大人気子役・嶋田鉄太くん「仕事と学校の両立? 絶対にムリ! 同時に2つのことができるほど器用じゃないんで…」現在小学6年生、飾らない自然体の魅力に迫ります!

呉美保監督の最新作『ふつうの子ども』で映画初主演を務めた嶋田鉄太くん(11歳)にインタビュー。観る人を魅了する自然体の演技はどこから生まれるのでしょうか。映画では、気になる同級生の女の子に近づきたい小学4年生・上田唯士を演じた鉄太くん、そして鉄太くんのお母さんに話を聞きました。

演じた上田唯士は「似てるけど、あそこまではしない」

──今回演じた上田唯士という役について、どんな印象を持ちましたか?

映画「ふつうの子ども」主演の嶋田鉄太くん

鉄太くん 性格的にはすごく似てるんです。比較的お調子者だったり、わかってなさそうで、わかってるように見えて、わかってないところとか。だから演じやすかったです。でも、この映画では唯士たちのやることがデカすぎて、さすがに僕はあそこまではしないなって。っていうか、できないなって思う。最初からストップかけるなあ。

左から味元耀大さん(橋本陽斗役)、嶋田鉄太さん(上田唯士役)、瑠璃さん(三宅心愛役)

──映画の中ではハラハラするような行動をたくさんしますが、現場では本番直前に鼻歌を歌うほどリラックスしていたそうですね。初主演でしたが緊張はしなかったんですか?

鉄太くん うーん、緊張はするんですけど、別に嫌な感じはないんです。それどころか、よくわからないスイッチが入って楽しくなっちゃう。今回の撮影はこれまでで一番緊張しなかったかも。これまでやってきた役と比べても、自分の性格に似てるところが多かったから、やりやすかったかな。

普段から舞台あいさつとかたくさんの人に見られているのは全然緊張しないけど、オーディションの自己紹介とかはホントに緊張しちゃう。少人数に見られるほうがやりにくくて。ステージの上だとたくさんの人に見られてても顔もよく見えないから、もうほぼいないのと同じ。そっちの方がやりやすいです。

お母さん 緊張をワクワクに変えてしまうタイプみたいです。どこにいても基本的には変わらないのですが、たくさんの人に見られているほうが水を得た魚のようにはしゃいでいます。

鉄太くんのお母さん

──撮影で大変だったシーンはありますか?

鉄太くん 後半の会議室のシーンがやっぱり一番難しかった。すごい撮り直したし、全部で40~50カットぐらいあって。昼間から始めて夜までかかっちゃって、撮りきれるか撮りきれないかみたいな。

──そういう長時間の大変な撮影では、どんなことを考えているんですか?

鉄太くん なんだろう……。何も考えてないかな。とにかくやらないとなーとか、早く家に帰りたいな、とか。

──素直に言うところがいいですね(笑)。では逆に、これは楽しかったというシーンはありますか?

鉄太くん 基本的に撮影は全部楽しかったから、どこが一番って絞るのは難しいなあ。たくさんあるんで。撮影の合間は、瑠璃さんや耀大さん、クラスの子たちとずっとしゃべってて、それも楽しかったです。

お母さん ほかのお子さんもたくさんいて、本当に学校みたいな雰囲気の現場でしたね。

──みんなでどんな話をしていたんですか?

鉄太くん 決まった話題はなくて、すぐに話題が変わるんですよね。子どもなんで。

──なるほど(笑)。撮影中に何かハプニングはありましたか?

鉄太くん 映画のポスターにも使われている図書館のシーンで、なんでかわかんないんですけど、ちょっと頭痛がしてしまったんです。普段、図書館に行かないし、なんか雰囲気がダメだったのかな。

お母さん とっても素敵な図書館だったんですけどね。

鉄太くん でも本は好きです。スーパーの本屋さんの子どもコーナーの奥にある大百科系とか、怖いのが好きなんで都市伝説大百科とか。でも読む分にはいいけど、怖い体験はしたくないな。

「とにかく目立ちたい」学校では係や実行委員にも立候補

──台本を覚えるのは得意だと聞きました。何かコツがあるんですか?

