私たちの暮らしに便利なAIが、紛争にも利用され始めている
みなさんはAIという言葉を聞いたことがありますか?
AIは人工知能のことで、コンピュータが人間のように考えたり、学んだりできる技術です。2025年4月時点で、AIはどんどん進化していて、スマホやゲーム、車の中にも使われています。また、お医者さんが病気を調べるのを手伝ったり、工場でロボットが物を運んだりするのにも役立っています。

しかし、AIが進化し続けることで、世界の紛争にも影響が出てくることが心配されています。現在、軍隊の中でも使われており、ドローン(小さな飛行機)や武器を賢く動かすのにAIが活躍しているのです。世界では、アメリカや中国、ロシアのような大きな国が、AIを紛争に使う研究を進めています。
では、AIが紛争にどう影響するのでしょうか。
影響1.戦争の展開が速くなる
4つのポイントで説明してみたいと思います。1つ目は、戦争の展開が速くなることです。
AIを使うと、ドローンやミサイル自体が、自分で目標を見つけて攻撃できるようになります。これまでは人間が全部決めていましたが、AIが「ここを攻撃しよう」と素早く判断するため、戦争があっという間に始まったり終わったりするかもしれません。その結果、早すぎて人間によるコントロールが難しくなる心配もあります。
影響2.新しい武器ができる
2つ目は、新しい武器ができることです。AIは、サイバー攻撃(コンピュータを使った攻撃)にも使えます。例えば、敵の国の電気や水道を止めるハッキングを、AIが賢くやってしまうのです。
2023年には、AIが偽の情報を作って人をだます事件も増えました。こういう新しい武器が紛争を複雑にするのです。
影響3.裕福な国だけが強くなる

3つ目は、お金がある国が強くなることです。AIを作るには、多くのお金と優秀な人間が必要です。ですから、アメリカや中国のようにお金も優秀な人材もいる大きな国は、AIで強い武器を作ることができます。
一方、お金のない国はAIを使えずに、弱くなります。すると、国同士の力の差が大きくなるだけでなく、大国の間でAIをめぐる競争がいっそう激しくなるでしょう。
影響4.ルール作りをしないと危険
4つ目は、ルールがないと危ないということです。AIが戦争で使われるようになってきていますが、まだ世界で「AIをこのように使ってはダメ」という決まりが少ないのです。
2023年に先進国が「AIを安全に使おう」と話し合いましたが、世界中の人が守るルールはまだできていません。ルールがないと、AIが間違って人を傷つけたり、戦争が大きくなったりする危険があります。
ただ、AIにはいい影響もあります。例えば、AIが「ここで戦争が起きそう」と予測して教えてくれたら、平和を守る手助けになるかもしれません。また、AIが国同士の話し合いを助けて、仲裁するアイデアを出すこともできます。AIの使い方次第で、これからの世界の安全は大きく変わることでしょう。
まとめ
このように、AIは戦争の展開を速くしたり、新しい武器を作ったり、国の力の差を広げたりしますが、平和にも役立つ可能性があります。みなさんも、AIをどのように使えば世界が平和になるか、考えてみてください。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。