積み木アート作家・miharuさん「双子の娘の0歳~12歳までの成長は、彼女たちが創ってきた作品が教えてくれます」

Instagramなどで数々の素晴らしい積み木作品を発表されている積み木アート作家の髙木美晴(miharu)さん。前半では積み木の魅力について語っていただきました。後半では現在中学1年生の双子の娘さんが赤ちゃんの時代から今まで創ってこられた作品たちの解説と、積み木を中心に広がったごっこ遊びの素晴らしさについて、たっぷりの作品集とともにお話を伺いました。

積み木でわかる子どもたちの成長

積み木は、実はすぐに積めるようになるわけではありません。個人差はありますが、2歳くらいまでは、たてに積むのもやっとで、その前に「並べる期」があったのだそう。実は、平面で絵を描くように遊ぶ方が遊びやすかったり、簡単だったり。

miharuさんは「うちの子は倒してばかりです!」という相談を受けることも多いそう。でもそれも実は成長段階のひとつで、「何度も倒して、バランスが崩れると倒れる経験を重ねていくと、積めるようになりますよ」と伝えているとのこと。

miharuさん:積み木はカチッとはめるブロックと違い、ちょっとずつずらして重ねるなどの自由度があり、だからこそ“バランスを学ぶ”遊びでもあると思います。倒れるという自然の摂理を知っておくのは、大切だと思うんです。それは、自分の芯につながるところで、自分も何か偏ってると苦しくなってバランスが崩れちゃいますよね。そういう目に見えない心のバランスも遊びながら学べると思います。倒れることは悪いことではなく、「やり直し」の大切さを実感する機会。だからこそ、くりかえし挑戦できる環境を整えることが大切です。

【0歳】は手にとるだけ 【1歳】は並べる期

 miharuさん:0歳はとにかくなめる。手にとって口に入れてまた戻します。

1歳は並べる期。娘たちは、5㎝の立方体と4㎝の立方体が混ざっていると、すごく嫌がって、同じ基尺の積み木じゃないと並べないという敏感期でもありました。1歳後半ぐらいから、たてに積み始めました。

【2歳】絵を描いているような作品に

miharuさん:2歳になると、絵を描いているような大作を創るようになりました。それと、ごっこ遊びですね。私が積み木でおうちを創り、そこで遊んでいました。シンプルな円柱も人に見立てて遊んでいました。

【3歳】少しずつ積み始めます

miharuさん:2、3歳になると少しずつ上に積み始めました。幼児期の1か月は、ものすごい成長幅があるので、2週間くらいでどんどん遊びが変わっていきます。

毎日遊んでいると、創るものもより具体的に、集中力も続くようになっていきました。

 【4歳】人形劇

miharuさん:娘が模造紙でテントを折り、キャンプをしている人形劇です。

外出先で人形劇の鑑賞もしていたので、家に帰ってから再現していました。

 【5歳】1からいろいろなものを積み始める

 miharuさん:100円ショップで買った芝生を使った作品。下に敷くものだと思った芝生を、カラフルな積み木の上にのせて『木』をつくった自由な発想に驚きました。遊びもどんどん自分たちで考えるようになりました。

【6歳】いろいろなものを再現するように

miharuさん:小学生になって、積み木で漢字を創っていました。日は暖かさを感じる暖色、木と山は青や緑を使っていて、色使いにもこだわっていました。

【7歳】どんどん細かくなってきます。

miharuさん:実際体験したことと、想像の世界を創りあげて遊んでいます。手先も器用になり、積み木以外にも粘土や紙で工作したものを混ぜながら、何時間も遊び続けます。

【8歳】自分の背よりも高いものを作ります

miharuさん:次女が1人で黙々と積み上げ、自分の身長を超え、高さ約130㎝になりました。

積める積み木がなくなったところで終了。達成感でいっぱいの顔でした。小さいころは積み上げても崩れて泣くこともたくさんありましたが、このときは一度も崩れることなく成長を感じました。

この後、塔にカラーの積み木を飾り付けて、数日間遊びました。

【9歳】人形劇が、より本格的に

miharuさん:私たち夫婦の誕生日会、自分たちの誕生日、母の日や父の日など、お祝いの日に必ず人形劇が始まります。手作りのプログラムも作り、お祝いの会をプロデュースするようになりました。

 10歳以降になると作品の幅がさらに広がります

miharuさん:このときは人形劇を観るためのチケットも作り、そこにもぎり用の切り取り線を入れ、さらに舞台を照らす照明や座席を作ったりするなど、どんどん細かくなっていました。

観劇が好きなので、そのときの様子や体感したことをそのまま再現するように。外でインプットして、家でアウトプットをするようになっていました。

miharuさん:大好きなお人形にクリスマスプレゼント。妖精の羽を贈りたいということで、自分でチクチク縫物をするようになりました。

miharuさん:春は私、花は長女、温は次女で、春をイメージして漢字を作りました。花びらのパーツを使ったり、「温かい」の漢字の意味も積み木から伝わるように工夫したりしていました。

漢字を作る遊びは1年生のときからしていましたが、年を重ねていくことで成長し、さらに新しいものが生まれます。

miharuさん:11歳11か月のときに作りたいと言った「ラプンツェルの塔」。 土台は娘が担当しましたが、納得がいかないから手伝ってほしいと途中でお願いをされました。うちにある積み木の特徴を一緒に見ながら、少しだけお手伝いをして、完成させました。

積み木とともにあった「親子の時間」

双子の娘たちを育てる中で、幼い2人が互いに比較したり差を感じたりしてほしくない、親として平等に接したいという想いから二人の育児を長年記録し、時には声を録音して「これはこっちの子が話していたことなんだ」と確認するなど、子どもの声を聞き洩らさないようにもしていたというmiharuさん。

とにかく常に、子どもの気持ちに耳を傾け続けていたことがわかります。積み木というおもちゃのすばらしさはもちろんのこと、そうやって子どもに寄り添い、常に隣にいて一緒に遊んでいた「親子の時間」が、娘さんたちのここまでの創造性を育んだのだと感じました。

興味を持った方は、何歳からでも遅くない! ぜひ親子で積み木を楽しんでみてくださいね。

記事監修

miharu 積み木アート作家

髙木美晴(たかぎみはる) 積み木アート作家。おもちゃコーディネーター。おもちゃコンサルタント。2013年に双子女児を出産。親子で作る感性豊かな積み木遊びをInstagramで発信し話題に。2017年から冊子『積み木手帖』、2018年から『積み木手帖カレンダー』を発行。2019年横浜バーニーズニューヨーク、2020年子どもの本とおもちゃの店・百町森(静岡)、2021年浦和蔦屋書店、アトリエニキティキ吉祥寺店等々、全国各地でフェアや積み木パネル展を開催している。スペインのおもちゃメーカー「grapat japan」の日本公式Instagram画像掲載、雑誌momo連載中。

取材・文/長南真理恵

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