花火に色の違いがある理由
打ち上げ花火や手持ち花火は、さまざまな色に輝きます。一体、どうやって色を変えているのでしょうか? 色の違いがある理由を解説します。
炎色反応を利用して色を変えている
花火の色は、炎色反応によるものです。炎色反応は、金属を高温で熱したときに発光し、元素ごとに異なる色を示す作用を指します。
花火には、炎色反応を起こす金属を含んだ薬剤が使われており、色とりどりの花火が楽しめるようになっているのです。使われている金属の種類が分かれば、どの色になるか予測することもできます。
花火に色を付ける炎色剤の主な種類

花火にはさまざまな金属を使った薬剤が使われています。主な炎の色と、使われている薬剤について確認しましょう。
炎色剤にはさまざまな種類があるため必ず特定の金属が使われているとは限りませんが、主な種類を知っておくと花火の楽しみ方が増えるはずです。
赤い炎にする薬剤
花火の色を赤くしたいときに使われる主な金属としては、「ストロンチウム」が挙げられます。アルカリ土類金属元素の一種で、銀色を帯びた白っぽい色の金属です。
花火には、炭酸ストロンチウムがよく使われています。炭酸ストロンチウムを燃やすと、鮮やかな紅色に炎が発色し、美しい赤の花火を見ることができるでしょう。
ストロンチウムのほかに、「カリウム」を使うと赤紫色の炎を作れます。そのほか、炭酸ストロンチウムは酸化銅と混ぜることで紫の炎を作ることができ、微妙な色の違いを表現できるでしょう。
黄色い炎にする薬剤
花火の炎を黄色くするには、主に「ナトリウム」が使われます。ナトリウム化合物にはさまざまな種類があり、食塩もナトリウム化合物の一種です。食塩を燃やすと、炎が黄色く発色します。
花火に使われる主な薬剤としては、シュウ酸ナトリウムが挙げられるでしょう。また、黄色に近いオレンジ色の炎を作り出したい場合は、「カルシウム」が使われています。
緑の炎にする薬剤
緑の炎を作るには、「バリウム」が使われます。バリウムは健康診断などで消化器の検査をする際にも使われるものです。
花火の炎色剤としては、主に硝酸バリウムや炭酸バリウムなどが使われます。打ち上げ花火、手持ち花火を問わず、鮮やかな緑色の炎は目も楽しませてくれるでしょう。

青い炎にする薬剤
青い炎を作るときには、銅の化合物が挙げられます。花火で青い炎を作るのは難しく、鮮やかな色は発色しにくいようです。
青い炎を作るための元素は銅のほかにもいくつかありますが、価格面や使いやすさから銅の化合物が選ばれることが多くなっています。主に酸化銅や硫酸銅を使って、青緑色の炎を作ることが一般的です。
白い炎にする薬剤
白(銀白色)の炎は、燃焼時の高温そのものによる発光や金属粉の燃焼によって作られる基本的な色のひとつです。可燃剤として使われる「アルミニウム」は、銀白色の炎を作り出す性質があります。
また、金色に輝く炎を作るには、「チタン」が使われます。そのほか、明るい光を出すために、「マグネシウム」が使われることもあり、花火に使われる金属は多様です。
アルミニウムやマグネシウムは花火を一層輝かせることから、光輝剤とも呼ばれます。
出典:花火はサイエンス
:花火 -その原理と大玉紹介-
:身近な存在のアルミニウム「花火」|豆知識|意外と知らないアルミの事(一覧)|萬世興業株式会社
家庭用花火の選び方とポイント

家庭で花火を楽しむ場合、手持ち花火を中心とした商品を購入するのが一般的です。どのように選べばよいのか、基本的なポイントを紹介します。種類ごとの特徴や色の違いが分かっていれば、自分の好みに合った商品を選びやすいはずです。
種類で選ぶ
花火には、さまざまな種類があります。自宅や庭などで遊ぶときには、周辺の環境や好みによってどの種類の花火を使うか考えましょう。
基本的には手持ち花火が中心ですが、手に持たないタイプの種類も含めて、家庭で遊べる花火の種類を紹介します。
【家庭で遊べる主な花火】
・手持ち花火(線香花火、ススキ花火、手持ち噴出花火など)
・打ち上げ花火、連発花火、ロケット花火(家庭用)
・回転花火
手持ち花火は、比較的場所を問わず楽しめるものが多くなっています。打ち上げ花火・連発花火・ロケット花火は上空に打ち上げるため、電線や家がなく広い場所が必要です。
回転花火は地面を回転して広い範囲を移動するものもあるため、周囲の状況を確認した上で使用しましょう。
色の変化が楽しめるものを選ぶ
市販の花火には、さまざまな色を楽しめるものや、色が途中で変わる花火も販売されています。
どの花火がどの色なのかは、写真や商品説明などで確認しましょう。詰め合わせの花火などは説明が省略されていることもありますが、花火専門店で販売されている単品の花火などには、使用されている金属や色の説明が記載されていることが多いでしょう。
中には特定の金属を使用した花火も販売されており、火花の散り方や雰囲気の違いを感じたいときにおすすめです。
本格的に花火の色や種類を楽しみたいときには、大型花火が打ち上がる花火大会への参加を検討するのもおすすめです。
花火の色の違いは炎色剤によるもの

花火の色は、炎色剤によって変わります。赤・黄・緑・青・白など、さまざまな色の花火があり、色の違いを楽しめるでしょう。
家庭で花火をするときには種類や色の違いに注目して選ぶと、好みに合った商品を見つけられるはずです。周囲の環境や安全面にも配慮しながら、花火を楽しみましょう。
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構成・文/HugKum編集部

