「総務省」ってどんなところ? 具体的な仕事内容を分かりやすく紹介【親子で学ぶ現代社会】

総務省について、どんな仕事をしているところか分からないという印象を持つ人は多いでしょう。総務省の特徴や、国民生活と深く関わる仕事内容について解説します。また、総務省の目指す「Society5.0」についてもチェックします。
[上画像は、東京都千代田区の中央合同庁舎]

総務省とはどんなところ?

総務省は、名前からも仕事内容が想像しにくい省です。総務省の特徴や成り立ち、目標としている「Society5.0」がどのようなものか見ていきます。

総務省の特徴と成り立ち

総務省は、2001年の中央省庁再編で、総務庁・自治省・郵政省が統合されて作られました。その3省庁が担当していた仕事を引き継いだため、総務省は行政や公務員の人事、地方自治といった国の運営に幅広く関わる組織です。選挙・郵政・消防・防災・情報通信も担当します。

所在地は、東京都千代田区に合同庁舎が3棟、新宿区に第2庁舎が1棟です。総務省は、国民の社会生活に必要な基本システムを管理する、規模も影響力も大きな省といえます。

出典:総務省

総務省の組織構成

総務省は、トップである総務大臣とそれを支える総務副大臣などの下に、省の方向性を決める「大臣官房」と九つの局(きょく)、外局として「公害等調整委員会」「消防庁」があります。九つの局は以下の通りです。

●行政管理局
●行政評価局
●自治行政局
●自治財政局
●自治税務局
●国際戦略局
●情報流通行政局
●総合通信基盤局

この他に、各自治体に設置された地方支分部局があり、他の省や海外などに出向している職員もいます。このように総務省は巨大な組織で、主な局で働く職員だけでも約4,600人いるとされます。

出典:総務省の組織|総務省

新宿区の総務省第2庁舎

総務省の目指す「Society5.0」

日本政府が掲げる未来図として「Society5.0」があり、総務省は現在そのための施策を企画・実施しています。Society5.0とは、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」のことです。

狩猟社会をSociety1.0と考えたときに、農耕社会、工業社会、そして現在の情報社会に続く社会形態といえます。大阪万博の日本パビリオンではSociety5.0が実現したらどんな社会になるかというテーマで展示が行われました。

デジタル技術を生かしSociety5.0を実現することは、少子高齢化などの課題を解決し、ひいては持続可能な社会につながるといわれています。

出典:Beyond 5G ready ショーケース|総務省

総務省の主な仕事内容

総務省の担当領域は広く、主な仕事内容は5分野に分けられます。情報通信・地方自治体への支援・行政の評価と改善・統計データの収集と活用・国民の安全を守ることの5分野です。それぞれ確認してみましょう。

情報通信技術の安全確保と発展

総務省の仕事の一つ目は、情報通信技術の安全確保と発展です。主に、「情報流通行政局」と「総合通信基盤局」が関わります。

情報流通行政局は、デジタル放送や情報通信技術の活用・開発、国際的な郵便サービスなどの担当です。総合通信基盤局は、名前の通りインターネット環境の整備・構築を担当します。情報通信の高度化に対応し、より便利なサービスへの移行や公正な通信市場の維持に取り組んでいます。

出典:総務省の仕事 for KIDS 謎の生態を解明せよ!ダイナソーム 全体版|総務省

地方自治体の行政・財政を運営

総務省の仕事の二つ目は、地方自治体の行政・財政を助けることです。「自治行政局」「自治財政局」「自治税務局」が主に関わります。

地方自治を行うのは地方で選ばれた政治家や公務員です。総務省が担当するのは、地方自治制度や地方公務員制度の整備、住民情報などのデジタル化、地方の活性化などです。

選挙制度の改善や、地方税の充実、自治体の福祉や教育などを支える財源の確保にも取り組んでいます。

第52回独立行政法人評価制度委員会・第70回評価部会・第21回会計基準等部会合同会議
[総務省ホームページ] CC 表示 4.0,

行政運営の評価と改善

総務省の仕事の三つ目は行政運営の評価と改善で、主に「行政管理局」や「行政評価局」の担当です。行政管理局は、行政が適切に運営されているか、公正さや情報の透明性をチェックします。社会変化に対応し行政の質を上げるための改善も仕事です。

行政評価局も同じように行政チェックの担当で、全国にある行政相談窓口で、福祉やインフラなど行政への不満・要望を受け付けています。政策の実施状況や問題点などを独自に調査・分析・評価し行政改善へ向けたアドバイスも行います。

統計データの収集と活用

総務省の仕事の四つ目は、統計データの収集と活用です。総務省の統計局は、日本の社会的・経済的状況を知る基礎として統計的な調査を行います。

統計は、ある集団の傾向を知るのに役立つ方法です。例えば、国勢調査や人口推計、労働力調査、家計調査などがあります。

これらの統計は、日本の現状を理解する材料として作成され、政策を決めるときの根拠にもなります。主な統計結果は公表されているので、インターネットなどから確認してみましょう。

災害などから国民生活の安全を守る

総務省の仕事の五つ目は、災害などから国民生活の安全を守ることです。総務省の一部である消防庁は、通常は火災の消火活動や救助活動、自治体の消防団員の訓練を行う組織です。大地震などの災害時には現場の司令塔になり、政府・自治体と連携を取って災害援助などを行います。

東京消防庁と消防庁のモニュメント

一方、サイバーセキュリティ統括官は、インターネットを通じた不正アクセスやウイルス対策に関する政策の企画・調整を行っています。社会・経済活動に欠かせないものとなった通信技術を安全に利用できるように働いています。

国民の生活に深く関わっている総務省

総務省の仕事はあまり知られていませんが、担当する分野が幅広く影響力も大きい省です。

例えば、自治体の行政サービスや運用資金をサポートしたり、統計データや全国の行政相談窓口に集まる意見などから行政を評価・分析し、改善のアドバイスもしたりします。

意外かもしれませんが、選挙や情報通信、郵政、消防も総務省の仕事です。行政サービスや安全の提供といった形で、総務省は国民生活に深く関わっています。

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構成・文/HugKum編集部

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