登校初日は行きたくないの連発
― マレーシアでの学校生活が始まって2か月弱となりますが、お子さんたちに変化はありましたか。
優木さん:登校初日は緊張してて、「行きたくなーい!」の連発でしたね。2人ともマレーシアに引越す直前まで日本の学校の学童に行っていたので、お友達と離れてしまった悲しさの余韻がまだ残っている感じでした。
初日は緊張。おなかが痛くなる日もあったはじめの2週間…
― まったく新しい環境でのスタートということもあり、やはり登校初日は緊張しますよね。
優木さん:長女は日本で英語を勉強していたので、ある程度理解できるほどの英語力が身についていたのですが、次女は全く英語がわからない状態でこっちにきたんです。日本では誰にでも話しかけてすぐに仲良くなれる性格の次女だったのですが、英語で話しかけられないのもあってか最初の2週間くらいはおなかが痛くなる日もあったりして…。

― そんなときはどのように対応されましたか?
優木さん:緊張や不安からきているのかなと心配しながら様子をみていたのですが、自分なりに解決方法を探していたみたいなんです。「朝だけおなかが痛いから、もしかしたらおなかが減っているだけなのかも…」、「前の日に明日の準備ができている日は痛くならないんだよね」と言ってたので、「じゃあ、朝ごはんをもっとしっかり食べて、前の日に学校の準備も済ませておこうか!」なんて会話をしていたんです。
次女は自分なりにおなかが痛くならない方法を考えているんだなって思いつつ、コミュニケーションをしっかりとりながら見守ってあげていました。
クラスメイトのおかげで少しずつ慣れていく新生活
― 日本のときと違ってすべて英語での授業となりましたが、お子さんたちはどのような反応をされていますか?
優木さん:いきなりすべての科目が英語での授業となり、はじめは授業の内容だけでなく、何をしていいかさえも理解ができなくて不安だったみたいですね。算数は日本ですでに習っていた分野を今勉強しているようで、英語があまりわからなくても授業内容はわかるようなんです。
でも、英語の理解力がより求められる理科や社会は理解するのにまだ苦労しているようです。
― 確かに理科や社会を別の言語で学ぶのはハードルがかなり高そうですね…。授業についていけるようにお子さんたちはなにか対策をとっていますか?
優木さん:日本人の子が各学年数人いて、その子たちに助けてもらいながら日々成し遂げているような感じです。新しく入学してきた子や長年在籍している子、国籍も文化もみんなそれぞれなので、お互い探り合いながら緊張していた気持ちをほぐし合っているみたいで。

― 同じような境遇のお友達がいてくれると、とても心強いですよね。学校生活を通していろいろな国から来たお友達がつくれるといった点もマレーシアのインターナショナルスクールならではの魅力ですね。
優木さん:クラスメイトはアジア系の子どもたちがどちらかといえば多いようですが、欧米やアフリカの国から来ている子どもたちもたくさんいます。
うちの子たちは、クラスメイトに英語でちょっとしたことを聞いたり、体育の授業で一緒になにかをやったりすることはできても、悩みを相談するといったような深い話まではまだできていないようで。英語を話すお友達と一歩先の友人づきあいができるまでにはもうちょっと時間がかかりそうですね。
これからのマレーシアの生活で、いろんな文化やアイデンティティを持ったお友達をたくさん作っていってほしいと思います!
マレーシアでの学校生活。祝日が多く、学校は8時~15時まで
― 日本では公立の小学校へ通っていたそうですが、マレーシアでの学校生活で変化したことはありますか?
優木さん:朝の授業開始が日本の学校より少し早いので早起きになりました。あと、お弁当を持っていくようにもなりました。
― 通っている学校では、みなさんお弁当を持参しているんですか。
優木さん:希望すれば学校でランチボックスが購入できるのですが、子どもたちはママが作るお弁当がいいというので、毎朝子どもたちより早く起きてがんばって作っています。
ランチと別で10時くらいにスナックタイムがあるので、そのときに食べるおやつも一緒に学校に持っていっています。

優木さん:あと、マレーシアは祝日が多いため学校がお休みの日も多いんです。マレーシアはマレー系、中華系、インド系が多く占める多民族国家で各宗教に合わせた祝日があります。なので、連休もちょこちょこあるんです。
― 日本の祝日も世界で多い方と聞きますが、それ以上に多いんですね。それぞれの民族の宗教に合わせた祝日がとられているとは、多民族国家ならではの一面ですね。
スクールバスがお友達との交流の場、週3時間の英語習得クラスも
― 登下校はスクールバスで?
優木さん:そうなんです。インターナショナルスクールなのでいろいろな地域に住んでいる子どもたちが通っていて、スクールバスがあります。スクールバスでの行き帰りのバスの中がお友達と交流できる時間ともなっているので楽しいみたいですね。
― 日本の学校と比べて履修科目の違いはありますか。
優木さん:大きな違いは、英語が母国語でない生徒が履修する英語のクラスを受けていることです。ほかの子どもたちが中国語やスペイン語といった第二言語を学ぶ時間に、娘たちはこのクラスで週3時間ほど履修しています。
学校がある日のルーティンは? 放課後は何しているの?
放課後は家でゆっくり。宿題をいっしょにしたり趣味に没頭
― 1日のルーティンを教えてください!
優木さん:放課後はクラブ活動がある日以外は、授業が終わってすぐに帰宅。ひと休みしたら、まずは宿題をして、それから各自自宅で好きなことをして遊んでいます。

優木さん:宿題にお手伝いが必要なときは、私が横に座って一緒にみてあげたり、子どもが宿題をする隣で夕食の準備をしたり。こっちにきて仕事が落ち着いたぶん、平日も子どもと過ごす時間が増えました。
― 自由時間はどのように過ごしていますか?
優木さん:学校のお友達は住んでいる場所が近くではないので、日本にいたときみたいに放課後に近くの公園で待ち合わせて遊ぶことはできないみたいですね。長女は今レジンを使ったアクセサリー作りにハマっていて、まだ慣れていない環境の中、なにか没頭できる趣味ができたようでよかったなって思います。

日本語での学習も続けてがんばる!
― 日本語でタブレット学習もされているんですね。
優木さん:日本でやっていたタブレット学習をこちらでも継続してやっていて、一日15分~30分程度自主勉強をしています。もし将来日本の学校に進学したいとなったときに、日本語を忘れてしまっていたら困るのである程度続けられたらいいなって。子どもたち自身、またいつか日本に帰りたいと考えているので、日本語での学習を続けてがんばろうって本人たちも思っているみたいです。

― 日本語での学習を毎日続けられるように何か工夫をされたりも?
優木さん:子どもたちのモチベーションを維持するために、1章勉強し終わったらシールを1つあげて、シールがたまったらお小遣いがもらえるルールをつくっています。

優木さん:我が家では自分の欲しいものは自分で買うというシステムなので、お小遣いを貯めて工作キットやおかしなどを買っています。あと、週末は勉強はおやすみにして、一緒に外にお出かけしてメリハリをつけるようにしています。
【後編】夫は日本に。母子でのマレーシア移住で得られたことは?
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取材・文・構成/s. Frey