鉄太くん コツ……。うーん、覚えたか確認しつつ読んでいるとなんか覚えてて。声に出すこともあるし、暗唱することもあるし。あんまりこうしてみたいな決まったことはないかな。

お母さん 家ではパントリーにこもったり、キッチンの隅に座ったり、場所を変えながらフラフラと台本を見ています。練習したほうがいいんじゃない? と言っても、監督に言われたことをやるからいいんだって言って、練習もしてないですね。

今を生きる等身大の子どもたちが描かれています

──練習しないというのは驚きです。鉄太くんの自然体な演技は、すごく話題ですよね。

鉄太くん 役作りとか、難しいことはよくわからなくて、僕はまだしたことがないんですけど。思うに、僕が役作りをするんじゃなくて、監督とかスタッフの人が、僕がやりやすいようにしてくれてるんだと思います。今回も監督は直してほしいところがあれば、その場で具体的に伝えてくれてやりやすかったです。

――今すごく忙しいと思いますが、学校との両立はどうしていますか?

鉄太くん 両立してないです。僕は同時に2つのことができるほど器用じゃないんで。

お母さん 撮影が始まったら、学校へは行ける日は行きますけど、無理はさせないようにしています。帰ってきて勉強しなさいとか、現場に宿題を持っていきなさいとか、そういうことは一切強要はしていないんですね。多分両立は無理だよね?

鉄太くん 無理無理。多分じゃなくて、絶対に無理。

お母さん でも学校も好きで楽しそうです。特に行事が大好きで、係や実行委員とか、なんでも立候補しています。

鉄太くん 目立ちたい。とにかく目立ちたいんで。

──最後に俳優という仕事の魅力と、今後挑戦したい役を教えてください。

鉄太くん うーん、仕事の面白さは演じることより、いろんな人に会えることかな。いつもテレビで見てた人にも会えるし、新しい友だちもできるし。挑戦してみたい役は、なんだろう。でも今までやってきたような、なんか普通の子をずっとやりたいです。

──今回の映画『ふつうの子ども』の上田唯士役は、まさに鉄太くんにぴったりでしたね。これからの演技も楽しみにしています。ありがとうございました!

映画について、詳しくはこちらの記事で!

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気になる女の子のために始めた”環境活動”が大騒動に!

生き物と駄菓子が大好きな小学4年生・上田唯士。ある日の授業で、同級生の三宅心愛(瑠璃)が環境破壊への危機感を訴える作文を読み上げます。地球温暖化に警鐘を鳴らす彼女の姿に唯士は心を奪われ、近づきたい一心で環境問題の勉強を始めることに。

そこに橋本陽斗(味元耀大)が加わり、3人で”環境活動”をスタート。最初は駐車場の車にビラを貼る程度だったのが、だんだんエスカレート。排気口にシーツを詰め込んだり、牧場の柵を壊したり……。子どもたちの暴走は、やがて大人たちを巻き込む大騒動へと発展していきます。

唯士が抱いた恋心から始まる活動が、子どもならではの正義感と混ざり合い、思わぬ方向へ転がっていく様子は、笑いとハラハラが同居し、子どもも大人もどんどん引き込まれていきます。

映画『ふつうの子ども』
嶋田鉄太 瑠璃 味元耀大
瀧内公美 少路勇介 大熊大貴 長峰くみ 林田茶愛美
風間俊介 蒼井優
監督:呉美保 脚本:高田亮
製作:「ふつうの子ども」製作委員会 製作幹事・配給:murmur 製作プロダクション:ディグ&フェローズ 制作プロダクション:ポトフ
特別協力:小田急不動産 湘南学園小学校 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
©︎2025「ふつうの子ども」製作委員会
協賛:ビーサイズ キュウセツAQUA YOIHI PROJECT Circular Economy.Tokyo デザイン・エイチアンドエイ
映画『ふつうの子ども』公式サイト
公式SNS:X(@kodomo_film) Instagram(@kodomo_film)
9月5日(金)テアトル新宿ほか全国公開

構成/古屋江美子 撮影/五十嵐美弥

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