お金と時間に余裕があってもコレは“しない”! 早期教育? グローバル体験? 調査からわかった「子どものためにならない」と思う親の選択【HugKum総研】

お金や時間に余裕があったら――あなたは子どもにどんなことをしてあげたいですか? 一方で、たとえお金があっても「それは子どものためにならないかもしれない」と感じる選択もあるかもしれません。

そこでHugKumでは、「お金や時間に余裕があったら子どもにしてあげたいこと」と「逆に、お金や時間があっても、してあげたいとは思わないこと」について、アンケートを実施しました。結果から見えてきたのは、子どもの経験や学びを大切にする思いや、親の価値観を押しつけない子育てへの意識でした。データの奥にある親たちのリアルな本音を、エピソードとともにお届けします。

【調査概要:調査期間/2025年9月9日~9月28日 調査対象/HugKumメルマガ会員 0歳~12歳のお子さんがいる670人

親の本音大公開! 子どもにしてあげたい「早期教育」「広い家」「海外経験」

まず、「もしお金や時間に余裕があったら、特に子どもにしてあげたいこと」を尋ねてみました。

もっとも多く選ばれたのは「語学や教科外分野の早期教育」(315人)。これに続いて「広い庭や広い間取りの家で育てる」(277人)、「幼少期からの家族ぐるみでの海外経験」(272人)といった回答がならびました。教育と環境の両面から子どもの可能性を広げたい、という親の願いが感じられます。

調査対象:670人(複数回答、無回答含む)

また、自由回答欄にも、「たくさん本を買ってあげたい」「好きな習いごとをさせたい」「自然豊かな土地で暮らしたい」といった声が目立ち、物質的な豊かさよりも、経験を重視する姿勢が浮かびあがりました。

親たちに聞く「子どものためになる選択」とは?

では、「子どものためになる親の選択」とは、どのようなものなのでしょうか。自由回答からは、子どもを思ったさまざまな考え方や価値観が見えてきました。

子どもの自主性・自由を尊重する派

「子どもがやりたいことを応援したい」という意見が多く寄せられました。親の価値観や期待を押しつけず、子ども本人の興味やペースを尊重する姿勢が共通しています。

・親が選択すると、どうしても親の願望や期待が膨らんでしまい、子どもに押しつけてしまうときがある気がします。子どもの気持ちに寄り添うことが大切だと感じます。[千葉県・女性]
・子どもの自由を大事にしたい。[愛知県・女性]
・将来のために親が強制するのは好きになれない。本人の意思を尊重したい。[新潟県・男性]

自分で選ぶ経験を重ねることで、主体的に学び、行動する力を少しずつ身につけていくのかもしれません。その積み重ねが、やがて自立自己肯定感へとつながっていくのでしょう。

多様な経験・体験を重視する派

「聞くだけより、見て、そして実際にやってみる」――机上の学びだけでなく、五感で感じるリアルな経験を重視したいという声が多く寄せられました。

・聞くのと見るのは全然違う。やはり、経験・体験がいちばんだと思います。[千葉県・女性]
・自然の中で遊ぶことで、自分で感じ考え行動する力を身につけてほしい。[広島県・男性]
・様々な体験をさせてあげたい。その中で、自分のやりたいことを見つけてもらえたらよい。[東京都・男性]

自然とのふれあい旅行自分でやってみる経験は、子どもにとっての宝物です。親たちの声からは、実際にやって学び、自分で考え感じる力を育んでほしいという思いが伝わってきます。体験の中で得られる気づきや発見が、子どもの成長を大きく後押しするのかもしれません。

将来への準備・教育・環境づくり派

将来を見据えて、子どもの学びの「土台」をしっかり築きたいという声も多く寄せられました。

・良質な勉強環境は必要だが、まずは住環境を整えることが大切だと思う。[東京都・女性]
・語学など、視野が広がる経験をたくさんさせてあげたいです。[東京都・女性]
・学びの場の提供や選択肢を増やすこと。[福岡県・無回答]

学習環境を整えたり、語学力さまざまな経験を大事にしたりと、子どもの成長を思う気持ちがにじみます。学びの場や挑戦できる環境があることが、子どもが自分の可能性を広げていくことにつながります。

グローバルな視野を持たせたい派

英語などの語学力をつけたい、またグローバルな視野を持たせたいという意見も多く寄せられました。

・日本以外の世界も見せてあげたい。[愛媛県・女性]
・英語に特化していたら海外でも暮らしていけると思う。[宮崎県・女性]
・世界遺産を巡って、国際理解を深めてほしい。[兵庫県・女性]

