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自宅での花火は近所迷惑?
子どもたちに夏の思い出を作ってあげたくて、自宅で花火をしたいけれど、近所迷惑にならないか心配、そのように考える人もいるかもしれません。花火の何が近所迷惑になるのか、対処法はあるのか見ていきましょう。
花火の音・話し声
まず一つ目の問題点として、花火自体の音があります。花火の燃える音やはじける音(パチパチ、シューなど)をうるさく感じる人もいるからです。また、ロケット花火や爆竹音のような破裂音を出す花火は、自宅では使わないようにしましょう。
花火の音以上にうるさいのが、人の声です。花火をするときは、大人も子どもも楽しさから話し声が大きくなりがちです。子どもが走り回ったり、大声をあげたりしないように見守る必要があります。
また、笑い声も意外と響き渡るものなので、どれほど楽しくても夜間の住宅地では、笑い声は控えめにしましょう。
煙・臭い
花火の煙や火薬の臭いは、風向きによっては隣近所に流れ込むことがあります。慣れない煙や臭いが入ってくると、拒絶反応を示してしまうのは仕方のないことです。
暑い時期でもエアコンを使わず、窓を開け放っている家もあります。もし喘息を患っている人がいたら、花火の煙が原因で発作を引き起こすかもしれません。また、洗濯物に臭いがつくから嫌だと、クレームに発展することもあります。
煙や臭いは、騒音に次ぐ近隣トラブルの原因なので、充分に注意しましょう。
トラブルになると通報・訴訟も
花火の煙や臭い・騒音が、近隣への迷惑行為と受け取られることはよくあります。受忍限度を超えてしまうと、通報されるおそれもあります。受忍限度とは、社会生活を送っていく上で、これ以上は我慢できないという限界点のことです。
花火を行った場所が自分の所有地であったとしても、煙や騒音は近隣へ流れていきます。近隣トラブルが、損害賠償請求や訴訟にまで発展することもあります。たとえ法的な責任を負わなくて済んだとしても、近隣との折り合いが悪くなって、住みづらくなっては問題です。
自宅花火の際は近隣へ配慮する
近隣トラブルに発展しないようにするには、どのような注意が必要でしょうか。日本煙火協会が発表している「安全とマナー」が参考になるので、自宅で花火をする場合には一度ご覧ください。
参考:安全とマナー | おもちゃ花火 | 公益社団法人 日本煙火協会
時間帯を選ぶ・風の強い日を避ける
花火を行う時間帯は、日没から20時くらいを目途にしましょう。隣近所が寝静まっている早朝・深夜の時間帯を避けるのは当然ですが、21時くらいになると就寝する人もいるので、20時までには終わらせたいものです。
また、風の強い日も避けましょう。近隣へ煙や臭いが流れやすくなるだけではなく、やけどや火災の危険もあるからです。
風の強い日は、ろうそくの火が風で吹き消されたり、花火の火の粉が散って皮膚や衣服に付着したりします。やけどの原因になるとともに、燃えやすいものに引火すると火災の危険もあります。
事前にご近所に一言挨拶を
花火の前には、隣近所に一言挨拶しておくと気持ちよく遊べるでしょう。「何の挨拶もない!」「一言いってくれれば、洗濯物を片づけたのに!」といった不満を回避できるからです。
「今晩は花火をするので、子どもたちがうるさかったら遠慮なく言ってくださいね」といった気軽な声掛けでもよいでしょう。相手も気軽に問題点を話してくれるかもしれません。
人によって感じ方は違うので、相手の反応がいまいちの場合は、花火を中止するという選択肢もあります。臨機応変に対応して、トラブルが発生しないようにしていきましょう。
河川敷や公園で遊ぶ
自宅で花火をできない場合は、近くの公園や河川敷で「花火ができるところ」を探します。花火ができるかどうか、管理事務所や自治体の公式ホームページで確認できます。「火気厳禁」といった看板や表示が設置されているところでは、花火はできません。
花火が可能だとしても、ロケット花火など打ち上げタイプの花火もできるのかは確認が必要です。最近では海岸の砂浜なども花火禁止のところが多いので、事前に確認しておきましょう。
戸建て・マンションで花火はできる?
