「藪蛇」ってどんなヘビ? 読み方や意味、使い方・類語・対義語・英語表現までを解説

『藪蛇』とはどんな意味の言葉か知っていますか? この記事では『藪蛇』の読み方や意味から、語源、類語、対義語、英語表現までをご紹介します。

「藪蛇」とは?

読み方と意味

まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『藪蛇』と書いて「やぶへび」と読みます。

よけいなことをして、かえって自分にとって悪い結果を招くこと、しなくてもよいことをして危難に遭うことを意味する言葉です。

「藪蛇」の由来・語源

もともとは「藪をつついて蛇を出す」ということわざでしたが、今では『藪蛇』と略して使われることが多くなりました。

本州には8種類のヘビが生息している

ヘビと聞くと、派手な色の大きな毒蛇を想像してしまいますが、日本の本州に生息しているヘビは毒のあるマムシなど8種類※1。いずれも黒や茶色など、気づきにくい色をしています。

奄美地方や沖縄にはハブなどさらにたくさんのヘビが生息しています※2。ヘビの皮を使った楽器、三線(さんしん)も有名ですね。

ヘビの皮を使った沖縄の楽器、三線(さんしん)

リゾート地でヘビに嚙まれる事故も毎年のように起こっているので、旅先では特に気を付けましょう。

※1広島大学デジタルミュージアム
※2沖縄県オフィシャルサイト

使い方を例文でチェック!

では、『藪蛇』の使い方を例文でチェックしていきましょう。

1:会議中に時短について質問したら改善提案を求められて、とんだ藪蛇になった。

提案したばかりに仕事が増えてしまった結果は『藪蛇』と言えそうです。

2:ママ友が子どもの頃好きだったアニメの話題で盛り上がっていたので、好きなキャラクターを言ったら年齢がバレてしまった。まさに藪蛇だ。

黙っていればわからない年齢が、子どもの頃の話題でバレてしまったのは『藪蛇』でしたね。

3:久々に会った友人に恋人のことを聞いたら、ちょうど喧嘩中で延々愚痴を聞くハメになった、藪蛇だ。

気を遣って話題を振ったために愚痴を聞かされたことは『藪蛇』と言えそうです。

類語や言い換え表現は?

では、『藪蛇』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『藪蛇』に似た表現を探してみました。

1:雉も鳴かずば打たれまい(きじもなかずばうたれまい)

『藪蛇』と同じく、自ら目立つ行動を取らなければ、他人から攻撃されることもないという意味を持つことわざです。

2:寝た子を起こす

静かに収まっている物事によけいな手出しをして、問題を起こしてしまうたとえの「寝た子を起こす」。『藪蛇』と同じく、よけいなことをして物事を大きくしてしまう様子を表しています。

3:打草驚蛇(だそうきょうだ)

『藪蛇』と同じく、「蛇」と言う言葉を使った「草を叩いて蛇を驚かせる」という意味の故事成語です。無用のことをしてかえって相手に警戒心を起こさせてしまうという意味で『藪蛇』と同じ状態と言えます。

4:墓穴を掘る(ぼけつをほる)

身を滅ぼす原因を自分から作ることをたとえた「墓穴を掘る」。『藪蛇』と同じく、自分が行動をすることで不利な状況を引き寄せてしまうという意味の言葉です。

対義語は?

ことわざなので対義語は存在しませんが、『藪蛇』の反対の意味に当たりそうな言葉をさがしてみました。

1:触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし)

めんどうなことをしなければ災いは起こらない、という意味の「触らぬ神に祟りなし」。そこにこめられた教訓は同じですが、災いをみずから引き起こしてしまう『藪蛇』とは、表面的には逆の意味の言葉といえそうです。

2:君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず)

賢い人はいつも慎重に行動し、危険はおかさないという意味の「君子危うきに近寄らず」。こちらも『藪蛇』とは逆に、危険なことには近づかない様子を表す言葉です。

3:七日通る漆も手に取らねばかぶれぬ(なのかとおるうるしもてにとらねばかぶれぬ)

毎日漆の木の横を通っても、触らなければかぶれることもない、という意味のことわざです。『藪蛇』とは逆に、物事に関わらなければ被害を受けることもない、という意味の言葉です。

英語表現は?

では、『藪蛇』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『藪蛇』の英語表現と言えそうな言葉をご紹介します。

1:Opening a can of worms.

“虫の缶を開ける“という意味で、『藪蛇』と同じくよけいなことをしてトラブルに遭う、という意味があります。

2:Stirring up a hornet’s nest.

“スズメバチの巣をかき回す“という表現で、こちらも『藪蛇』に似た意味の英語表現です。

3:Let sleeping dogs lie.

“眠っている犬はそのままにしておけ”という意味の言葉です。『藪蛇』を防ぐ心境を表しています。

4:Put my foot in my mouth.

直訳すると“自分の足を口に入れる”という言葉で、「口を滑らす、失言する」という意味があります。こちらも『藪蛇』に似た状態の表現です。

「藪蛇」の意味と由来を知って、正しく使いましょう

最近都会では見かけなくなった藪にいるヘビ。藪を見かけても『藪蛇』という言葉を思い出して、ヘビを驚かせないよう気をつけてください。

あなたにはこちらもおすすめ

「君子、危うきに近寄らず」ってほめてる? けなしてる? 使い方・類語・対義語・英語表現までを解説
「君子、危うきに近寄らず」とは? 読み方と意味 まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『君子、危うきに近寄らず』と書...

構成・文/kidamaiko

編集部おすすめ

関連記事