海外異文化に触れることで、子どもが自分の目で広い世界を見て、多様な価値観や考え方を理解する力を育んでほしい――そんな願いが伝わってきます。幼いうちからのグローバルな体験は、柔軟な発想や広い視野を育み、将来の可能性を大きく広げてくれるのかもしれません。

高級ブランド・高級店はNG? ママパパのリアルな声

一方で、「お金や時間に余裕があっても、子どもにしてあげたいとは思わないこと」についても聞いてみました。

もっとも多くの回答を集めたのは「高級ブランドを身につけさせる」(472人)で、続いて「高級な店や施設に出入りさせる」(357人)、「高額所得者の住む地域で育てる」(334人)が上位となりました。必要以上に高額なものを与えることに、慎重な姿勢がうかがえます。

調査対象:670人(複数回答、無回答含む)

これは避けたい! 「子どものためにならない」と思う親の選択とは?

では、多くの親たちはどのようなものを「子どものためにならない選択」だと感じているのでしょうか。アンケートの自由回答からは、過度な高級志向親の見栄を優先することへの違和感がみられました。

必要以上の高級品・ブランド志向・贅沢

「子どものころから高級品を手にすると健全な価値観が育たないのでは」「稼ぐ力を身につけてほしい」といった懸念の声が多数挙がりました。

・お金のありがたみを感じられない、知らないまま生きていくことは避けたい。幅広い視点で、本当に自分に見合うものを見つける姿勢をもってほしいと感じています。[兵庫県・女性]
・高級ブランドを身につけているだけですごい、という価値観はもってほしくない。[神奈川県・女性]
・子どもが高価なものを欲しがったら、それを手に入れるための術(働くこと)につながる教育に力を入れた方がよい。[東京都・女性]
・平均的な金銭感覚を身につけてほしい。[千葉県・女性]

こうした意見から見えてくるのは「物質的な豊かさは、必ずしも子どもの成長や幸せに直結しないのでは」という考えです。大切なのは、子どもが自分で稼ぐ力を育むこと。高級品を与えるだけでは得られない学びや成長こそ、親が子どもに伝えたい本当の教育なのかもしれません。

親のエゴ・見栄での選択

「子どものため」と言いながら、じつは親の自己満足になってしまう――そんなエゴや見栄を避けたいという声も多く寄せられました。

・親の見栄やエゴのための子育てはしたくない。[岩手県・女性]
・対外アピールのための支出はあまり意味がないと思う。[岡山県・女性]

SNSが日常の一部となった現代では、つい見栄映えを意識してしまいがちです。しかし、親たちが本当に大切にしているのは、子どもと過ごす時間の質や、心が豊かに育つ体験。「映える子育て」よりも「子どものためになる時間」を優先したいという思いが、親の本音としてにじんでいます。

過度な早期教育

「私立」「海外」「早期教育」など過度なハイレベル志向にかたよることへの不安を感じる意見もありました。

・幼少期の早期教育はあまり意味がないと思う。[愛知県・女性]
・海外経験がいい思い出になるとはかぎらない。[大阪府・女性]
・小学校までは同じ地域の子どもとのびのび自然に触れ合う生活をさせたい。[愛知県・女性]
・自然に触れて、生きる術を身につけてほしい。[三重県・女性]
・私立校や高級思考ありきではなく、お金や物の価値を先に教えたいと感じます。[愛知県・男性]

「のびのびと幼少期を過ごしてほしい」といった考えが感じられます。子どもの個性や多様な経験を尊重し、心身のバランスを大切にしたい――そんな親の思いが読みとれました。

どんな選択も、「子どもの幸せ」のために

「お金があったら」「時間があったら」――そんな、もしもの問いかけを通して見えてきたのは、子どもの成長を願うあたたかな思いでした。教育や経験に投資したいと考えるのも、贅沢よりも心の豊かさを大切にしたいと思うのも、すべては「子どもが自分らしく、幸せに生きていけるように」という願いにつながっています。

たくさんのものを与えるより、子どもの気持ちや成長に寄り添い、その時々で豊かな経験を重ねていくこと。日々の積み重ねが、子どものすこやかな成長につながっていくことが、親としてできるいちばんの「贈りもの」なのかもしれませんね。

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構成・文/牧野 未衣菜

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