自宅が一戸建てかマンションなど集合住宅かによって、花火ができるかどうかが変わってきます。それぞれチェックしてみましょう。
一戸建て住宅では
一戸建ての家屋が持ち家なら、庭や駐車スペースで花火を行うことは可能です。ただ、スペースが狭いときは、近隣に迷惑がかからないように注意しましょう。
道路は公共のスペースなので、道路での花火はできません。万一はみ出してしまったときは、きちんと後片付けをしましょう。
一戸建ての賃貸物件に住んでいる場合は、管理会社に確認します。花火ができる場合もあるし、禁止されているところもあります。庭が広いから大丈夫だろうという自己判断は慎みましょう。
マンションなど集合住宅では
マンションやアパートといった集合住宅では、規約で花火を禁止しているところがほとんどです。集合住宅の場合、隣がピッタリとくっついているため、煙・臭い・騒音が流れやすいからです。スペースが少ないため、やけどや火災の危険も大きくなります。
集合住宅の共用部分(ホールや廊下、屋上など)は、もちろん火気厳禁です。花火をできるかどうか気になるときは、管理会社・管理組合に確認することをおすすめします。
規約で禁止されていなくても、ベランダでの花火はやめましょう。隣に煙が流れていったり、カーテンに引火したりして大惨事になりかねません。
花火を自宅で行う際に用意すべきアイテム
自宅で花火を行う際に用意すべきアイテムや、あると便利なものを紹介します。災害時に使えるものも多いのでチェックしてみましょう。
火消・安全対策アイテム
まず、安全のために準備しておくのは、次のものが考えられます。
●水を入れたバケツ
できれば金属製で、花火が全て入るくらいの大き目のものを用意します。やけどの患部を冷やしたり、引火した場合は消火にも使用したりするので、二つあるとベターです。
●消火スプレー
花火以外のときでも消火に使えるので、用意しておくといいでしょう。
●ろうそく・着火ライター
子どもが安全に花火に点火できるように、ろうそくに火をつけておくと便利です。あるいは、先の長い「点火棒」のような着火ライターがあると、ろうそくにも花火にも点火しやすいでしょう。
●ろうそくを覆う風よけ
ろうそくの火が消えるくらい風がある場合、花火は中止するのがおすすめです。少しの風なら、素焼きの植木鉢を逆さにして被せておくと風よけになり、水はけ用の孔から花火に点火できます。素焼き以外のプラスチック製の植木鉢などは使わないようにしましょう。
アウトドアアイテム
花火のときにあると便利なアウトドアアイテムを紹介します。自然災害が発生したときにも役立つので、常備しておいてもよいでしょう。
●虫よけスプレー・蚊取り線香
玄関前などの照明に虫が寄ってくるので、虫よけ対策が必要です。
●懐中電灯
自宅前なら照明は十分かもしれませんが、用意しておくと万一のときにも役立ちます。
●ゴミ袋
すぐに後片付けができます。
●その他
折りたたみチェアや、ウェットティッシュなどがあると便利です。
花火を自宅で行う際のやけど対策
楽しい花火もやけどをしてしまっては台無しです。やけどをしないための対策、やけどをしてしまったときの対処法を見てみましょう。
サンダルはNG
サンダルなど指やかかとが出ている靴を、花火の際に履くのはNGです。花火の燃えカスや火の粉が足に落ちて、やけどをするおそれがあります。
線香花火の玉が指の間に落ちてやけどをした、という例もあります。線香花火は1,000度近い高温になるため、ひどいやけどになりかねません。サンダルの上に火の玉が落ちたとしても、サンダルの素材によっては溶けてやけどをすることがあります。
自宅なのでついサンダルなどを履いてしまいがちですが、足全体を覆う運動靴などを履きましょう。
燃えやすい服装はやめよう
花火で遊ぶときは、服装にも気を付ける必要があります。燃えやすい素材、引火しやすい形状の服は危険です。
綿製品は着火しやすく、燃え広がるのも速いので注意が必要です。合成繊維は種類によっては、肌に張り付いて大やけどになる危険性があります。
「表面フラッシュ現象」といって、少しの着火であっという間に表面全体に火が広がってしまうことがあります。綿やレーヨンなどの燃えやすい素材で、表面が毛羽立っているものは注意しましょう。
また、ひらひらしたスカートなどは、気が付かないうちに着火している場合があります。引火しやすいのでやめましょう。
やけどをしてしまったら
どれほど注意していても、事故が起こることはあります。もしやけどをしてしまったら、以下を参考に素早く処置しましょう。
●患部を水で冷やす
衣服の上からでかまわないので、まずは患部を水で冷やしましょう。とくに指先や足先をやけどした場合は、1時間程度しっかり冷やします。目に見えているところ以外にやけどがないか、注意することも大切です。
●病院へ行く
応急処置をしたら、病院で診てもらいましょう。花火の温度は線香花火で370~1,000度、吹き出し花火は1,100度以上あります。思っている以上に深いやけどを負っているかもしれません。
参考:やけど Q2 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
自宅で楽しめる「おもちゃ花火」の種類
市販されている「おもちゃ花火(家庭用花火)」で、安全性の検査に合格したものにはSFマークが付いています。自宅で遊べる花火には、どういった種類があるのでしょうか。
