肉なし、衣なしコロッケ「ゼリーフライ」とは。昔の呼び名は〇フライ? 家計にもやさしいご当地フードの魅力を解剖

肉も衣も入っていないコロッケ、ゼリーフライについて詳しくみていきます。この料理は埼玉県行田市で軽食として長年親しまれ、おやつやおかずとして高い人気を誇ります。ソースの味が染みたホクホクのゼリーフライを、お家で作る方法をご覧ください。

「ゼリーフライ」という名前を聞くと、多くの人がゼリーを油で揚げたものを想像するかもしれません。しかし、この料理にゼラチンや寒天、フルーツシロップは一切使用されていません。甘みのあるおやつではなく、じゃがいもとおからで作られた素朴なコロッケのような料理なのです。

では、どうしてこの名で呼ばれるようになったのでしょうか? その謎に迫りながら、行田市の誇る郷土料理の魅力をお伝えします。

ゼリーフライとは

ゼリーフライとは、どんな料理なのでしょうか?

ゼリーフライの特徴

ゼリーフライの主な材料は、茹でたじゃがいも、おから、刻んだネギ、人参です。豆腐を加えることもあります。これらを混ぜて小判型に成形し、油で揚げます。

「ひき肉を入れない、おからコロッケ」と言えば分かりやすいでしょう。衣をつけずに素揚げするため、外側がサクッとしつつも軽い仕上がりになります。

おからに含まれる豊富な食物繊維は腸内環境を整えるとされ、たんぱく質、カルシウム、鉄分なども含まれることから栄養価の高い食材として知られています。

そして、じゃがいもや玉ねぎなど、身近な材料だけで作れる手軽さもあり、昔から多くの家庭で親しまれてきました。現在でも世代を超えて愛される行田市のご当地グルメです。

熱々の揚げたてゼリーフライを甘辛いソースに浸すと、表面にソースが均一に染み込み、深みのあるおいしさが生まれます。

なぜ「ゼリー」と呼ばれるのか

「ゼリー」という名の起源については、諸説あります。

最も有力とされるのは、「銭冨来(ぜにフライ)」が訛ったという説です。江戸時代の銭貨である小判形をしていたことから「銭フライ」と呼ばれ、それが訛って「ゼリーフライ」になったといわれる説です。

また、揚げた後の中身が「ゼリーのように柔らかい食感だから」という説もあります。

ゼリーフライの発祥

ゼリーフライの歴史は明治時代にまで遡ります。日露戦争に従軍した兵士が中国東北地方の野菜饅頭からヒントを得て、考案したのが始まりだそうです。

当時から行田市周辺では豆腐作りが盛んで、その副産物のおからを利用した手軽な料理として庶民の間に広まりました。戦後の食糧難の時代にも、安価な材料で作れることから多くの家庭で作られ親しまれ続けました。

昭和初期には、足袋を作る工場で働く女工さんたちの間で大人気のおやつとなりました。

手軽に作れて、持ち運びもしやすいゼリーフライは、現在では行田市のご当地グルメとして全国にその名を広めています。

ゼリーフライのレシピと作り方

行田市では、現在でも多くの家庭でゼリーフライを作ります。基本はじゃがいもとおからを使ったシンプルなレシピですが、各家庭で多様なアレンジを加えることもできます。まずは基本的な作り方を見ていきましょう。

ゼリーフライのレシピ

簡単に作れるレシピをご覧ください。おから以外は、普段の料理でよく使う身近な材料ばかりで作れます。

・材料

(約10個分)
じゃがいも(中) 3個(100g程度)
おから 150g
玉ねぎ 1/2個
人参 1/3本
薄力粉 30g
溶き卵 1個
塩、こしょう 少々

【ソース】
中濃ソース 大さじ3
ウスターソース 大さじ2

揚げ油 適量

・作り方

【1】みじん切りした玉ねぎと人参を、フライパンで炒めます。しんなりしたら取り出し、粗熱をとります。

【2】じゃがいもは芽を取り除き、皮をむいて一口大に切ります。耐熱ボウルに入れ、ラップをして電子レンジ(600w)で7分加熱します。

【2】じゃがいもを熱いうちにつぶし、【1】の野菜、おから、薄力粉、溶き卵を加え、塩、こしょうで味を調えます。

小判型に成形してください。

【3】フライパンに油を3㎝程入れて熱し、中温(170℃程度)で揚げます。全体がキツネ色になったら引き上げ、油を切ります。

【4】ソースの材料を混ぜ合わせ、揚げたてのうちにくぐらせて仕上げます。

・作り方のコツ

ゼリーフライが油っぽくなったり味がぼやけたりするのは、おからの多すぎが原因かもしれません。ただし、水分が多すぎると形が崩れやすくなりますから、まとめやすい適度な硬さに調整しましょう。

揚げる際の温度管理をしっかり行うことが大切で、中温でじっくり揚げるのがポイントです。そしてなにより、揚げたてを熱いうちに食べるのが一番おいしい食べ方です。

ゼリーフライは優しい甘さと、ソースの香ばしさが魅力ですが、具材にチーズやハム、ひき肉を加えるアレンジも人気です。ソースにはカレー粉を加えてスパイシーな風味を楽しんだり、マヨネーズを添えてコクを足したりすると、また違った風味を楽しめます。お好みの味にアレンジしてみてください。

ご当地グルメとしてのゼリーフライ

行田市では、古くから庶民の味として親しまれてきました。現在では、地域の名物として観光客にも人気があり、提供するお店も多く存在します。

行田の有名店「駒形屋」

行田市でゼリーフライを提供している店のひとつに「駒形屋」があります。創業から長年にわたり地元民や観光客に愛されており、「ゼリーフライを食べるならここ!」といわれるほどの人気店。サクッとした食感と甘辛いソースの相性が抜群です。

そのほか「行田ゼリーフライ本舗  たかお」なども有名店として知られています。

最近では東京都内でもゼリーフライを提供する飲食店が増えており、埼玉アンテナショップや一部の居酒屋でも味わえます。

給食向けレシピの特徴

行田市周辺の学校給食でも、ゼリーフライはよく登場します。栄養価が高く、子どもたちにも親しみやすい味わいが人気の理由です。

給食用にアレンジされたゼリーフライは、油の使用量を控えめにするため、揚げ焼きやオーブン調理を採用することもありますよ。また、彩りの良い野菜を添えて栄養バランスを整えています。

子どもに人気の味、ゼリーフライ

ゼリーフライは、シンプルながら奥深いご当地グルメです。茹でたじゃがいもとおからに野菜を加え、成形して揚げるだけの簡単料理。学校給食でも人気の親しみやすい味わいですから、ぜひご家庭でも作ってみてください。行田市を訪れる機会があれば、ぜひ本場の味も楽しんでみてくださいね。

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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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