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「子どもを叱るのはNG」と聞くけど、正しい叱り方は?

子どもが3歳になり、日々接する中で叱りたいことがよくあります。「叱るのはNG」とか「気持ちを受け止めて見守る」などと言いますが、叱ることはよくないことですか?また、どう叱ればいいですか?
叱ってもいい。ひと呼吸おいてから落ち着いて話そう
叱るのは短く、長引かせない
物を投げる、走ってはいけない場所で走る、公共の場所で大きな声を出すなど、ここは注意をしなくては!というシーンはありますよね。そういうときに「それはやめよう」と伝えることは決して悪いことではありません。
しかし、大切なのは短く叱るということ。子どもはすぐに反省した態度を見せるわけではないので、理解していないのでは?と思って、つい話が長くなることがあります。しかし、あまり長くなると、子どもは話の中身よりも「叱られている」という状況をイヤだと感じ、さらに話を聞かなくなります。
- 「物を投げたら人に当たるかもしれない。危ないから投げないよ」
「ここは車が通る場所。走ったら危ないからママと手をつないで歩こう」
「大きな声を出すと、ここにいる人たちがびっくりしてしまうから、もう少し小さい声で話そう」
このように言いたいことを端的に伝えて、長引かせないようにしましょう。
子どもの気持ちを聞き、親の気持ちを話す
叱られてすぐはシュンとしたり、ムスッとしたりしますが、時間がたつと少し落ち着いてきます。寝る前などのリラックスしているときに「さっきママが伝えたこと、わかってくれたかな?」と、聞いてみましょう。
「ママに●●を教えたかったから大きな声を出したんだ」などと、自分の気持ちや事情を話してくれることもあります。子どもが話を聞く準備が整うには時間がかかります。道路に飛び出すなど、緊急を要するときはその場ですぐに危険なことだと伝えるべきですが、少し時間を置くと落ち着いて話を聞くことができます。
抑えきれずに感情的になってしまったら……
感情的に怒鳴ってしまいそう、手をあげてしまいそうと感じたら、その場を一度離れるのもひとつの手です。ただし、離れるときには、自宅にいる、あるいはもう一人その場に大人がいるなど、子どもの安全を確保できる状況であるということが前提です。
ひと呼吸置くことで、落ち着いて話をすることができます。また、つい強く叱ってしまった、手を強くつかんでしまったなど、叱る中で反省することがあれば、「さっきは強く言い過ぎてごめんね。びっくりしたでしょう。危なかったから強い言い方をしてしまったのよ」と、素直に子どもに話すようにしましょう。
子育てを楽しむ余裕を持ちたいけど、ストレスが溜まるばかり

子どもの自我が強くて日々の子育てにストレスを感じています。子育てを楽しんでいる友達のキラキラしたSNSを見ていると、取り残された気持ちになることも……。
自分で自分の機嫌を取ってストレス発散を!
子育てにストレスはつきものです。子どもの自我が強いことをストレスに感じているとのことですが、逆に子どもが自己主張しないことをストレスに感じる方もいます。「こうなったらストレスがなくなる」ということはないのかもしれませんね。
ですから、自分のストレスをいかに発散するかを考えましょう。子どもを預けて一人の時間を過ごしたり、子育ての悩みを誰かに聞いてもらったり。自分にとってどんなことがストレス発散になるかは人それぞれで、子育て中はできることも限られている人も多いと思います。その中でも「この時間があるから頑張れる」「リフレッシュできたから子どもをかわいいと思える」と感じられる気分転換法を見つけてみましょう。
私の場合は仕事をすることがいちばんの気分転換でした。3人の子どもを育てながら親の介護をするなど、大変な時期もありましたが、同じ団地に住んでいる子育て仲間と集まったり、子どもを預かり合ったりすることもストレス発散になっていました。
ママやパパがニコニコしていることは、子どもにとっても幸せなことなので、自分の機嫌を自分で取って、少しでもストレスを発散できるといいですね。
多忙でイライラ、子どもをかわいいと思えない

実家も遠く、夫の仕事も忙しいため、1歳と3歳の子どもをほぼワンオペで育てています。一日中子どもにイライラしていていっぱいいっぱい……。子どもをかわいいと思えない私はおかしいですか?
親はみんな後悔やイライラを経験するもの。自分のしていることをもっと認めてOK!
まわりに頼る人がいない状況で子育てをするのはとても大変です。よくやっている自分を、どうぞ褒めてください。あなたは全然おかしくありませんよ。
もしかすると、あなたの中に「いい親になりたい」「こういう子育てをしたい」という理想像があるのではないでしょうか。理想と現実のギャップに苦しみ、驚き、子どもに対してひどいことをしているという思いで、子ども以上にママ自身が傷ついているのかもしれません。
しかし、子育てはそんなもので、みんな迷ったり後悔したりイライラしたりしているのです。一日の中で落ち込むこともあるけれど、一瞬でも子どものことをかわいいと思えた、ごはん作りを頑張れたなど、できたことはきちんと自分自身で認めてみましょう。近所に子育て広場などがあれば、同じ境遇の人に出会えて、共感し合えるかもしれませんよ。
また、子連れでも積極的に出かけてみるなど、今までしなかった行動をしてみることで、気分が変わるきっかけになることもあります。高い目標を持たなくても大丈夫!小さな子どもを日々安全に育てているだけで十分なんです。自分に厳しくなり過ぎないでくださいね。
父親との関わりが少ないと子どもの成長に影響がある?

仕事が忙しく、休みの日も寝ていることが多くて、あまり積極的に育児に参加しないパパ。子どもは0歳と3歳ですが、子どもの成長や発達にどのように影響するか気になります。
成長や発達に悪い影響はなし。育児に参加してほしいならパパと子どもだけの時間を作って
普段からママが育児をしていると、任せきりになってしまうパパはいるかもしれませんね。
そういうときは、少しの時間だけでもパパに子どもを任せてママだけでお出かけするのをおすすめします。パパが子どもと遊んでいる様子をそばで見ていると「そうじゃない」「こうするの」などと口を出したくなったり、パパもママに頼ったりしてしまいがち。はじめは1時間だけ預けて買い物に行き、慣れたら2〜3時間友達とランチをするなど、時間を延ばしていくのもいいですね。
多少強制的にでも子どものそばにいることで、パパ自身が気づくこともあるでしょう。お子さんにとっても、あまり接することのできなかったパパと関わることで、うれしさや親しみを感じることができます。
パパがいない中で育児をしていることで、お子さんの成長や発達に悪い影響がある、ということはありませんが、たまに早く帰ってきたときは一緒にごはんを食べたり、休みの日に少し公園に行ったりしてみるといいですね。
育児をしていて不安や悩みがない人はいません
日々の育児で感じる不安や悩みに押しつぶされて、「こんな風に思っているのは私だけかも」なんて思うこともありますよね。
まずは、「育児に不安や悩みはつきもの」と理解することで、孤独感を感じることが少なくなります。そして、自分なりのストレス発散法を見つけて、気分転換をしながら肩の力を抜いて育児ができるといいですね。
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記事監修

文京区立お茶の水女子大学こども園園長として園運営に携わり、「つながる保育」を主軸に置いた教育・保育活動を展開。保育の現場や保育者の養成に30年以上にわたり従事。Eテレ「すくすく子育て」などのテレビ番組に出演、「耳をすまして目をこらす」(赤ちゃんとママ社)単著、「はじめてママ&パパの1・2・3才 イヤイヤ期の育児」(主婦の友社)監修など、著書も多数。
取材・文/本間綾