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日本では2学期がスタート! 世界の小学校は?
9月になり、日本では2学期がスタートしました。新しい学期を迎えるこの時期、ふと「他の国の小学校はどんなシステムで動いているのだろう?」と気になりませんか?
実は、世界各国の小学校のシステムは、文化や歴史、気候によって大きく異なります。
日本では給食や掃除を子どもが行い協調性を育む
日本の小学校は、4月に新学年が始まり、多くの学校で3学期制(4月~7月、9月~12月、1月~3月)を採用しています。地域にもよりますが、夏休みは7月中旬~8月末まで約6週間、冬休みや春休みも約2週間ずつあります。
授業時間は1日5~6時間で、1クラスの生徒数は平均30人前後。給食や掃除の時間など、協調性を育む活動も特徴的です。学習内容は文部科学省の学習指導要領に基づき、全国で統一されています。

アメリカは長い夏休み。昼ご飯はカフェテリアで
アメリカの小学校は、州や地域によってシステムが異なりますが、一般的には9月から新学年が始まり、6月に終了します。夏休みは約2~3か月と長く、冬休み(12月下旬~1月初旬)や春休み(3~4月)は1~2週間です。
学年はグレードと呼ばれ、小学校はキンダーガーデン(5歳)から始まって、5thまたは6thグレード(11~12歳)までです。
授業は1日6~7時間で、科目は読み書き・算数・理科・社会・芸術など幅広く、州ごとにカリキュラムが異なります。クラスの人数は20~30人と日本と似ていますが、給食はカフェテリア形式で、子どもが自分で選ぶことが多いです。

イギリスは3学期制と厳格なカリキュラム
イギリスの小学校(プライマリー・スクール)は、4~11歳の子どもが通い、9月に新学年がスタートします。3学期制(秋・春・夏)で、各学期は約12~14週間、間に1~2週間の休み(ハーフターム)があります。
夏休みは7月中旬~9月初旬までの6週間。授業は1日5~6時間で、英語・数学・科学を中心に、歴史や地理、音楽なども学びます。
イギリスの特徴は、全国統一のカリキュラム(ナショナル・カリキュラム)に基づき、定期的に学力テストが行われる点です。制服を着る学校が多く、規律を重んじる雰囲気があります。

中国は厳しい競争と長い授業時間
中国の小学校は日本と同じく6~12歳の子が通い、9月に新学年が始まります。2学期制(9月~1月、2月~6月)で、夏休みは7~8月の約2か月、冬休みは1~2月の約1か月です。
授業時間は1日7~8時間と長めで、放課後の宿題や塾通いも一般的。クラスの人数は40~50人と多く、競争が激しいのが特徴です。
主要科目は国語(中国語)・数学・英語。道徳教育や体育も重視されます。近年、受験競争の過熱を抑えるため、宿題の量を減らす政策も始まっていますが、依然として学業へのプレッシャーは強いままです。

フィンランドはゆとりある学びと短い授業時間
フィンランドの小学校は7~13歳の子どもが通い、8月中旬に新学年が始まります。学期は秋・春の2期で、夏休みは6~8月の約10週間、冬休みは12月の2週間です。授業は1日4~5時間と短く、休み時間や屋外活動が多め。クラスの人数は15~20人と少なく、教師1人に対する生徒数が少ないのが特徴です。
フィンランドでは詰め込み教育を避け、子どもが自分で考える力を重視。教科書はありますが、自由度が高く、テストも少ないです。プログラミングやアートなど、創造性を伸ばす授業も積極的に取り入れられています。

地域差のあるインドは多言語教育
インドの小学校は州や学校によって異なりますが、一般的には6~12歳の子どもが通い、6月または7月に新学年が始まります。夏休みはモンスーンの影響で、4~5月に2か月。授業は1日5~6時間で、英語、ヒンディー語、州の言語(例:タミル語)など、複数の言語を学ぶのが特徴です。
クラスの人数は30~50人と多く、都市部では私立学校が人気です。数学や科学を重視する一方、貧困層の子どもへの教育アクセスが課題となっています。

多様なシステムから見える教育の違い
世界の小学校システムを見ると、日本と同じ3学期制の国もあれば、2学期制や長い夏休みを採用する国もあり、授業時間やクラスの人数もさまざまです。
また、フィンランドのようなゆとりある教育もあれば、中国のように競争的な環境もあります。これらの違いは、気候や文化、国の教育方針を反映しています。日本の子どもたちにとって、海外のシステムを知ることは、勉強や学校生活への新たな視点を与えてくれるかもしれませんね。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
