
目次
幼稚園と保育園、保育の質に差はあるの?
「幼稚園と保育園、預かり時間以外にどんなところが違うのかわかりません」
「仕事をしているなら、保育園一択? 選択肢を広げたいと思っています」
幼稚園、保育園、こども園の中から選択できる。見学して納得のいく園選びを

幼稚園は満3歳からの短時間保育、保育園は就労をしていることが条件となる長時間保育です。
近年、共働き家庭の増加に伴い、保育園の入園希望者が増える一方で、幼稚園の入園希望者が減っていました。そこで、幼稚園と保育園の機能を併せ持った認定こども園を作り、待機児童問題を解消しようとしています。こども園は、新規以外にも、既存の幼稚園がこども園に形態を変えるというケースも多く見られます。
3つの園の教育内容は、保育所保育指針の法令で均一にされており、基本的な姿勢は同様と考えられています。
しかし、園によってそれぞれ個性があるので、ぜひ、いろんな園を見学してみるのがおすすめです。いまは預かり保育が充実している幼稚園もあり、共働き家庭でも選択肢が増えています。
また、保育園は希望する園に入れない場合もありますが、どの園になってもよいと思えるよう、複数の保育園を見学しておくといいですね。
いろいろな園を見た上で、ご家庭ごとにどんなことを大事にしていきたいかを話し合い、納得のいく園選びをするようにしましょう。
質の良い幼児教育を受けさせたい。どう見極める?
「できるだけ質の高い幼児教育を受けさせたいと思うのですが、園を選ぶときにどんな点を優先した方がいいですか」
「園の見学に行った時、ここは見ておくべき! と思うところは?」
サービスだけでなく、園の中の笑顔に注目! 主体的な遊びを作り出せる体験ができる環境を

最近では、体操教室や英語などの習い事が付帯していたり、送り迎えのサービスが充実していたりと、プラスの部分が売りになっていることもあります。
しかし、子どもたちや先生の笑顔にも注目してみてください。利便性を高めようとサービスを充実させることと園の質の高さは、比例しない場合もあります。
未就学児の子どもに大切なのは、主体的な遊びを作り出すこと。いわゆる「お勉強をする」ということより、「うれしい」「楽しい」「どうなってるんだろう?」「なんでだろう?」と、さまざまな体験を通じて感じることのほうが、この時期の子どもたちには大切だと私は思います。どれだけの主体的な体験をしてきたかが、児童期に求められることでもあります。
また、園選びだけではなく、ご家庭でも「この花はなんていう名前だろう?」「なんで月の形が変わるのかな?」「恐竜ってどのくらいの大きさだったんだろう?」このような子どもの疑問や関心に対して、図鑑で一緒に調べたり、博物館に行ったり、自然と触れ合ったりすることはとても大切なことです。きれい、不思議、おもしろいなど、心揺さぶられる体験をたくさんし、家族でたくさん会話をするのがおすすめです。
スイミング、リトミック、英語……何をやらせるのが正解?
「幼児向けの習い事がたくさんあって、何をやらせるのがいいのかわかりません」
「いま、4歳ですがまわりはスイミングや体操などを始めています。習い事って何歳から始めるべき?」
「わが子が興味のあることはなんだろう?」とまずは観察してみる

子どもによって、体を動かすことが好きな子、お絵描きをするのが好きな子、さまざまですよね。そして、「苦手だからこそ習い事をさせたほうがいいのかな?」と、思うかもしれません。まずは、一回やってみないと子どもはわからないので、体験することはおすすめです。しかし、なんでも「やりたい」という子もいれば、「やりたくない」という子もいます。
習い事というのはインプットの体験です。家に帰ってきてから「今日はこういうことをやったよ」とアウトプットすることで、学んできたことが生き生きとするのです。習い事をたくさんしてしまうと、消化しきれなくなることもあります。中にはたくさん吸収してもうまく消化できる器用な子もいますし、ひとつの習い事でも消化しきれない子もいます。ですから、習い事の適した内容や量は、その子によって違ってきます。
「この子はどんなことに興味があるかな?」と、子どもを観察することで、いま必要な習い事が見えてくるかもしれません。
もちろん、習い事をしなくても、先ほど話したようなさまざまな体験を一緒にすることも大切なことです。
幼児から習い事をするなら、どんな習い事をすればいい?
「いま3歳です。幼児のうちからやっておいたほうがいい習い事は?」
子どもの興味関心が、習い事に通わないと満たせないかどうか、見極めましょう

一概に「これがおすすめ」とは言えません。ひとつ前の話にもありますが、その子がどんなことに興味があるのか、その興味関心は習い事でないと満たせないことなのか、そこの見極めも大切ですね。
まわりが習い事をし始めると、「うちの子もやらせたほうがいいのかな?」という気持ちになるのはよくわかります。私も子どもが小さかった頃、まわりの子どもが通信教育(毎月、おまけ付きのドリルのようなものが送られてくるもの)をしていましたが、適当にやっているな~と感じていたものです(笑)。しかし、長男のとある友達はうちに来るたびに、そのドリルをおもしろがってやっているのを見て「こういう子もいるんだな~」と思いました。通信教育は適当にやっていた長男ですが、「墨のにおいが好き」と言って、地域センターで書道をしていました。他にも、長男はサッカー、次男は野球、長女は特に何もしていませんでしたが、それぞれが好きなことを見つけてきて、やりたければやる、という感じでしたね。
どんな習い事をさせるにせよ、大切なわが子を預ける場所ですから、きちんと見学へ行き「大事にしてくれているか」「丁寧に教えてくれるか」をよく見て決めましょう。
四季をめぐる保育レポートが一冊にまとめられた宮里先生の新刊が発売中!

『お茶の水女子大学こども園の春・夏・秋・冬 子どもも大人もワクワクする保育の提案』
2200円|小学館
お茶の水女子大学こども園の現場の保育者が自分で撮った写真(計約400点)とエピソードで日々の保育をレポートしています。0歳児から5歳児クラスの子どもの思い・成長、保育者の子どもへの思い、かかわりなどが伝わってくる1冊。
四季ごとの自然との触れ合い、日常の遊び、保育環境の設定、行事の進め方などまねしたくなる実践例が盛りだくさんです。
宮里先生の短期連載をもっと読む
記事監修
お話を聞いたのは

文京区立お茶の水女子大学こども園園長として園運営に携わり、「つながる保育」を主軸に置いた教育・保育活動を展開。保育の現場や保育者の養成に30年以上にわたり従事。Eテレ「すくすく子育て」などのテレビ番組に出演、「耳をすまして目をこらす」(赤ちゃんとママ社)単著、「はじめてママ&パパの1・2・3才 イヤイヤ期の育児」(主婦の友社)監修など、著書も多数。
取材・文/本間綾