そろそろ夏本番! お出かけを計画している人も多いのでは? 家族で楽しい時間を過ごすには、子どもの安全に気を配ることが大切です。夏の旅行やアウトドアでも役立つ、事故防止のポイントを押さえておきましょう。
目次
外出先では環境を念入りにチェック!
夏は旅行や帰省などで、いつもとは違う場所に出かける機会が増えます。おうちの中では安全対策に気を配っていても、外出先では転落のおそれがある危険な場所があったり、危ないものが子どもの手の届く場所に置かれていたりすることも。子どもの事故は大人が目を離した一瞬の隙に起こるものなので、非日常の場所では事故につながる危険がないかをチェックして、危ないもの・危ない場所を子どもから遠ざけることを心がけましょう。
シチュエーション別:夏の危険ガイド
帰省先で
じいじ・ばあばと楽しいひととき。ホッとひと息ついたのも束の間、子どもの手が届く机の上に、たばこや薬が出しっぱなし! これを口に入れたら大変……。
花火大会で
屋台で買ったわたあめを手に、川ぞいの砂利道を歩いていると、石につまずいて転びそうに。もし、わたあめの割り箸を口に入れたまま転んでしまったら……?
数家族でのキャンプで
ママ友の一家とキャンプでバーベキュー。大人がたくさんいると、誰かが見ていてくれる気がして、子どもからつい目を離しがち。鉄板にさわると、やけどの危険が!
緑の多い公園で
パパが休みをとれたので、家族でピクニック。芝生に寝転んでいたら虫が寄ってきた! 夏は蚊のほかに毛虫も出るって聞いたけど、半袖でゴロゴロしていて大丈夫!?
お出かけではココに注意!
公園
ショッピングモール
車内
熱中症の救急処置
木陰などの涼しい場所に移動し、体温を下げるために太い血管が通る「首」「わきの下」「ももの付け根」に保冷剤や冷たいペットボトルを当て、経口補水液で水分補給を。意識がない、水分が取れない場合はすぐに受診を。
野外での活動は涼しい時間帯に
子どもは体温を調節する力が弱いため、高温の場所で長時間過ごすと、熱が体内にこもって体調を崩すことも。熱中症予防のためにも野外で活動するときは涼しい時間帯を選び、少なくとも1時間に1は水分補給を。ベビーカーに乗せるときは、こまめに顔色を見たり体にふれたりして、体温が上がりすぎていないかを確認しましょう。
事前の計画・準備で対応にゆとりが
冷房対策の上着を持参する、たくさん汗をかきそうな日は着替えを用意するというように、お出かけをするときはその日の計画や天候に合わせた持ち物の準備を。祖父母の車に乗る予定があるならチャイルドシートの手配をお願いしておくなど、「こんな場合はどうする?」と事前に対策を考えておきましょう。
アウトドアではココに注意!
山
花火
海・川・プール
ハチに刺されたときは
全身のじんましんや呼吸困難などが見られたらすぐに病院へ。これらの症状がなければ、刺されたところから毒液を絞り出し、流水で洗い流して冷やします。腫れがひどい場合は受診を。
おうちの中でも命にかかわる危険が
おうちの中でも、浴室での、ベランダ・窓からの転落は命にかかわる事故に直結します。やけども重症化しやすいので、電気ケトルの置き場所や花火をするときの火の管理にも細心の注意を。長距離のお出かけはもちろん、近所までの短時間の移動でも、自動車ならチャイルドシートを使い、自転車ならヘルメットの着用を徹底することも重要です。「少しくらいなら平気だろう」という油断をなくすことが、事故防止への第一歩になります。
おうちの中ではココに注意!
おふろでの溺水や転落事故に注意
溺水は1~2歳代、転落は2~3歳代に多く、ともに命にかかわるおそれがあります。おふろの残り湯のほか、ビニールプールなどでも、転んだときに鼻と口が水につかってしまえば水深5㎝でも子どもは溺れてしまうので注意が必要です。ベランダや窓際には踏み台になるものを置かないようにして、転落事故の予防にも万全の対策を。
お風呂場
ベランダ
おうちの中
食中毒予防のポイント
おにぎりやサンドイッチを作るときは、手の雑菌がつかないようにビニール手袋やラップを使いましょう。カレーは空気にふれていない部分で細菌が増えやすいので、鍋底からよくかきまぜて。作り置きをする場合は冷凍保存を。
帰省先・旅行先でも危険がないか確認を
帰省先・旅行先の室内は、机の角がとがっているなど、子ども向けの環境ではないことも。帰省するときは、家具が何もない部屋を1部屋用意してもらうように前もって頼んでおくと、事故のリスクを減らせます。旅行先では、ホテルや旅館に着いたときに危険がないかをひと通りチェックして、危ないものは置き場所を変えるなどの配慮を。
急病やケガなどもしものときの備えを
アウトドアでは予期せぬ事態が起こりやすいので、余裕のあるスケジュールを組むことが大切です。子どもは寝不足や疲れが体調不良につながりやすいので、具合が悪そうだと感じたら早めに休ませて。急な病気やケガに備えて、健康保険証・母子健康手帳・お薬手帳・体温計・解熱薬などの常備薬を持参し、宿泊先の近くの救急指定病院を前もって調べておくと安心です。救急指定病院で受診する場合は、受診の前に電話で子どもの年齢と症状を伝え、診察が可能かを確認してから病院に向かいましょう。
急なケガ・病気で、判断に困ったときは……
小児救急電話相談#8000
夜間や休日に、小児科医や看護師から子どもの症状に応じた対処法や受診する病院などについてのアドバイスを受けられます(受け付け時間は都道府県ごとに異なるため、事前に厚生労働省のホームページなどで確認を)。
山中龍宏先生
神奈川県横浜市の緑園こどもクリニック院長。小児科医の立場から長年にわたり子どもの事故対策に尽力。NPO法人Safe Kids Japanの理事長も務める。
記事監修
事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人。Safe Kids Worldwideや国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所などと連携して、子どもの傷害予防に関する様々な活動を行う。
イラスト/ニシハマカオリ デザイン/平野 晶 取材・文/安永美穂 構成/童夢 出典/ベビーブック