わりに強い関心を持っている人
- ●課外活動やボランティア等を通じ社会への貢献を積極的に行っている人
- ●自らの将来像や進路について深く考え、勉学への明確な目的意識を持っている人
アドミッション・ポリシーは大学ごとに異なるため、合格するには受験する大学のアドミッション・ポリシーをチェックしましょう。内容をよく理解した上で、意欲や熱意をアピールする必要があります。
出典:教育研究上の目的、教育目標および3つのポリシー|法学部|神奈川大学
その他の選抜方法との違い
大学入試には、総合型選抜のほかに、「学校推薦型選抜」や「一般選抜」があります。それぞれの選抜方法が総合型選抜とどのように異なるのかを見ていきましょう。
学校推薦型選抜は高校の推薦が必要
学校推薦型選抜は、かつて推薦入試と呼ばれていた選抜方法です。書類の提出・小論文・面接で評価される点は総合型選抜と似ていますが、受験するために学校長の推薦が必要な点は異なります。
また高校の成績が重視されるのも特徴です。高校で一定の成績を取っている必要があるため、校内選考の難易度が高い場合もあります。
学校推薦型選抜では11~12月に選考が行われる大学が多いため、合否が分かるタイミングは総合型選抜よりは遅く、一般選抜より早いのが一般的です。
一般選抜は試験の得点で合否が決まる
一般選抜は以前は一般入試とも呼ばれ、入学資格を満たしていれば誰でも受験できる選抜方法として最も募集人数が多いのが特徴です。学力で評価されるため、試験に合格すれば誰でも入学できます。
総合型選抜のようにアドミッション・ポリシーを強く意識する必要がなく、学校推薦型選抜のように高校の成績に左右されません。
合否が分かるタイミングは総合型選抜や学校推薦型選抜より遅く、後期日程で受験した場合には3月末になることもあります。
総合型選抜の特徴
アドミッション・ポリシーにのっとって選抜が行われる総合型選抜には、どのような特徴があるのでしょうか? 代表的な特徴として、合否が分かるタイミングと選考方法について紹介します。
年内に合否が分かることが多い
総合型選抜は9月1日から出願開始し11月1日から合格発表を行うよう、文部科学省が定めています。
学校推薦型選抜が11月から出願開始し12月から合格発表、一般選抜が12月から翌1月にかけて出願開始することと比べると、選考も合否の発表も早いタイミングで行われるのが特徴です。いち早く合否が分かる選考方法といえます。
出典:3-4-1 「総合型選抜」(現行 AO入試)の出願時期や合格発表時期について教えてください。また、その時期に変更する観点も教えてください。|文部科学省
選考方法は大学ごとに異なる
同じ総合型選抜でも、大学によって選抜方法が異なる点も特徴です。総合型選抜はアドミッション・ポリシーに合致する学生を選ぶ目的で行われているため、各大学がアドミッション・ポリシーに従って選考を行います。
書類審査と面接のみの大学もあれば、書類審査と面接の他に学力試験が課されることもあるため、選考方法をよく確認しましょう。中には出願基準を設けている大学もあります。
総合型選抜の注意点
総合型選抜で大学受験をする場合、学校推薦型選抜や一般選抜とは異なる注意点があります。合格を目指すために必要となる注意点を押さえていきましょう。
早いタイミングで志望校を決める必要がある
9月から出願が始まる総合型選抜で大学入試に臨む場合、早いタイミングで志望校を決めて準備を始めなければいけません。6月からエントリーが始まる大学もあります。
「周りはまだ何もしていないから」と、同じように過ごしていると、いつの間にかエントリーや出願の期限を過ぎてしまうかもしれません。早く志望校を決めなければ、受験できなくなる可能性もあります。
専願のみの大学もある
総合型選抜は専願のみの大学もあります。募集要項に「専願」と記載されていたら、他の大学を総合型選抜で受けられません。
募集要項に「専願」といった記載がなければ併願も可能です。ただし基本的には、合格したら入学したい第一志望の大学のみを受けるとよいでしょう。
また総合型選抜で受験する大学が専願のみであるにもかかわらず、不合格になることもあるでしょう。この場合、他校の総合型選抜を受験することはできませんが、一般選抜の受験は問題なく受けられます。
事前準備に手間がかかる
入学資格を満たした上で学力試験に合格すれば入学できる一般選抜と比べて、総合型選抜では事前準備に手間がかかります。
まずはアドミッション・ポリシーを読み込んで内容を理解しなければいけません。その上で書類を作成し、小論文や面接の準備を行います。さらに学力試験が課される大学を受験する場合には、勉強もおろそかにできません。
学校推薦型選抜や一般選抜より早く試験が行われることもあり、早いタイミングでの準備が合格につながります。
学力も重視される
アドミッション・ポリシーに合致する学生であるか、小論文や面接などを通して多角的に評価する総合型選抜ですが、近年は学力を重視するケースが増えてきています。
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、十分な課外活動を実施できないまま受験に臨むケースが増加した背景から、学力を評価してマッチングをはかる大学が増えているようです。
合格を目指すには、学校推薦型選抜や一般選抜と同様に、勉強に取り組む必要があります。
受験の選択肢に総合型選抜を検討しよう
入試方式には「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」があります。この中で最も出願や合否の分かる時期が早いのが総合型選抜です。早いタイミングで試験が実施されるため、事前準備の期間を長く取るには、できるだけ早く志望校を決める必要があります。
他の入試方式と異なるのは、アドミッション・ポリシーに合致する学生を探す目的で行われている点です。熱意のアピールに加えて、いかにアドミッション・ポリシーに合致しているかも伝えなければいけません。
近年は小論文や面接に加えて、学力試験を重視する大学も出てきています。総合型選抜での合格を目指すなら、その他の事前準備と同時に勉強にも取り組みましょう。
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構成・文/HugKum編集部