参考:SFマークについて
主流は「手持ち花火」
花火は火薬の量や形状・構造によって、8種類に分けられます。その中で自宅で楽しめる花火は、手持ち花火(炎・火の粉・火花を出す花火)です。
華やかな火花が飛び出す手持ち花火は、家庭で遊べる花火の定番です。他には、回転する花火や走行する花火なども家庭で遊べます。
スーパーやコンビニで売られているおもちゃ花火のほとんどは、手持ち花火です。最近では、ネズミ花火やロケット花火は危険だと考える親が増えているからです。
手持ち花火には「すすき花火」「スパーク花火」「線香花火」の3種類があります。どのような違いがあるのか見てみましょう。
すすき花火
火薬の部分が、紙や筒で覆われているのがすすき花火です。シューッと大きな音をたてて、前方に火花が飛び出す花火です。比較的長持ちするのが長所で、価格も安く抑えられています。
すすき花火という名前は、火花の形がススキの穂が垂れているようだからというのが由来のようです。すすき花火には、昔ながらの懐かしい雰囲気があります。
すすき花火の中には、10色・20色といったカラフルな花火や、途中で色が変わる仕掛けの花火もあります。
スパーク花火
「スパークラー」「スパークル」とも呼ばれるスパーク花火の特徴は、針金や竹ひごに塗った火薬がむき出しになっているところです。点火するとパチパチと大きな音で、雪の結晶のような細い火花が勢いよく出て、横方向へも火花がはじけます。
大きな線香花火のような火花だったり、ナイアガラの滝のような火花だったり、火花の出方はさまざまです。難点は火薬部分に手を触れると、火薬が落ちやすいことです。
小型のスパーク花火は、レストランでの誕生日サービスやパフェに使われていることもあるので、見たことがある人も多いでしょう。煙が少ないので店でも迷惑になりにくいようです。
線香花火
大人も楽しめる花火の代表は、何といっても線香花火ではないでしょうか。最後に火の玉が落ちるまで競争するのも、線香花火の楽しみ方の一つです。
ところで、線香花火は西日本と東日本で異なることをご存じでしょうか。
●東日本
カラフルな和紙のこよりのような外見で、「長手(ながて)」と呼ばれます。
●西日本
持ち手が藁(わら)で作られているのが特徴です。「スボ手」と呼ばれることもあります。
線香花火は初めに西日本で遊ばれるようになって、東日本に伝わったといわれています。西日本では藁で作っていましたが、江戸では稲作が行われておらず藁は少なかったようです。江戸では紙すきが盛んに行われていたことから、和紙で作るようになりました。
変色花火・煙が少ない花火
比較的新しい変色花火と、煙が少ない花火を紹介しましょう。
●変色花火
カラーチェンジャーとも呼ばれ、燃えていく途中で色が変わります。10色、20色、多いものでは25色に変わるものもあります。すすき花火やスパーク花火よりも華やかで、火花が広がるのが特徴です。
●煙の少ない花火
自宅花火には持ってこいの花火です。煙が少ないので隣近所に迷惑がかかることも少なくて済みます。
さらに煙が少ないので、写真映りがきれいだということもポイントです。「スマホできれいに撮れる花火」のキャッチフレーズで、品切れ店が続出したことがありました。
花火の処分方法
最後に花火を楽しんだ後の、片づけ方・花火の処分方法を紹介します。花火を楽しんでおしまいではなく、後片付けまでが花火遊びの一連の流れと考えましょう。
ゴミの分別、花火はどっち?
花火は可燃ゴミでしょうか? 不燃ゴミでしょうか? 多くは可燃ゴミに分類されますが、自治体によっては不燃ゴミ扱いのところもあるので、自治体のホームページなどで確認するのがよいでしょう。
花火を捨てる際の注意点は、確実に火を消すことです。消えたと思ってもくすぶっている場合があるので、水を入れたバケツに浸しておきます。
未使用の花火を捨てる場合は、火薬に水が浸み込むまでに時間がかかります。1日以上水に浸した上で、ゴミ袋に入れて捨てましょう。
花火は分解禁止!
花火をほぐしたり分解したりするのは危険です。花火には化学物質が含まれており、想定外の扱いをすると爆発したり発火したりする危険性があるからです。
花火をポケットに入れて持ち歩くことも、危険なのでやめましょう。摩擦熱で発火しないとも限らず、発火したときに衣服に燃え移ると大やけどを負うリスクがあるからです。
もし、花火自体に欠陥があってやけどや事故が起こった場合は、製造元や日本煙火協会に連絡しましょう。その際に使用した花火は、証拠として必要になるかもしれないので保管しておきます。
自宅花火はマナーを守って楽しい思い出に
夏休みの花火をした思い出は、ずっと心に残ります。家族みんなで安全に注意し、近隣に迷惑を掛けないように楽しみたいものです。
自宅でできる花火は「すすき花火」「スパーク花火」「線香花火」の3種類の他、変色花火や煙が少ない花火など新しい種類もあります。検定に合格した安全な花火にはSFマークが付いているので、購入時にチェックしてみましょう。
楽しいはずの思い出が、悲惨な事故やトラブルに発展してしまっては本末転倒です。マナーと注意事項を守って、自宅での花火を楽しみましょう。
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構成・文/HugKum編集部