ホンダコライドンプロジェクトとは?

右/「ホンダコライドン」開発責任者 荻原和也さん
ホンダコライドンプロジェクト発足のきっかけは2024年にトヨタ技術会が“大人の本気が子どもの夢になる”というメッセージとともに制作した「トヨタミライドン」に感化されたことです。社内では私以外にも感化されたメンバーがたくさんいて、次はホンダがコライドンを手掛けたいという想いが沸き上がりました。そして、株式会社ポケモンに提案させていただいたのがプロジェクトのスタートです。プロジェクトメンバーは、二輪・パワープロダクツ事業および先進技術研究所より社内公募で約40名の有志が集まりました。
(「ホンダコライドンプロジェクト 」推進責任者 坂本さん)
コライドンとは
2022年に発売された『ポケットモンスター スカーレット』に登場する伝説のポケモン。主人公と一緒に旅をして成長していく相棒でもあるコライドンは、場面に応じて姿を変えることができます。4足歩行で歩く(せいげんけいたい)ほか、逞しい四肢を使って走り抜ける(しっそうけいたい)や高速での遊泳(ゆうえいけいたい)、風に乗って空を舞う(かっくうけいたい)など物語が進むにつれ能力を取り戻し、主人公を乗せてさまざまな場所へ行くことができます。
ホンダの本気が子どもの夢になる
3月7日にHondaウエルカムプラザ青山でお披露目された実物大の「ホンダコライドン」。いまにも走り出しそうな迫力があって、かっこいい!プロジェクトメンバーは、まずはじめにゲーム中のコライドンがどのような動きをするのか研究するために「ポケットモンスター スカーレット」のゲームをやりこんだのだそう。開発責任者の荻原さんは、「お父さんは、時間制限なしで毎日ゲームばかりしてずるい!」とお子さんに責められたという苦いエピソードも。
ホンダだからこそ作れるコライドン
企画書が通ったときに「やるからにはホンダらしいコライドンを作りましょう」という宿題をもらったという坂本さんは、自身が所属する二輪部門だけのちからでは難しいと考え、他部門を巻き込んでいきます。いかに子どもたちをワクワクさせられるのか、ものづくりの楽しさを伝えられるのか…部門、年齢を超えた“ワイガヤ会議”で議論を重ねてホンダだからこそ作れるコライドンを検討していきました。
「ホンダコライドン」は、「Honda Riding Assist」のバランスアシスト制御を取り入れ自立できるようになっています。またコライドンの足の動きはASIMO技術を採用するなど、まさにホンダだからこそできる!ゲームの世界のコライドンの動きが実現されています。
制作にあたり苦労した点のひとつがテクスチャー。「どうしても表情や質感に機械感が出てしまうので、恐竜の剥製などと見比べながら研究を重ね、口先や足元に1本1本線を引きながらバランスを整え作り上げました」と荻原さん。また、ゲーム中のコライドンが動いた時の翼のやわらかな、活き活きとしたなびきを表現するために軟質素材を使用するというこだわりも教えてくれました。
コライドンに乗って走れる日がくる!?
今回のお披露目では動いているところは見れませんでしたが、2025年の夏頃には電動モーターを使って時速10~15キロで走行する「ホンダコライドン」に乗車することができるように開発を進めているとのこと。現時点での完成度の高さに驚きますが、コライドンに実際に乗れる日がくるなんて、子どもだけではなく大人でもワクワクします♪
開発に関する熱い想いを聞いて、「ホンダコライドン」の完成がさらに楽しみになりました。本気でものづくりをするみなさんの姿は、かっこよくて「こんな大人になりたい!こんな仕事をしたい!」と子どもたちの将来の夢にもつながりそうです。
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取材・文/やまさきけいこ